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彼女彼氏の事情  作者: 高橋聡一郎
3/8

お兄様へ

翌日登校は野上と一緒に行くことになった。


俺が家を出ると、野上が居て、


「ほら、行くわよ」


と、当然のように俺の手を引っ張った。


「ど、どうしたの?野上さん」


「ど、どうもしないわよ、彼女が彼氏を守るのは当たり前でしょ」


「・・・・」


「昨日の件もあるし、男が一人で出歩くのは危ないわよ」


「まぁ、助かります」


「ふん」


野上は得意そうに笑った。


野上が守ってくれたおかげで痴漢にもお姉さま方に絡まれることもなく教室に到着した。

「ふー」と、ため息をついて周りを見ると。


男子は皆固まってこそこそと話している。いや、例外が居た、田中だ、室伏さんと四方田さんに体を触られてる、可哀想に・・・。黙って耐えてないで言えよ田中。そして、それを女子がじっと見ている。それは欲望の目だ。表面的には嘲笑や軽蔑だったが。


俺は黙っていられず、立ち上がると田中の前に行った。


「田中、便所行こうぜ」


室伏さんと、四方田さんは驚いた顔をして、俺を見た。


室伏さんが俺に言った。


「・・・鴨志田君、こんな奴を相手にしてたら、君まで安い男に見られるわよ、田中君はビッチだから」


「そうよ」


と四方田さんが可笑しそうに笑う。


俺は二人を無視して、田中の手をとり、廊下に出る。


「うっうっう、酷いよ・・・」


田中は泣きながら便所までついて来た。


俺は言葉を交わすこともなく、一時限目のチャイムを待った。めそめそ泣く男にどう声をかけろと言うんだ。


チャイムが鳴ると俺は教室に向かおうと歩きだす。


田中が小さな声で「ありがとう、鴨志田君、とても嬉しかった」と言うのを背中で聞いてその声のトーンにゾワっと寒気がした。


悪い、田中、お前に「おにいさま」とか言われる趣味はないんだ。死んでくれ。


俺は田中から逃げるように教室へ入って行った。


昼休み、田中が嬉しそうにこっちへやってきた。


「ねぇ、鴨志田君、一緒に昼ごはん食べようよ」


俺はただ、硬直していた。


「ごめんね、鴨志田君とは私が食べるの」


救ってくれたのはまたも、野上だった。


この時は本当に野上に感謝した。仮にこれから痴漢行為をされても良いくらいに。


「わ、悪い、田中、先約あるんだわ」


俺は野上を引っ張るようにして廊下へ出て行った。


「はぁ」


ため息をつく。生きた心地がしない。俺は前こういう男女の性欲が入れ替わる漫画を読んだことがある。


主人公はもっと楽しそうにしてなかったか?


この世界は本当に地獄のようだ。心がどうにかなりそうだよお父さん。


野上とは屋上で一緒に昼食をとったのだが、野上は紳士的に接してくれてホッとした。


野上と居るのは楽だ。守ってくれるし。いや、これ男が言うべき台詞じゃないよな。

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