ネト家×捏造の王国 消費増税ドタバタ騒ぎ サイドB 消費税対策ばっちり経理万能ソフトなんでもお答え相談室
ネト家×捏造の王国 動画特別コラボ企画 本編はサイドBになります。
動画版サイドAはこちら あわせてお楽しみください。
”ネト家×捏造の王国 消費増税ドタバタ騒ぎ サイドA ネト・ウヨンの祝? 喫茶店開店前夜”
https://www.youtube.com/watch?v=BTvmKmosxMg
消費税増税対策に作ったソフトの問い合わせ室に駆り出されたシモシモダ副長官。不安をよそに問い合わせ開始、予想を超えた事態がシモシモダ副長官に襲い掛かる…
「ふう、やっと開設、いや、今回はお試しだったな」
広々とした室内を見渡すシモシモダ副長官。
「消費増税に伴うインボイスだの軽減税率だのがよくわからんとの声がショウコウカイギショからも出たからな、早急の対策として“消費税対策ばっちり経理万能ソフト”を作成し、アベノ総理いや政府推奨ソフトとして販売したのだが」
室内ではソフトをインストールした何十台ものノートパソコンと電話の何十台もの電話の受話器が置かれた机が並び、それぞれに係員が待機している。
「インボイスだの軽減税率だの今回の増税は初めてのことだらけだ。対応ソフトをつくったところで、問い合わせはかなり来るだろう。それを見越して急遽コールセンターいや相談室を開設、まあ今回は本格稼働前の首都圏一部テスト版だが」
自分の前の液晶画面と受話器をみてシモシモダ副長官はだんだん不安になってきた。
「まさか、私まで駆り出されるとは。それは、まあ、政府トップレベルが実は“10%消費税増税になったらどうなるか、全然わかりませんでした”ではお話にならないし。ヤマダノだのシイノだの野党議員だけでなく、ガース長官の天敵マンゲツ記者にも何を言われるかわからんが」
といってもシモシモダ副長官も今一つわからない。なにしろ軽減税率の対象からして揉めた挙句、負担還元のポイント還元も5%、3%と複雑になり、クレジットカードがない人のための商品券発行案まで出てきた。心配になったシモシモダ副長官は財務省のトップ官僚たちに相談室の代表を代わってくれと頼みもしたが、のらりくらりと逃げられた。
「うーん、あいつらのほうが詳しいはずなのだが。まさか財務省の連中も詳しくはわかってないのか、そ、そんなはずは」
と、いいつつマル秘のマークがついた対応マニュアルをパラパラとめくる。
「うん、家畜用豚は10%、豚肉は8%、出典は…。おいおい“レッドフラッグ11月8日 消費増税ABC"よりって大丈夫か」
野党の機関紙まで参考にしたマニュアルに一抹どころか多大なる不安を覚えるシモシモダ副長官。しかし、すでに相談室の開設時間は迫っていた。
ボーン、9時ちょうど相談室の開設時間。
ジリリ、リーン、トゥルルル。あちらこちらで電話の音がする。シモシモダ副長官も目の前の受話器をとった。
「はい、“消費税対策ばっちり経理万能ソフトなんでもお答え相談室”です。ああ、はい、そうです、みりんは酒類なんで10%です。え、酒として飲む奴なんていない?それはそうですが、区分上酒なんです、みりん風調味料なら8%で。はあ、みりん風だと料理の味付けが変わる?それはまあ、そちらのご都合で…。とにかくみりんは10%で入力してください!」
(はあ、まったく。確かにみりんで酔うやつはいないが、とにかくアレは酒類なんだよ!)
