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Dreaming Maker+  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
2/35

一話 それが俺の夢

ついに初顔合わせの日となった。裕一はワクワクしながら会場に向かった。しかし会場では...

「そんじゃ、行ってきまーす!」裕一は家を出るなりいきなりダッシュで走り始めた。駅に着くまでに息が切れてしまいそうなほどに。案の定息をぜぇはぁさせながら電車に乗り込んだ。いまだに夢の中にいるような、ふわふわした感覚が彼の頭を占めていた。今日は Dreaming Maker+のメンバーの初顔合わせの日だ。恍惚とした顔で電車の窓から外を眺めていた。


そしてついに会場のレッスンスタジオを併設した事務所らしき場所に着いた。早速会場入りする。


「んで...ここどこ?」あろうことか裕一は着いてすぐ迷い始めた。さっきから最上階と一階を行き来しているような感じがする。いい加減足も疲れるし息も絶え絶えだ。

「困ったなー、誰か誰か...あっ!!」迷った裕一は二人の人影を見つけた。金髪の背の低い男子と青髪のガタイのいい男子が二人で歩いていた。早速話しかけに行く。

「すんませーん!ちょっと聞きたいことがあるんですけど!」裕一の問いに二人は振り返る。

「うん?誰?」青髪の男子が問いかける。

「俺、風間裕一って言うんですけど今 Dreaming Maker+の集合場所を探して迷っちゃって...」そう言うと二人は目を丸くした。

「えっ!? Dreaming Maker+!?」金髪の男子が驚いた顔をする。「僕らも Dreaming Maker+のメンバーで、ちょうど道に迷ってたところだったんだよ!」続けざまに言うと今度は裕一が驚く。「おっお前らも!?一緒に探そうぜ!」意気投合した三人は相談し合いながらやっとこさ集合場所にたどり着いた。

「よっしゃ、ドア開けるぞー!」裕一は意気込んでドアを開けた。そこには...


「おい、テメェまじでふざけんじゃねぇぞ!」男の罵声。そちらに目をやると紫髪の男子が黒髪の背の低い男子の胸ぐらを掴んで罵声を浴びせていた。周りを見ると、止めようとする人や知らんぷりする人、マネージャー?らしき女子もあたふたして胸に手を当てていた。「えっと、何して...」青髪の男子が恐る恐る声をかけようとすると紫髪の男子がキッと睨みつけた。青髪の男子は一歩下がった。金髪の男子も青髪の男子の後ろに隠れ、いかにも修羅場と言える雰囲気が漂っている中、裕一が声を放った。

「よく分かんないけど、俺、風間裕一!よろしくな皆!」その一言に場は凍りついた。ずっと知らんぷりをしていたメガネの男子が呆れ顔で声を放った。

「おいおい、空気ってもんがあるだろ。まぁいつまでもこの空気だと埒があかないからある意味いいことしてくれたっても思えるけど...とりあえず空気読めよ」そう言ってまた座り込んだ。マネージャーらしき女子が続けて声を出した。

「と、とりあえずこれで全員揃いました!喧嘩もその辺にして集まってくださーい!」その言葉に裕一が真っ先にマネージャーの前に立った。他のメンバーも恐る恐る歩み寄る。


「それでは改めて、おはようございます! Dreaming Maker+のメンバーの八人全員が揃いました!私は皆さんのマネージャー、菅井世奈です!よろしくお願いします!」ハキハキとした口調で世奈が自己紹介した。

「えー、本日から皆さんには Dreaming Makerの後続ユニット、 Dreaming Maker+として活動してもらいます!」話を続けようとしたところ裕一が急に挙手した。

「はーい!質問でーす!何で Dreaming Makerは解散しちゃったんですかー?」またもや空気の読めない発言に皆げんなりした顔をした。

「うーん...中々鋭い質問ですけど今は何とも答えられませんね〜」世奈も困った顔で咳払い一つして話を再開する。

「自己紹介とか、その後のレッスンとか、色々あるんですけど、まず今日持ってこいって言われた書類がありますよね?提出お願いします!」その言葉に皆カバンを漁り出す。しかし一人手の止まった人物がいた。

