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悪妻化計画を実行中。溺愛されてもダメなんです!~旦那様、離婚してください!~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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1話:物語が始まります!

「旦那様、離婚してください!」


「ダメだ! それだけは絶対に!」


「それは……この国、だけではなく、この大陸全土において、離婚が認められていないからですか?」


「違う!」


 違う……? じゃあ、なんで離婚したくないのかしら? 私達は政略結婚なのに。


 訝しがる私に、彼は顔を赤くしながら口を開く。


「……ちゃんと  するから」

「はい?」


 よく聞こえないので近づくと、そのまま抱き上げられ――。


 ◇


 私の名はセレナ。

 ムーンライト子爵夫妻の長女である。


 赤ん坊の頃は「まるで天使のようだわ!」と両親を喜ばせた。

 でも成長すると、中肉中背、金髪碧眼の、この世界でよくある風貌に収まった。


 ものすごい美女というわけでもない。

 平均点よりややいい(本人評価)くらいの美貌と知性と家柄だった。


 そして社交界デビューを果たした十五歳で、縁談話が持ち込まれる。

 相手はアトラス・スカイ。

 スカイ伯爵家の嫡男だ。


 スカイ伯爵は海運業に手を出そうとしていた。

 そしてムーンライト子爵家の領地には、この国で三番目に大きい港が含まれていたのだ。


 つまりビジネス的な利害が一致し、ムーンライト子爵家とスカイ伯爵家の長男長女の縁談話<政略結婚>がまとまった。


 初対面となるお茶会の席で顔をあわせたアトラス・スカイ。


 シルバーブロンドの髪は、サラサラで襟足は長め、瞳はエメラルドグリーン。

 肌は私より透明感があり、年齢より落ち着いて見える。

 貴族の令息として剣術も乗馬もできるというが、図書館で読書が向いていそうなスラリとした長身の美しい少年だった。


 実際、会話すると、やはり趣味は音楽や絵画鑑賞。

 読書も見た目通りで好きだという。


 穏やかで、喜怒哀楽の感情は強くない。

 なんだか一緒にいると、木漏れ日の中にいるようだった。


 そんなアトラスは王都の学校に通い、私は領地にある女学校で学んでいる。よって婚約をしているが、アトラスに会うのはバカンスシーズン、ホリデーシーズンの長期休暇の時が中心。後はお互いの誕生日がある週末には、特別に行き来することになる。


 アトラスが誕生日なら、両親に連れられ、私が王都へ向かう。私が誕生日の時は、その逆だ。


 こうして婚約をしてから五年後。


 同い年だった私達は、二十歳の時に結婚式を挙げた。

 十八歳で女学校を卒業すると、私は王都のスカイ伯爵家の屋敷に引っ越すことになった。そこで二年かけ、スカイ伯爵家のしきたりや慣習、いつか引き継ぐ伯爵夫人の役割について、学んだ。同時に結婚式の準備も行った。


 一生に一度の晴れ舞台。

 ウェディングドレスはオーダーメイドで最上級のレース、上質なシルク生地、繊細な刺繍をあしらったものを仕立てる。それはもう通常のドレスより時間もお金をかけ、ハンドメイドで作り上げてもらった。


 そのウェディングドレスを着て、同じく純白のフロックコートを着たアトラスと挙式に挑んだ時は……。


 一国のお姫様気分だった。


 挙式の後の披露宴、そしてウェディング舞踏会。


「今日一日、緊張しただろう。そろそろ部屋に戻り、入浴するといい」


 アトラスは私が疲れていることに気づき、そっと部屋に戻れるよう、声をかけてくれる。おかげでスムーズに、舞踏会の会場からはけることができた。


 部屋に戻り、入浴を経て、すっかりリフレッシュ。

 その後、迎えた初夜――。


「僕はスカイ伯爵家の嫡男として、跡継ぎが必要だ。セレナ。これから行うことは、君にとって痛みも大きいだろう。だがその痛みが極力少なくなるよう、努力するつもりだ。そして今後は記録をとり、共に夜を過ごす日を決めて欲しい」


 アトラスにこんな風に言われた時は「律儀で真面目な方ね」と思った。

 かつ伯爵夫人として、跡継ぎを求められるのは当然のこと。

 義務だと理解できているので「承知いたしました。最善を尽くします」と応じ、ベッドに入ることになった。


 こうして結婚した後、アトラスは父親から領地経営を学び、海運業を営む新たな商会運営に取り組むことになった。一方の私は、義母となるスカイ伯爵夫人から社交術を学び、お茶会や舞踏会、サロンにも顔を出した。


 そして三年の月日が流れたが――。


 跡継ぎはまだ誕生していない。


 初夜の日にアトラスに言われてから、きちんと記録をとり、医師にも相談し、その日を計算している。そして事前にアトラスにその日を伝え、残業や外出の予定をいれないようにし、前日もたっぷりお互いに睡眠をとり、夜を迎えるようにしていた。


 そのアトラスとの子作り。貴婦人の間で夜の営みについて大っぴらに話すことはない。ただなんとなく、アトラスはベッドでも「淡々」としていた。跡継ぎが必要。義務だからこうしている。そんな営みだった。


 それでも毎月、その行為を行っているのに。

 子宝には恵まれない。


「大丈夫よ、私は二十五歳でアトラスを身籠りましたから」


 義母であるスカイ伯爵夫人に励まされ、日々を過ごしている。

 彼女はシルバーブロンドに若草色の瞳。

 義父のスカイ伯爵は、金髪にブルーグレーの瞳なので、間違いなくアトラスは母親似だろう。


 それはさておき。


 最悪は養子縁組という手もある。だができればスカイ伯爵家の正しい血筋を持つ者に、爵位を継がせたいと皆、思っているはずだ。


 なぜ妊娠しないのか。何が足りないのか。


 その情報を探るため、信頼できる侍女と護衛騎士一人を連れ、お忍びで町へ出ることになった。町には娼館があり、その界隈にはその手の情報に詳しい人間もいる。そういった人物に、子供はどうやったらできやすいのか、聞くためだった。


「とにかく二人のパッションが最高潮になり、かつてない激しさと興奮が高まった時にこそ、妊娠しやすいと思うわ。この男の子供が欲しい!と強く願うことで、道が拓けるのよ」


 精神論のアドバイスでは、役に立たたないのではと思ってしまうが、その高級娼婦は「パッションよ、パッション!」と、とにかく熱く語った。


 有益な情報は結局、あまり得ることはできていない。


 だが、思いがけず、領民の困りごとや不満を耳にすることができた。


 庶民がわいわいがやがや話す酒場では、彼らの本音が聞ける。

 それは領地経営に役立てることができそうな情報でもあった。


 こっそり聞き取ったそれらを紙にまとめ、私はアトラスに匿名で届けるようにしていた。

お読みいただき、ありがとうございます!

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ぜひ併せてお楽しみください☆彡

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