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Ep.ゼロ ミドルドーナの家庭教師


「ハルカ様はいつまで経っても魔法が使えるようになりませんわね」


「やる気あるんですか? 嘘でしょう? サボってばっかりのくせに?」


「魔王ですか。そうですわね、私にかかれば造作もないでしょう。

 誰かとは才能も知能もケタ違いですから」


「ハルカ様が水魔法を覚えられたらついていってあげますわよ。

 そうしたら、貴女は横で見ているだけで結構ですわ」


 なあああああああああああああ。

 嫌な奴! 嫌な奴! 嫌な奴!

 誰だ私にあんな教師をあてたのはああああああああああ!


 カルターニャでセレーネちゃんに見送られてから一ヶ月ぐらい。

 私は魔法都市ミドルドーナに来ていた。

 そこで魔法を覚えることが重要らしい。


 その道中で、盗賊に襲われている旅の馬車に会ったから、華麗に撃退した……したかった。でも、出来なかった。親子四人だったんだけど、お父さんとお母さんを助けるのは間に合わなかった。


 生き残った兄妹はボロボロ泣いてた。

 エン君とメイちゃんって名前らしい。


 かわいそうだったけど、私の旅に一緒に来たら二人も危ない。

 近くの町のお爺さんとお婆さんに会いに行く途中だったらしいから、そこまで送っていった。

 魔王を倒したら、会いに行こう。


 それは置いておいて。


 ミドルドーナで私に魔法を教えてくれている人。

 

 有名な家の、天才だって言われてる人。らしい。

 名前はスクリ。名字はまだ覚えてない。

 横文字は難しい。


 昔から横文字の名前が覚えられなかった。

 だから世界史は嫌い。

 今でも、正直セレーネちゃんの名字とか覚えてない。


 確か、凄く有名な家系だったみたいだけど……。

 初代勇者だったかな?

 私の先輩だ! でも、もう死んでるらしい。


 異世界だからって何百年も生きれるわけじゃなかった。

 当たり前だ。


 ただ、西のポルタニアっていう国にいるらしい、賢者は年齢不詳なんだって。

 賢者なんて響きだけでも凄い。

 その人が魔王を倒せばいいんじゃないかな?

 本当に、何で私なんだろう?


 きっと豊の方が向いてると思うんだけどなー。


 ……また話が逸れた。

 スクリの話だ。


 その人がとにかく性格が悪い! 嫌みばっかり! 自慢ばっかり!

 でも確かに魔法は凄い。

 だから余計に腹立たしい。


 出来なくて出来なくてサボって寝てたら、私と同じように魔法が出来なくて泣いてる女の子に会った。

 カシスっていう、彼女も有名な家の子らしい。


 あの子も凄くかわいかった。

 かわいい子は何の苦労もしないもんだと思ってたんだけど、家が有名だと大変なんだなぁって、セレーネちゃんとカシスを見てたら思う。


 カシスは魔法が出来ないせいで、家の人とかクラスメートからのプレッシャーや嫌味が凄いんだって。私も、勇者のくせに云々って時々言われるから、ちょっとその気持ちはわかる。


 一緒になってだらだら愚痴を言ってたらちょっとやる気が出てきた。

 頑張ろう。



---



「まぁ、とりあえず仕方ないから合格、と言ってあげてもよろしくてよ」

「もっと素直に言ってよ!」


 私はついに水魔法をマスターした!

 基礎だけど。

 チラッと侵入した魔法学校の生徒の方がよっぽど上手だった。

 悲しい。


 きっと豊ならもっと簡単に出来たんだろうなぁ。

 私は理屈で説明されてもよくわからない。

 脳みそが爆発しそうになる。


 難しい事はよくわかんない。

 そういうのは全部豊に任せてきたから。


「約束通り、私についてきてもらうからね!」

「いいでしょう。ククルト家の名に恥じぬ活躍を約束致します。

 ハルカ様の出番はありませんわ」

「……そのハルカ様っていうのやめて。ハルカがいい」


 様って言われるとこそばゆい。


「そうですか。ではハルカ、これからも宜しくお願い致します」

「ふっふっふ、私の華麗なる剣技に身惚れるがいい」

「私が魔法を使うまでの時間稼ぎさえしてもらえればいいですわ」

「なんでよ!」


 とにかく、初めて仲間が出来た。

 独りぼっちだと辛いから、これから楽しくなったらいいな。



---



 信じられない!

 異世界って凄い!


 竜! 竜だよ!


「お前が今代の勇者か。我はレヴィアタン」

「私の腐れ縁ですわ」


 川に行ったら、50cmぐらいの竜がスクリに近づいてきた。

 魔物らしい。かわいいねって言ったら、本当はもっとすっごく大きいんだって。

 でも本当の姿になったら色んな人に見つかるから嫌って言われた。


 見たかった。いつかこっそり見せてもらおう。

 そして背中に乗せて欲しい。ファンタジーな感じで。


 レヴィアタンはスクリの子供の時からの友達らしい。

 幼馴染って奴だ!


「私にも幼馴染がいるんだ」

「へぇ、犬とか?」

「何で!? 人間だよ。豊っていう男の子」

「なるほど。それでハルカは、その人に恋をしているのですね」


 バレるの早すぎだよ!

 もうちょっとニヤニヤ含みを持たせるとか、普通、そんな間があるもんじゃないのかな。わかってますよな感じで、遠くから見守ってくれたりしないのかな。


 無かった。あれって漫画だけみたい。


 スクリ。嫌い。


 でも一人じゃないから、旅が少し楽しくなってきた。

 この調子で、もっと仲間を集めて、早く魔王を倒して、日本に帰ったら、豊に自慢してやろう! ゲームは苦手だけど、私だって勇者になれたんだって!


 そう思いながら、私たちは王都へ急ぐのだった!


遅くなりました

次話から第三章です

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