表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/5

第三話、喋れないのは辛いのです アイツ、この泥棒猫め! ご主人は私のものダァ! ご主人を寝取ろうとするなぁ。アラサーの癖して んっ? こっち見て何があるって? えっ? チョKou07l1Owdjo

遅れてすみません。ギリギリ投稿しました。



「部長どうしたんですか?」


 部長は手で何かを払うような動きをする。


「いや、なんかハエ見たいなぶんぶんした音が聞こえた気がしたんだが……気のせいだな。」


「そうだったんですか、最近よく飛んでますからね」


「話を戻そうか。あーつまり……山本君。君は脳内嫁が可愛すぎたから、子供が欲しいと……そこで私との子供が欲しくてプロポーズしたと。これであってるか?」


「いえ、だから部長と結婚するつもりはなくて」


「アァン? チッ!名誉毀損でこの会社を辞めさせてやってもいいんだがな……幸い私は人事部に顔が多少聞く……君の進退は私の指先一つという訳だ? んっ? んっ? 分かったかね? 本心をさっさと言うんだ。私と結婚したいんだろう? 照れなくてもいい。私を好きと言ってたじゃないか? あの言葉は嘘だったのか? んっ?」


「いえ……部長のことはあの大好きなんですけど、俺如きが果たして部長と結ばれてもいいものか……それに脳内とは言え嫁さんと別れるのはちょっと……」


 凄い泣かれる気がする。それはちょっと可哀想だ。あんなに小さい女の子が泣くのは辛い。


「むむむむ……つまりそれらの条件が達成されたら私のとこに婿として来る気はあると……なぁ……一旦それらの問題は置いといて金じゃ駄目か? 私一戸建て持ってるし……」


「うっそぉ……部長マンションで暮らしてるって……この前の飲みの時言ってたじゃないですか。なんで一戸建て持ってるですか……」


「あぁ、あれは私が借りてる部屋だ。戸建てを手に入れた経緯はうーん。何と言ったものかなぁ。……少し恥ずかしい話なのだが……山本君、笑わないで聞いてくれるか?」


 耳元で部長が囁く。それがこそばゆいのと部長が近くにいるのとで心臓がバクバクし、顔が真っ赤になる。コクコク首を縦に振って返事する四郎を部長は微笑ましそうに笑う。


「私のタイプは元々年上だったのだが……ここ何年かですっかり年下が好みになってしまったなぁ。これが若さの魅力かぁ。今となってはアイツの気持ちもわからんでもない。理解はあまりしたくないが……」


「アイツとは?」


 部長の元カレだろうか。どんな人だったんだろう。やっぱり人格、品格共に優れていたのか。それとも絶世の美男子だったのか。


「私も君より年上となると、恋愛も当然君以外としていたわけで……元々結婚を前提とした元カレがいたんだよ。そいつがまぁ顔はいいんだが有り体に言うとヒモでな。苦労したよ」


「ヒモ? あのヒモですか?」


 あの仕事をしないで女の子に養って貰ってるイケメンにしか許されない職業か? にわかには信じられなかったが。ヒモと付き合っている過去を晒す意味はない。という事は本当なのだろう。ヒモかぁ……部長がヒモを養うのを想像できんな……


 部長は、はにかみながら元カレとの話をしていく。


「そうそう、そのヒモ。若さゆえの過ちだな。顔と声に騙された。まぁ色々遊んでたり、私の金を使って飲んだりするんだよ。イケメンとか美人とかってずるいよなぁ。顔がいいから大抵の事は許してしまう。君もそう思わんか?」


 そう部長に言われるが男女の付き合いが小学生で止まっている自分としてはどう答えたものか。迷った結果、四郎はとりあえず部長の意見に乗っかることにした。


「そうですね。アイツら顔が良いからってちょっと自信に乗ってますよ。部長なんて顔が良いのと、スタイルが抜群で分け隔てなく接する完璧超人だと言うのに……」


(ウチの部署で行われている、お嫁さんにするならだーれ? で毎回ランキングで1位の部長だ。容姿、スタイル、性格、収入でトップの部長だ。嘘は言ってないだろう。多少盛ってるけど)


「よせよせ、煽てるな、煽てるな。酒が呑みたくなる。よし……山本君。今度近いうちに二人で呑みに行こう。日取りはいつがいい? 出来るだけ近い日がいいのだが……」


「部長、まだお話の途中です」


「あぁ、そうだな。それはとりあえず後にしよう。脱線したな。えーっとそれで、どこまで話したっけ?」


「元カレがヒモをしていたという所です」


 四郎は脱線していた話を元に戻す。


「あぁ、そうそう。そこだ。結論としてはそうだな。喧嘩別れだ。ヒモのクソ野郎に嫌気がさしてな。結婚資金を半分使われたぐらいで、プッツンとキレた。それで別れを切り出したんだが、アイツに言われた言葉が本当に腹が立ってな」


