第3章:準備とギルド
ここはファジスタ都市クリアス区のとある大きな商店街。
翔はトカゲのおっちゃんと出会った路地裏を出てから、南東に進んでいった先の街にいる。
「とりあえず金をなんとかしないといけないな」
青い牛革が特徴の財布。
その中身には.....。
「5万.....結構な額だな」
しかし、この世界で日本円が使えないのは当然だ。
だが、持ち物は売れるはずだ。
「うーん。質屋があれば」
100mあたり先に質屋らしき建物が見える。
それを見た翔はそこへ走る。
「すみませーん」
「いらっしゃい。 売りますか? それとも買いますか?」
30代くらいの男性。普通に人間でよかった。
「この財布をお願いします」
「これは......ッ!!!!???」
店員は財布を手からすばやくもぎ取り、目を輝かせる。
「これはどこで....ッ!!!???? 」
訳を言いにくい翔。
「えーと父からの贈り物です」
嘘だ。嘘をついてしまう....。
しかし、ここで「異世界のものです」っていったら怪しまれそうだった。
「そうだねぇ.....」
「じゃぁ、金貨50枚で!!!!」
「んじゃそれで......」
どれくらいの額か知らないから一応もらうことにした。
「それでは.....」
質屋から出て、宿屋へ向かう。
「宿泊できそうなとこは.....」
幸運なことに質屋の目の前。まぁまぁボロくはない。
「すみませーん」
「はい、いらっしゃい。ステインへようこそ」
20代くらいの茶髪の女性。ポーニーテールが特徴.....かな?
「とりあえず一週間泊まりたいです」
「わかりました。料金は前払いなので金貨1枚よ」
金貨を渡すと、部屋の鍵をもらった。
「あの、この辺にギルドみたいなのはないですか? 」
「それならここを出て右に進むとあるよ」
「ありがとうございます」
翔は部屋を出てそこへ向かう。
ギルドの外観はパルテノン神殿みたいなところだ。
「受付受付っと」
「こんにちは。ギルドの入会をお願いします」
「はい。では名前をお願いします」
────名前か、霧谷翔だから.....
「じゃぁ。ショウで」
単純すぎた名前。改造したくはなかったのか偽名は嫌だったのか。
「ではこちらがギルド会員カードです」
「依頼はそこの張り紙を持ってきてくださいね」
「はい」
─────これで仕事と宿は済んだな。あとは.....装備だな。後にするか
ショウが準備をしていた同時刻、質屋の店主が青の牛革財布を自分のものに
していたのはまた他の話である.....
また、ショウが男だという事実は本人を抜いて信じていない