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Dreaming Maker+  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
5/35

四話 同期だしよろしくね

今日もレッスンを始めようとしたDreaming Maker+のメンバー。そこに見知らぬ女子たちが立ち寄る。そして彼らに重大発表が下される。

「世奈さん!おっはよーございまーす!」真っ先にレッスン室に入った裕一がぺこりと頭を下げる。

「おはよう裕一くん!一番乗りだね、電車なのに、どうしてこんなに早く?」

「いつもより早い便に乗ってきました!誰も来ないと思って...あ、質問なんですけど、世奈さんって年齢は...」「秘密主義です。教えません」なんて会話しているそんな二人の様子を眺める人物がいた。

「あれ...?昨日見た人?」少女はドアの隙間から見える裕一の後ろ姿に既視感を覚えていた。


「よし!全員揃いましたね!改めておはようございます!今日もレッスン頑張りましょう!というわけでレッスンをしたいんですが...」そう言うと世奈はドアの方を見て手招きした。皆そちらに注目する。するとスーツに身を包んだ男性を先頭に一人、二人、三人、四人の女子が入ってきた。メンバーは皆頭に?マークを浮かべていた。

「初めまして。私は彼女たち、百花繚乱のマネージャー、沢城大地です。以後お見知り置きを」あまりに唐突の自己紹介にまだメンバーはきょとんとしている。

「そして今ここにいる四人の女の子が百花繚乱という和風ガールズユニットです。あなたたちと1日遅れでデビューした同期です、愛央ちゃんから自己紹介を」愛央、と呼ばれた女子がおずおずと前に出た。

「えっと、は、初めまして!森山愛央っていいます!16歳です!アイドル...頑張るので、同期だしよろしくね!」緊張した面持ちで下がった。ふと前方に目をやると裕一が目を合わせた。しばらく目線が外れることがなく愛央はドギマギしながらチラチラ横を見た。

「嶋崎葵です!同じく16歳の高校一年生!よろしく!」葵は簡潔に自己紹介を終えた。そして愛央と肩を組んだ。

「初めまして!葉宮きぃでーす!小学六年生!キラキラしたアイドルになるから、よろしくねー!」ぴょんぴょん跳ねたり身振り手振りが大きかったり、いかにも子供っぽい自己紹介に千尋も笑いをこらえた。

「そして最後、私が最上みかん。ユニットでは最年長の18歳。皆をサポートできるように頑張るわ。よろしくね」非常に落ち着いた様子で自己紹介を終えたみかん。すると陽昇が手を挙げた。

「質問。同期だからって、僕たちのレッスン時間奪ってまで自己紹介しに来るって何様?馴れ合いは他所でやってよ」その言葉に相変わらず秀は突っかかる。

「いいだろ、これくらい。レッスン時間くらい自力で取り返せるだろ。お前は決まった時間しかレッスンできないのか?」「だから、やめろって!」要も止めに入ろうとした。すると大地が大きく咳払いをして注目を集めた。

「今回自己紹介させたのにも理由があります。聞いてください」陽昇たちは元の位置に戻り話を聞いた。

「実は皆さんのデビューライブが決定しているんです。今からちょうど二週間後です。それも合同ライブ。立ち回りの練習などもするのでお互いコミュニケーションを取らなければいけません。それに...」「それに?」裕一が聞き返すと大地は一息置いて重大発表をした。

「あなたたちにはレッスンと称して一週間の合宿を行ってもらいます」その言葉に一瞬の静寂が走った後、「ええぇー!?」と悲鳴のような阿鼻叫喚でレッスン室が埋め尽くされた。

「まま、マジっすか!?と、とりあえずよろしくなー!」裕一は目の前にいた愛央ととりあえず握手した。かなり無理やり。「は、はぁ、よろしくね...」

「だから、あなたたちには同期として、ライブを作り上げる仲間として、同調してもらわなければならないのです。年齢も性別もバラバラで、ぶつかり合いは必至でしょうが、仲良くやってくれないことにはライブも成功を収められません。ライブ、失敗デビューしたくないでしょう?ならレッスンも頑張り、仲を深めることも両方頑張らなければいけないのです。陽昇くんも、いいかい?」大地はわざと陽昇に一番聞こえるように話した。陽昇は不快だったのか、耳を塞ぐ仕草を度々しつつも「...はい」と仕方なさそうに返事をした。

「それでは私たちもレッスンに戻ります。今日曲についての発表があるはずなので新曲のレッスン、お互い頑張りましょうね!では!」そう言って大地と百花繚乱のメンバーは戻っていった。


「そんな感じですね、つまりは合同ライブをするので合宿も行い、親睦を深める必要があるってことです!立ち回りの練習もあるので合同合宿の時はバラバラではなく一緒に練習するってことです!さて、私たちもレッスン始めますか!講師の先生呼んでくるのでちょっと待っててください!」世奈がレッスン室を離れると、それぞれ皆話を始めた。

「合宿かぁ、楽しみだねぇ」渡もいつもの寝ぼけ眼だが楽しそうなオーラは伝わる。「それに、さっきの女子たち意外と可愛くなかった?」「はぁ?あの小学生に興味あるの?ロリコンロリコン!」誠と千尋も盛り上がっている。裕一はとりあえず、合宿で食べれるであろうカレーを思い浮かべてヨダレを垂らしていた。


「それでは先生をお呼びしたので、レッスン始めましょう!よろしくお願いします!」そしてレッスンが始まった。

「今日はさっき聞いたと思うけどライブに向けて新曲の練習とします。本日は歌唱から。と言ってもデモテープを聞いてまずは覚えてもらうのでほとんど今日は聞くだけですが。お願いします」その日はデモテープを聴きながら夕方までレッスンを行った。


レッスンも終わり、裕一が駅で電車を待っていると、愛央の姿が見えた。

「おーい!愛央、だっけ?」声をかけられるとスマホから目を外して愛央が裕一の元に近寄った。

「裕一くん、だっけ?昨日も同じ電車だったよね」二人は他愛ない会話を始めた。

「合同ライブに合宿、ワクワクするな!」「そ、そうだね。Dreaming Maker+の皆、賑やかで楽しそうだね」「そうだろー!八人もいるからちょっと意見が合わないこともあるけど、絶対いいアイドルユニットになる!Dreaming Makerみたいな!あ、お前は昔からレッスンとかやってたタイプ?それともこれがほぼ初めて?」その質問にどきりとした愛央。嘘をつこうとしたが嘘をつくのはあいにく苦手なので、とりあえず「な、内緒」とごまかした。「お、電車来たな」二人は電車に乗り込んで帰路に着いた。愛央は電車内でチラチラと裕一の方を見た。キラキラしていて、自分とは違うような気がした。挫折を味わった自分とは。

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