第Ⅲ章:修行スタート
第Ⅲ章:修行スタート
「俺の名前はタレット。よろしくな」
「自己紹介は済んだところで手伝ってくれ。」
そういうと軍手と鍬を渡してきた。
「えっ、手伝いって・・・耕すんですか!?」
「当たり前だろう!農民ジョブなんだからな!」
“まじかよ・・・早く剣士に成りたいって言うのに・・・”
「とりあえずここからあそこまで耕してくれ」
そう指さした先には広大な田畑が広がっていた。
「こんな広いところを耕すんですか!?」
驚きの顔を隠せなかった。
「もちろん。つべこべ言わず早くやる!」
そう大きな声でタレットは指示を出した。
“くそぉ・・・なんで俺がこんなことを・・・”
仕方なく耕し始めたが・・・
「こら!なんだその耕し方は!腰を入れるんだ腰を!」
そう言うと腰を強く叩いてきた。
「いてぇ・・・こんな感じですか?」
今度は腰を入れ思いっきり鍬を振り落とした。
「うん。それでいい。それを忘れずに奥まで耕してくれ。」
そう言うとタレットはどこかへ行ってしまった。
日が山に半分隠れてきた。
「うわぁ、終わったぁ・・・」
そう呟きながらケルトは仰向けに倒れこんだ。
顔も服も泥まみれ、汗はぐっしょりかいていた。
「ようやく終わったか。まぁ初めてにしては上出来かぁ」
終わったころを見計らっていたのかタレットが見に来ていた。
「これめっちゃ辛いですよ・・・いつもこんな作業してるんですか?」
「いつもではないがこの時期はな。まぁ俺ならこのくらいの広さ半日で終わるがな」
タレットは得意げな顔をしていた。
「まじっすか・・・」
ケルトは途方に暮れたような表情をしていた。
「まぁいい。ついてこい」
そう言ってタレットはケルトを連れ、帰路についた。
タレットの家に着くと何やら美味しそうな匂いが漂ってきた。
「飯は用意してある。食ったら上に用意したお前の部屋で休め。明日は8時起きだ。」
「水浴びは外でしろよぉ」
そう言ってタレットはケルトに食事を提供した後すぐに自分の寝床へ行ってしまった。
どうやら俺が耕している間に食事を作ってくれていたらしい。
「ありがとうございます。頂きます。」
そう言うと休まず食事をほおばった。
休まず耕していたせいで、お腹ペコペコだった。
食事を食べ終わると自分の部屋に行った。
“はぁこれから俺はどうなるんだ?剣士に成る夢は諦めたくないけど、そもそも今のジョブを極めるなんてどんだけの時間がかかるんだ?”
不安だけが募りながらケルトは眠りについた。