「あれ?裕一くん、だっけ...書類出さないの?」緑髪の男子に聞かれる裕一は顔中に汗をびっしょりかいていた。そして、

「すんませーん!書類忘れてきましたー!」と勢いよく土下座した。紫髪の男子は聞こえるようにため息をつき乱雑に世奈に書類を渡した。

「マジ...ですか...取りに帰れます?」世奈の問いに、

「俺電車で来たんです、電車来る時間知らないし、歩きだとめっちゃかかります〜」泣きそうになりながら答える。

「どうしよ〜」青髪の男子にすがりつく裕一。青髪の男子はニコニコしながら「なんとかなるよ」とあてのない発言をした。すると慌てる裕一の頭に何やら固いものが投げつけられた。

「え?」ふと周りを見渡すとメガネの男子が裕一を見つめた。

「紫と赤のシマシマ模様の自転車、事務所の外の駐輪場にあるから、それに乗ってけ。別にお前のためじゃねぇけど」そう言ってそっぽ向いてしまった。

「あ、ありがとう!行ってくる!」裕一はダッシュで書類を取りに帰った。


青髪の男子と金髪の男子は一緒に座ってあたりを見渡していた。紫髪の男子と茶髪の男子が一緒に座っている。反対では緑髪の男子とメガネの男子が座っていて、入り口付近、隅っこに黒髪の男子が一人ポツンと座っていた。その目は虚ろで、二人もじっと見つめていた。


「ただいまっす!」勢いよく裕一がドアを開いた。かなり帰ってくるのが早かったようだ。世奈も「早いですね〜!」と驚いていた。

「これで、全員分の書類が揃いました!あとで社長に提出しておきますので。そして今日はあともう一つしてもらうことがあります。皆さんまだ名前や簡単なプロフィールも知らないと思うので、自己紹介!なるべく面白くお願いしますね〜!まずは君から!」指を指された茶髪の男子から自己紹介を始めた。

「芸能人育成学校、島貫学院出身の桧山優月です!高校三年生です!特技は〜...えっと、全般的に平均的かな?特に突出した特技がないのがある意味特技...よろしくです」えへへ、と笑いながら自己紹介を終えた。「隣の人から順にじゃんじゃんどうぞ〜!」次は紫髪の男子の番だ。

「...宮田秀。同じく島貫学院出身の三年生だ。経験なら誰にも負けるつもりはないし誰より Dreaming Makerについて、アイドルについて俺は詳しい。でも何でもかんでも俺を頼るな。俺はあいにく一人で黙々とやるのが好きだからな」そう言って「次、さっさと自己紹介しろ」と緑髪の男子に声をかけた。

「えっと、厚木誠です!高校二年生、17歳です!アイドルとか、皆を幸せにする仕事に憧れてきました!経験はまだまだ浅いけど、皆と仲良くしたいです!よろしくお願いします!」深く一礼した。

「次は俺だな。矢島要。19歳。義務教育どころか高校まで終わったおっさんだ。家族を支えるためにアイドル目指した。一応やる気はある。よろしく。はい次」青髪の男子に声をかけた。

「はい、龍ヶ崎渡で〜す!17歳の高校二年生!僕もまぁ、家族のためにアイドルを志したことになるのかな?スカウトでメンバー入りしました。アイドルとか、流行り物にはあんまり敏感じゃないけど、よろしくね〜」ゆるっとした挨拶を終えた。次は金髪の男子だ。