「なんて言われたんです?」


「聞いてくれよ。言われた言葉がこれだ。あんたみたいなおばさんより、ほかの若い女の子に貢いで貰うからせいせいしたと言われた。まぁ着の身着のままで放り出してやった。雪が降ってた日だから、面白かったぞ。靴も履かせなかったからな。くっくっくっ……」


「おばさんは酷いですね……」 


「だろう? お前ならそう言ってくれると思ったよ」


 部長からの信頼は高いらしい。少し機嫌が良くなった四郎だった。


「そこでイラついた私は、絶対いい男と結婚するために中古の一戸建てを買ったんだ。最近の若者は性格と上司を心から尊敬するいい後輩が多い。しかし、金がない。仕事がない。夢がない。と三苦がのしかかってる。それでは若者は潰れていく一方だ」


 部長は大仰に手を広がる。ひとしきり残念がった後、部長は背筋を広げ拳を突き出す。


「そこでだ。山本君! 我々の時代より厳しいにも関わらず、頑張っている後輩を見てると私の趣向は大いに変わる訳だ。アレっ? 金持ってるだけの可愛くない男より、年下の可愛い男の方が私の扱い丁寧じゃない?……と!」


「はっはぁ?」


「つまり私は年下男子を堕とすため、少しでも負担を減らして上げるべく、金を負担して上げることにしたんだ。金の使い道なんてないからな」


「なっ……なるほど……」


 部長がこっそりモテてるのに、彼氏の影があまりないのは年下が好きだったのか……


 そういえば、男子で部長より年下の男性ははこの部署をすぐに止めるか、部署替えを人事に頼み込んでいた。そういう背景があったとは……


(流石に自分のために購入された一戸建てにタダで済むのは遠慮するのではないだろうか。年上のヒモの罪は重い。部長の性癖を歪ませてしまったのだから……)


 部長はひとしきり話すとストレッチをする。


「まぁ、男に取って年上は大体おばさんなんだろう。さて山本君、この話を聞いてどう思った?」


「どう……って、部長にもこんな一面があったんだなって驚きました」


 そこで部長はニコッと気持ちいい笑顔で笑う。


「まぁ、そういうわけで君が私に釣り合っていないから結婚しないという考えは持たなくても大丈夫だ。私はヒモでも一時期養った女だ。真面目な君を養うなんてなんら苦ではない。君、奥さんが専業主婦じゃなくても、構わない感じだろ?」


「えぇ、別に奥さんが仕事してても大丈夫です。最近少し家事ができるようになってきましたから。簡単な料理なら少しは出来ますし、今も練習中です」


「ふむ、得意料理は?」


(はて自分の得意料理はなんだろうか? カレーでもいいが日本の料理で素人が失敗しにくくて定番の料理と言ったらアレだろう)


「肉じゃがです」


「気に入った。本当に気に入った。ますます、魅力的な物件だな。君は見たところ容姿もそれなりに整っているし、私との付き合いも嫌いじゃないみたいだ。どうだ? 少し

薹は立っていると思うが顔とスタイルは20代に負けちゃいないと思う。肌の艶は流石に負けるが……どうだ? 今の話で不満に思う点がないなら結婚は別として付き合いから始めないか?」


「2歳児の嫁さんがどう言うか……」


「2歳児⁉︎ 君それ、犯罪だろ、やばいな……」


「いや違いますよ? 2歳児ですけど精神は、ちゃんと大人です。本人はスマホの妖精とか名乗ってました」


 付喪神みたいなものだと認識していたのだが、幾らなんでも早すぎるのが気になっていた。


 部長は悔しそうに、天井を見上げた後、ライターとタバコを取り出す。そしてタバコを咥えるとライターで火を付けようとした。しかし、中々火は付かない。


「あん? くそっ……肝心な時に」


 部長はライターをカチカチと鳴らすが、火打ち石は、火花を全く起こさなかった。


 どうやらライターオイルが切れていたらしい。四郎はすかさず自分のライターで部長のタバコに火を付ける。 


「あぁ、すまんね……フー……ハァー。タバコって奴はいつか止めようと思ってるんだが、これは中々やめれんな〜……」


 部長は目を瞑ってゆっくりと煙を肺に送り込んでいく。そして肺に煙をとどめた後、美味そうに紫煙を吐き出して行くのだった。


 ぷかぷかと煙が浮かんでいく様子は中々楽しい。匂いは中々慣れないが……そうして脳内にニコチンが回っていくとイライラも少しおさまったのか。部長は和やかに四郎に話しかける。


