第Ⅱ章:師匠との出会い
第Ⅱ章:師匠との出会い
「申し訳ございません。儀式後すぐのジョブチェンジは出来かねます。ジョブチェンジするには今のジョブを極めてもらう必要があります。」
そんな説明をポカンとした顔で聞いていた。
“おいおい。ジョブ農民ってどんな冗談だよ。”
“てかギルドの通達間違ってるんじゃないのか!?”
「あの、ギルドからの通達見せてもらえますか?」
そういうと神官様はギルドで俺が書いたギルド登録の申込書を見せてくれた。
“名前は俺の名前だ。年齢もあってる問題のジョブは・・・”
“って本当に農民にチェックがしてある!?”
その時後頭部の痛みが蘇った。
“あの時か!あの時後頭部に物が当たってその拍子に農民にチェックしたのか!?”
“一分一秒でも早く剣士になりたくて、見直してなかった・・・”
そんな後悔と喧嘩していた奴らへの腹立たしさに感情が満たされていた。
「くそっ!これからどうすればいいんだ!」
静まり返っていた神殿に俺の声が轟いた。
「では、農民を極めている人に教えを乞うのはどうでしょうか?そうすれば、早くジョブチェンジが可能になるかと」
そう神官様に言われると神官様の手を掴み
「是非とも紹介をお願いします!」
そう、息を吹き返したように瞬時に反応した。
「それでは私の知っている農民ジョブを極めた者を紹介しましょう。」
そう言い、神官様は出口に向かって歩き始めた。
神殿の麓にある田畑に連れていかれた。
“こんなところに農民ジョブを極めた人がいるのかな?”
そう思いながらあたりをキョロキョロしていた。
すると神官様が足を止めた。
「あの方です。」
神官様が指をさした先にいたのはなんの特徴もない皆がイメージするようなThe農民というような人物だった。
神官様の後に続きその人に近づいた。
「こんにちは。タレットさん。今お時間大丈夫でしょうか?」
「やぁ神官様。こんにちは。何用でしょうか?」
作業を止め、こちらに向いたその男の名はタレットと言うようだ。
「こちら新人のケルトさんです。ジョブは農民。どうか少しの間面倒を見てはもらえないでしょうか?」
そう言い俺をタレットに紹介した。
「俺は構わねぇが一体どういった話か詳しく聞いてもいいかい?」
「実は彼は誤ったジョブ選択をしてしまって、ジョブチェンジをする為に農民のジョブを極めたいそうで。タレットさんの農民ジョブはMaxに近いとお聞きしたのでこうやってお願いしに来た次第です。」
神官様は俺の今の状態を説明してくれた。
「なるほどねぇ。そういうことなら俺が面倒見てやるよ!」
胸を叩きながら得意な顔でタレットは答えた。
「そうですか。ありがとうございます。それではよろしくお願いいたします。」
そう丁寧にお礼を言うと神官様は帰っていった。
「ケルトと言います。15歳です。これからよろしくお願いします。」
不安を隠しきれずに挨拶をした。