「はい、“消費税対策ばっちり経理万能ソフトなんでもお答え相談室”。え、持ち帰りって言った客がこっそり店内で食べた場合、あとから2%とるべきかっですって、それはその、とるべきでしょうが。…そんなことしたら客が二度と来なくなるかもって、それはそうかもしれませんけど。…いや、政府がその分の2%なんて補填できるわけないでしょ!私?シモシモダ副長官です!」
(はあ、まったく。店内飲食か売るときに聞けばいいだろう、それで持ち帰りなら8%だし。”購入した商品を店内の休憩スペースで食べる場合はお申し出ください“とかの貼り紙すればいいんだよ。持ち帰りって言って店内で食べだす奴がいたら?って見て見ぬふり、なかったことにすればいいじゃないか、もう。忖度だよ、忖度)
次々とくる質問にシモシモダ副長官は次第にいら立ってきた。そんなことはお構いなしに矢継ぎ早に電話がかかり、バイトを含め対応の係員たちは対応にてんてこ舞い。シモシモダも休む間もなく次の電話をとった。
「はい“消費税対策ばっちり経理万能ソフトなんでもお答え相談室”。ああ、まだ入力しはじめですか、え、新聞はコンビニで買ったら10%かって」
(は?た、確か新聞は軽減税率の対象だよな。レッドフラッグでさえ、そうだったはず)
一瞬、頭が真っ白になったシモシモダ副長官は急いでマニュアルをめくった。
(あ、あった、定期購読が8%でコンビニや売店で買うのは10%なのか。レッドフラッグにも載ってるのか、基本中の基本だな)
「そうですよ、政府広報にもレッドフラッグにだって書いてあります。…だいたい商売やっている方なら新聞の定期購読ぐらいしてるし、普通わかるでしょう、え、私シモシモダ副長官ですよ。…ああ、そうですね、ネト・ウヨンさんでしたか。開業したてなら、税理士に頼むとか、ショウコウカイギショで勉強するとかですね…」
(はあ、まったく退職して今から開業だと、コネもない庶民なら儲けるのは無理だろ、たぶん。まあこういう総理と同類の無謀な奴がこのソフトだの総理のご推薦の本だの買ってくれるんだが、にしてもまあ…)
と内心あきれつつネト・ウヨンの問い合わせに対応していたシモシモダだったが
プッツン、ツー、ツー。
「あ、あれ、電話が」
ネト・ウヨンの声が急に聞こえなくなった。
「き、切れました!」
「大変です、回線がパンクしました!」
問い合わせの数が多すぎて回線の容量を超えてしまったらしい。
通じなくなった受話器を手に困惑する係員たち。
「し、仕方ない一時中断だ。至急不具合が起きた箇所を調べさせる、それまで待機」
シモシモダがいうと係員の一人がおずおずと
「す、すいません、それまで休憩していては駄目でしょうか」
「あ?」
見渡すと疲れ切った顔、カオ、かお。ひっきりなしの問い合わせに答え続け、トイレにすらいけず、もじもじしているもの、声が枯れ果てカスレ声で「ヤ、ヤズミ~」と訴えるものもいた。
(そ、そうだな、あんな質問ばっかり次々に来ていたからな。みんな疲れてるよな。俺だって休みたいし)
「あー、復旧まで休憩とするので各人休憩室にいくなり…」
シモシモダが言い終わる前に、トイレに飲み物を買いにと我先に部屋を出ようとする係員たち。あっという間に相談室は空になった。
「はあ、これでお試しなんだからなあ」
今回は消費税対策ばっちり経理万能ソフト購入者を対象とした相談室なのだ。増税本番となったら、税務署やら各関係省庁にどれだけの問い合わせが来ることだろう。そう考えてシモシモダはゾッとした。
「ああ、いっそ、いっそ」
と、ポケットのスマートフォンが震えだした。
「は、はいシモシモダ副長官。あ、いつもご支援ありがとうございます、OB町ショウコウカイギショ会頭さん、え、消費増税のインボイスについて講演をって、よくわからないから説明してほしい?あの、その私がですか?そ、それは消費税対策ばっちり経理万能ソフト問い合わせはやってますが、その」
有力支援者からも消費増税についての説明相談をうけるシモシモダ副長官。
(いっそ、もう10%増税は中止にしてくれー、いや消費税なんてなくしてくれー)
断るに断れない依頼をどうかわそうか悩みながら、言うに言えない訴えを心で叫ぶシモシモダ副長官であった。
軽減税率をともなう消費税増税がどこぞの国でも実施されるらしいですが、果たして無事対応できるのでしょうか。消費が冷え込みの予想のみならず、複雑すぎる事務処理に心身ともに疲弊する人々が出るのではと今から心配です。
インボイスかけます?筆者は無理です、多分。