「そういえば君は確か……タバコ吸わなかったよな? どうしてライターなんて持ってたんだ?」


 部長はそう言った後、もう一度タバコを深く吸って煙を肺にとどめる。そして輪っか上の煙を口から吐き出していくのだった。


「いやぁ、なんか最近カチカチしてたことが多かったのでオイル切れかけてるのかなって思って買っときました。おぉ、煙がイルカみたい。凄いっすね……」


 それを聞いて部長は、腕を組んで考え込む。


「部長? あんまり、席外してて大丈夫ですか? 業務とか見といたほうがいいんじゃ……」


 あまりにも席を外している部長を心配する四郎。だが、部長は我関せずと言った感じだった。


「しっ……ちょっと考えを纏めたい……黙ってて貰えるか? 山本君」


「なぁ、山本君、その嫁は私にも見えるのか?」


「いえ、自分の夢の中でだけ出るんですが……」


「夢、夢、夢かぁ、家電、スマホ、妖精、成長、2歳児、うん、うん、うん、分からん」


 部長ははっきりとわからないと告げる。まぁ夢の中の話なのにピンとくる方が凄いが……


 そうしたスッキリした顔で、部長はとんでもないことを言い出す。


「山本君、一ヶ月やる。通常業務と並行して、徹夜でこの話PDFに纏めてこい。詳細なデータとかそれっぽい、伝承、民話、全て集めてこの話に理論的な説明をしろ。私がプロジェクトとして課長に指示を出す。ある程度の人数出すから、その嫁を誰でも見えるようにしろ。そして企画を通せ。会社の利益になるとか適当に理由付けて製品として、その嫁を観測できる装置を開発しろ。私がソイツと直談判する」


「それ、俺死にません? てゆうかそんな小規模で作れるんですか?」


「大丈夫だ。死ぬ心配している奴は、死なん。君、私より役職どれだけ下だと思ってるんだ。言ってみ?」


「えーと……」


(平社員、主任、係長、課長、次長、部長、俺が今主任だから、4つ上だなぁ)


「4つ上ですね……」


「なら、私が適当に企画通して、大きな規模のプロジェクトにしようか? 失敗したら確実に会社傾くけど……」


 平気で怖いことをおっしゃる。折角就職した会社を潰されては堪らなかった。


「小規模でなんとかやります……」






 こうして四郎は、大勢の前で企画を説明することとなった。


 これほどの人を前に話した事がある時は学生以来である。学生の時に自分も友達のようにオーキャンズスタッフでもやっていたらよかっただろうか。人の視線とこちらの話を興味深そうに聞かれるのが大変怖く萎縮する。

 しかし、緊張しているということは、重要だ。問題はそれをどう飲み込むかである。


 四郎は恐怖を噛み殺し、ぐっと拳を握って背筋をしゃんとする。


 幸いにもこうしてプレゼンテーションを聞いてもらえるチャンスが自分にも巡ってきたのだ。後は野となれ山となれ。この問題だけに注意しろ。後悔なんてしても自分が疲れるだけなのだから。


「続けます。そこで私はある考えに至りました。感情とは私たち生物だけが有するものではないと」


 そう、妄想を信じるなら、この話をなんとか納得出来るものにするしかなかった。


「しかし、彼らは無機物であるにも関わらず喜怒哀楽が存在しています。そうでなければ、おかしい点が伝承には多々ある。彼らはなぜ脳が存在していないのに、感情があるのか。アニミズムの考え方では、霊魂、霊が入っているとされています。がっ……! そんなもので片付けるには彼らは少々非科学的過ぎます。そこで私は彼ら、彼女らの中で観測できない物質がなんらかの触媒と反応した結果、限界点に達すると意識を獲得すると仮定しました。その結果かかる時間が100年あるのでしょう」


(そう、なんらかの触媒。つまり感情を読み取った精霊のようなあやふやな存在が人間みたいに高速に進化していった。だけどアイツが夢にしか現れない理由と、二年で喋れるようになったのは多分これが関係してるんだろ)


「つまりなんらかの触媒、感情をどれだけ与えるかが人間の鍵になっています。しかし、規定値を超えない限り、現実世界では百年もかかります。しかし、夢の中では時間はかかりません。つまり道具に夢を見させ、人の道具に対する感情、愛を一気に処理させるのです。そうすることで道具は魂、すなわち感情を習得するようになるのです」


(さぁ、これが荒唐無稽で終わるか、面白いで終わるかは、これからの利益を説明しなきゃなんねぇな)


 四郎はふらふらの頭で、必死に詰め込んだ、考えと熱い思いを語っていくのだった。






 


 


ちょっと話がズレてきてる気もするけど、バッチャンが駄作でも完成させないよりマシって言ってるので、投稿はします。ルビは明日降ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