「はいはーい!僕は黄金坂千尋!中学二年生の14歳!あの織雄大くんと同じダンススクールに通ってました!ダンスが得意でーす!よろしくね!」その一言に皆驚いた。裕一は目を輝かせ、秀は目を丸くして。「お前、あの Dreaming Makerのダンス担当、織雄大さんと同じダンススクールに!?てか雄大くんって!!」裕一が瞳を輝かせ聞くとえっへん、とした顔をする千尋。「...たまたま同じスクールに通ってただけだろ、現実的にあり得る話だ、そんな驚く必要はない」秀はそう言いながらも驚きを隠せていなかった。

「じゃあ次俺!さっきも名乗ったけど、風間裕一!高1の16歳!明石圭人さん、織雄大さん、久瀬凰太さん、蔦屋永遠さん、花咲翔さん、雪室充さん、遠山千鶴さん、そして御影天さんに憧れてアイドルになりたかったんだ!よろしくな!」その言葉が出ると、裕一、千尋、渡以外のメンバーの顔が曇った。「え?どうしたんだ皆?」するとずっと端っこに座っていた黒髪の男子が前に出た。裕一の眼前に迫った。「えっ?」

「僕の名前は御影陽昇。中学三年生の15歳」その言葉を聞いた途端、裕一は腰を抜かして座り込んだ。渡、千尋も驚きを隠せなかった。

「み、みかげ?」聞き返すと陽昇は頷いた。

「間違いない。僕は御影天の弟、御影陽昇だ。何か問題でもあるか」そう言ってまた隅っこに座り込んだ。その様子に秀が陽昇に近寄った。

「さっきから聞いてりゃ、お前があの御影天さんの弟?嘘つくなよ、全然似てないよな。オーラも喋り方も、あの笑顔はどこに行ったんだ?」その言葉に「それ以上、あいつの名前を出すな」と口を開いた。また喧嘩が始まりそうなところに要が割って入る。

「これ以上状況を複雑にするな。俺もお前らの喧嘩なんてどうでもいいけど、俺最年長だからリーダーらしくて。ほっとこうにもほっとけねぇんだ。そしてそれ以上好き勝手やられちゃ困る。決着つけたいんなら向こうで二人でやってろ。ていうかいちいち競い合って、めんどくさくねぇ?しばらくお前ら二人は無理に話し合わなくていいから。俺とか、宮田の同級生とかが止めてやるから」名前を呼ばれて優月はギョッとする。「秀ちゃん、怒ると意外とめんどくさくて...」その言葉に秀は睨みを利かせ優月を黙らせた。裕一もやっと状況が分かってきたようで、咳払い一つして続ける。

「とりあえず、上辺だけでも仲良いフリしとかないとファンもびっくりするから!な!とりあえず仲直りしたフリの握手!」裕一は無理やり二人の手を繋がせた。「...落ち着きましたか?とりあえず今日はここまでです!社長は今日は忙しくて面会できないのでまた次の機会に。レッスンについては次の集まりの時に話すのでその時によろしくお願いします!以上!解散!」そうしてその日の集まりは終わった。裕一は渡、千尋と途中まで帰路を共にした。

「なあなあ、渡は家族のためって言ってたけど、アイドル目指したきっかけが家族の勧めとか?」裕一は気になることを何でも御構い無しに質問していた。

「ああ、そういうわけじゃないんだ。また今度じっくり話すよ。僕この辺で迎えが来てるから、じゃあね!」渡は二人と別れた。

「さっきから質問ばっかだねぇ、じゃあ僕からもしつもーん!裕一くんはどういうアイドルになりたいの?」

「やっぱ Dreaming Makerの皆みたいなサイコーにかっけーアイドル!ああなりたいんだ!それが俺の夢!」はっきりと言い切った。「へぇ、僕もまぁ似た感じかな。お互いいいアイドルになれるといいね!じゃあ僕はこの辺で!また次の集まりの日に!」手を振って千尋と別れた。裕一は頭に Dreaming Makerのライブ映像を思い浮かべていた。キラキラした彼らに思い焦がれ、真似してターンしてみたり。とにかく頭の中が彼らのきらめきでいっぱいのまま、その日は眠りについた。

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