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屋上

「あら、もう終わったの?」


「……うんごめん、なんでここにいるの?」


 風に吹かれる銀の髪を押さえて屋上の椅子に座る白薔薇さんに、半ば呆れながら質問する。白薔薇さんは質問の意味が分からなかったのか、首を傾けてから電信柱を指差す。


「立っているのが疲れたからここに来ただけよ。それにあの柱に繋がっている糸、電気を帯びていて危険だから」


「元々上に乗るために電信柱は作られていないから当然だよ……。本当、凄い運動神経だね」


「この程度動けなかったら魔王と戦う前に全滅していたわよ。で、もうこの建物での用事は済んだの? それならちょっとついてきてほしいんだけど」


 ここまで来ると中二病じゃなくて本当に異世界にいたんじゃないのかって思えてしまう。まぁそんな事は無いんだろうけど。


「ごめん、鞄を持っていないから取ってこないといけないし、もう少し待っていてほしいかな」


「ふぅん、分かったわ」


 このまま屋上にいたかったけれど、白薔薇さんが何度もこちらに視線を送ってくる空気に耐え切れず屋上をあとにした。多分早く鞄を取ってきてほしいと言いたいんだろうな。

 教室に戻ると、連絡事項が無かったのかホームルームは既に終わっていて、高尾君が機転をきかせてくれたおかげで僕はトイレにいたという事になったそうだ。掃除当番では無かったので鞄に荷物を全て詰めて急いで教室から飛び出す。白薔薇さんの事を訊こうとしていた生徒達に引き留められそうなところを全力で逃げ、下駄箱まで走り切った。

 靴を履いている間に後ろから追いつかれるかもしれなかったので踵を踏んで校門外まで急ぐ。流石に校門を出ればもう追ってくる事は無いだろう。


「あ……」


 と、校門外で靴を履きなおしてから気が付いた。白薔薇さんはもしかしたら屋上で僕の事を待っているかもしれない。一旦屋上まで戻るべきだろうか……?

 見上げると、僕へ質問を従っていた生徒が窓から身を乗り出して僕に明日質問する旨を叫んでいる。これで屋上に戻ってしまえば階段の所で捕まるのは確実だろう。


「そっちから出てくるならそう言いなさいよ!」


 その更に上、飛び降り防止用に設置されたフェンスの向こう側で白薔薇さんがこっちを睨んでいた。そして何を思ったのかフェンスの上に乗ったかと思うと、校舎の高さをものともせず、平然と飛び降りた。

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