表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋とサンタとクリスマス

作者: ポン酢

それはとても儚くて。

都心に降る雪のように存在感がなくて。

掴む事もできずに消えてなくなる。


もしもこの街がホワイトクリスマスになったら、この想いも積もるのだろうか?


でもそんな事は生まれてから一度も起きた事がない。

その事実がこの不確かな気持ちを表しているような気がした。


サンタになりたかった。


あなたの。


あなたのサンタになりたかった。

寒くなってどこからかクリスマスソングが聞こえ始めると思い出す気持ち。


あなたのサンタになりたかった。


思い出すと落ち着かなくて。

赤と緑に彩られたショーウィンドウ。

目立つ棚に並べられた商品。

それらを見て回ってしまう。


あなたのサンタになりたい。


そう思ったのは遠い昔。

まだ制服を着ていた頃。


それが恋だったのか、それすら未だにわからない。


ただ、あなたのサンタになりたかった。

初めて家族でも友達でもない人にクリスマスプレゼントを選んで。

初めてプレゼントを渡した時は、クリスマスイブでもなく終業式だった。

靴下ならぬ靴にそれを突っ込んだ。


別に高いものじゃない。

サンタクロースは送りたいと思う気持ちだ。


学校が変わってからは郵送した。

宅配便だと日にち指定ができるけど、名前を隠せないから郵送した。


だって私はサンタになりたかったのだ。


私が贈っているなんて思って欲しくない。

サンタクロースが贈っているプレゼントにしたかったのだ。


どうしてサンタに拘ったのかよくわからない。

ただ、あなたのサンタになりたかったのだ。


クリスマスソングが聞こえてくるまで忘れている事も多くなった。

でも、それを聞くと思い出すのだ。


あなたのサンタになりたいと。


流石にもうストーカーチックだから、贈るとしてもコーヒーショップなどの金券カードだけれども。



「どうして、忘れられないんだろう?」



あれは恋だったのだろうか?

私は、あなたが好きなのだろうか?



「ねぇ、先生?」



答えが出ぬまま、私はサンタクロースごっこをする。


流石に今はきちんと「○年卒業のサンタクロースより」と一言添えている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ll?19122471b ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