私に出来る事と大切な約束事④
ブックマークありがとうございます。フードの人物、初登場です!
夕刻間近に食事を終えて┄ブラブラと屋敷の散歩をして、中庭辺りに来た頃┄誰かが庭に黒いフードを被った人物が倒れていた。
見掛けたことのない姿に、私は驚きと警戒と好奇心が一度に来て┄
つい┄その人物に近づき、近くに落ちていた棒切れで、しゃがみ込みがてら、ツンツンとつついてみる
生死もわからないけど┄こんな所で倒れるなんて┄変だもの┄
不審者か? 客人かもわからないし
何回かツンツンとしていると┄妙に楽しくなってくるものでニコニコと笑みを浮かべていたら
「┄痛い┄やめろ」
と声を発して┄フードの人物が起き上がるけど┄顔は見れなくて面白くないなと思いつつ
「┄あなたは┄誰? ここに何か用なの? それともお父様のお客様?」
一応┄気になったことをフードの人物に問えば┄
頭をポリポリと掻いてから┄私の問いとは┄まったく違う理由を話した
「┄すまない┄腹が減って┄、いい匂いがしてきたから┄力つきた」
「┄へ?」
フードの人物の理由に私は間の抜けた声をあげていたら
ぎゅるるるるるるる~~!!
とモンスターの呻き声のような音がフードの人物の腹から聞こえた。
あら┄本当に腹がすいてるんだ
少し怪しいと思っていたけど、ただの行き倒れなら危険じゃないよね?
そう思い私はフードの人物に┄少しここで待っててと言い残して走って行こうとしたら、急に手を捕まれてしまう
「お前┄誰かを呼びに行く気か?」
先程の力がなさそうな声とは違い┄低い声音には警戒心を含ませている
その姿は┄何処か警戒心の強い野良犬みたいと思い、クスッと笑ってしまう
「┄何が┄おかしい?」
「うん┄だって┄貴方が思ってることと、私が今から行動しようとしてる意味合いが違うんだもの」
私は捕まえている手に自分の手を乗せて、にっこりと笑い相手の警戒心を解くように話すと
フードの人物は┄雰囲気的に訝しげているように感じて見えた。
「貴方は、お腹がすいてるって言ったわよね? なら、食堂で料理長に余った料理を分けて貰おうと思ったのよ┄」
「┄本当か?」
「あら? 疑り深いのね。なら┄これを貴方にあげる」
私は今日┄赤いリボンを着けていて┄束ねていたけど、これは必要な私の変わりの物質にすればいいもの。
そう思って渡せば┄フードで顔が見えないけど空気が和らいだ気がした。
「┄これを持って┄待ってろってことか?」
「うん、そういうこと」
ニカッと歯を出して笑えば、フードの人物は小さく「わかった」と言って、手を離してくれた。
◇◆◇◆◇◆
そのあと食堂に走って、料理長のグルコさんに残り物のオカズとパンにサラダを用意してもらった。
小さいからよく食べろよ! とウインクされて┄自分用じゃないんだけどと思いつつ、お礼を言い残し、お盆を持って慎重に運ぶ
子供的に体が小さいぶん、お盆に料理が乗っている状態はずっしりするけれど┄
ゆっくり歩けば大丈夫┄
ときどきヨロヨロとなるけど┄頑張って進んでいると、途中に通りすぎるメイドに
「私が運びましょうか?」
と次々に声をかけられるが、全部をお断りする
だって侵入者っぽい人の所に、誰か来たら、その人が警戒しちゃうじゃないの!
それではつまらないし、私が面倒を見てあげるの!
ヨタヨタとゆっくり運びフードの人物の所にたどりつくと、何故か木の下近くに移動していた
あら┄結構、背が高いんだ。
目視的に169㎝は、あるかも┄
「お兄さん┄食事を持ってきたよ┄」
トテトテと歩いて花壇に食事を置いて┄フウ~っと一仕事を終えて額の汗を拭って声をかける
すると私の声に気づいたようで┄早足で戻って来ると、じーっと食事の方向を向いて座り込む姿を見ていると、昔飼ってた犬を思い出す。
生唾を飲み込んで"待て"をされている姿に、幻影の耳と尻尾が見え、チラリと私の様子を伺う姿に可笑しくなりつつ
「┄食べて良いわよ┄」
と食べる許可を出せば、凄い勢いで食べ始めたのでした。