白き武器
申し訳ありませんでした。m(._.)m
続きは後書きに書きます。先に本編をどうぞ!
「集会ってどこでやるんですか?」
「地下でやるわ。 凄く広いスペースが取ってあるから」
椿はそう言ってエレベーターのボタンを押した。
「広いスペースって……まさか地下にスタジアムみたいなのがあるんですか?」
辰也の質問に椿は笑顔を見せた。
「そのまさかよ」
エレベーターの扉が開くとそこにはまるでライブ会場の様な大きなスタジアムが広がっていた。
野球場よりも遥かに広いスペースを観客席が囲うように出来ている。
辰也達は観客席の様な場所に立っており、一番下のステージの様な場所には昨日椿と一緒にいた男性が立っていた。
そして観客席の様な場所には多数の若者達が座っている。
(野球場とかサッカー場みたいだな)
辰也はそう感じながら横を見た。 横では優衣が感動で目を輝かせている。
「本当に広いですね。 上もそうですけど」
辰也はそう言って上を見た。 天井は遥か遠くにある。 男性が立っている場所から二十メートルはあるだろう。
「ここの使い方はまた後で説明するわ。 下に降りましょう」
椿はそう言って階段を使って降りていく。 辰也と優衣も後を追った。
下に降りると男性はこちらに駆け寄ってきた。
「おはよう。 二人とも良く寝れたかな?」
「はい。 ぐっすりと」
「それは良かった。 それでいきなりで悪いが生徒達に挨拶をして貰おうと思うんだけど……」
辰也は周りを見渡した。 生徒は約三百人といったところで全員の視線がこちらに集中している。
「緊張するよ……」
優衣は不安そうに辰也の手を握った。
「大丈夫よ。 一言挨拶してくれるだけで良いから」
「分かりました」
優衣は辰也の手をしっかりと握りながらそう答えた。
「じゃあ始めようか。 生徒達もそろそろ暇だろう」
男性はそう言ってマイクを手に取った。
「みんなおはよう。 今日集会を開いたのは新入生の紹介の為だ。 今から軽く自己紹介をしてもらう」
男性はそう言ってマイクを優衣に渡した。
「えっ! 優衣から!?」
優衣の驚きの声がマイクを通して大きな声で響き渡った。
一瞬の静寂の後、笑いが巻き起こった。
「あうう……」
優衣は目にうっすらと涙を浮かべている。 しかし次の瞬間には
「がんばれー!」
「緊張しないでー!」
と笑いは応援の声に変わった。
優衣は笑顔になるとマイクを両手で持った。
「えっと……嵩霧優衣です! よろしくお願いします!」
優衣はそう言って頭を下げた。 拍手の音が響き渡り、優衣は辰也にマイクを渡した。
「嵩霧辰也です。 この学園に入れて頂くことになりました。 よろしくお願いします!」
そう言って辰也も頭を下げた。 同じ様に拍手の音が響き渡り、少し落ち着いたところで辰也は男性にマイクを渡した。
「この二人は来たばっかりだからまだ分からない事も多いと思う。 みんな色々と教えてあげてくれ。
では解散とする」
男性がそう言うと半分位の生徒達は立ち上がり、エレベーターに乗り込んで行き、もう半分位の生徒は階段を降りてこちらに向かってくる。
「優衣ちゃんかわいかったよ~」
「近くで見ると更にかわいい」
女子生徒に囲まれて優衣は少し慌てている。
「辰也さん歳は?」
「十七だけど……」
「じゃあ先輩ですね。 辰也先輩!」
「いや俺の方が入ってからの日は浅いから俺の方が後輩なんじゃ……」
辰也も生徒達に囲まれて困っている時に椿が助け船を出すように
「ごめんね。 話はまた今度にして。 二人はまだアナライズの登録を済ませてないから」
と言うと生徒達は辰也と優衣を囲うのを止めた。
「椿さん私の新しい技どう思うか見て下さい!」
「椿さん今日も美しいです!」
しかし次は椿が生徒達に囲まれている。 しかし椿の落ち着いた感じを見ると日常茶飯事な出来事だと分かる。
「みんな後で。 また来るから」
そう言って椿は辰也と優衣を連れて男性と共にエレベーターに乗った。
「椿さん凄い人気ですね」
「まあ一応私この学園の指導係だから」
「へえ……」
辰也は何の事か分からず曖昧な返事をした。
「二人とも挨拶ありがとう。 早速囲まれていたけど」
男性の問いに辰也は笑いながら
「正直焦りましたよ」
と答えると男性も笑いながらエレベーターから降りた。 辰也達も男性の後を追った。
「座ってくれ」
昨日も案内された部屋に案内され、辰也と優衣はソファーに腰を下ろした。 男性は辰也と優衣の正面に座った。
「改めて紹介をしておこう。 ここはホワイト学園。 アナライズを扱うことが出来る若者を集めた所だ。
私が学園長で椿は生徒達の教育係を担当している」
「学園長だったんですか……」
男性は笑いながら立ち上がると机の上から昨日見せて貰ったアナライズを持ってきた。
「まあ学園長だからってそう固くならなくて良いよ。 歳もそんなに変わらないから」
学園長はソファーに座ると辰也と優衣にアナライズを差し出した。
「今から君達にはアナライズに情報を入れてもらうよ。
アナライズを扱うには情報を入力しないとダメだからね」
「情報?」
「そう。 アナライズは自分の物しか使えない。 ではどうやって自分の物と判断するか。
それは音声認識と指紋認証。 この二つが必要なんだ」
学園長は辰也と優衣の前に紙を差し出した。 紙には何やら文章が書かれている。
「この文章を読んでくれ。 それで音声を登録するから」
辰也が先に文章を読み、その間に優衣は椿と指紋を登録し、優衣が文章を読んでいる時に辰也は指紋を登録した。
「唐突だが君達の体の中には「オリジン」と呼ばれる力が眠っている。 その力を形として外に出すのがアナライズだ」
「説明の続きは訓練室でしましょう。 さっきみんながいた所の近くに戻るわ。
学園長、データは転送をお願い」
椿はそう言って辰也と優衣を連れて学園長の部屋をあとにすると、エレベーターに乗り込んだ。
「アナライズを使ってそのオリジンっていう力で剣でも作るの?」
「その通りよ。 優衣ちゃん」
エレベーターの扉が開くとそこにはイスや机が沢山並べられ、奥には多数のドアがあるスペースだった。
奥には階段もあり、ドアは三階まであった。
「一列十個の縦三つ。 全部で三十個位か」
「ええ。 部屋に入りましょう」
椿はそう言って奥に歩いていき、ドアを開けた。
「え?」
部屋の中は辰也の予想を越える広さだった。
(俺達が泊まった部屋位かと思えば……下手すりゃ体育館位はあるんじゃ……)
「これもアナライズの力よ。 まあ後で説明するわ」
椿はそう言って手招きをした。 辰也と優衣は椿の近くに行くと、ドアが自動で閉まった。
「先ずは二人に戦闘スタイルを紹介するわね」
「スタイル?」
「そう。 剣士や銃手といった色々な種類があるから。
でも先ずはアナライズを起動してもらおうかな。 アナライズに指を置いて」
椿の言う通りに辰也と優衣はアナライズに指を置いた。 すると辰也と優衣の服装が白い服に変化した。
辰也は白い長ズボンに白色のブレザー。 優衣は白いセーラー服に白色のミニスカートへと姿が変わった。
「基本の装備がその服よ。 アナライズを使用した攻撃以外では決して傷つかない」
「頭とかもですか?」
辰也は自分の頭を触りながら言った。 服で被われている体は傷つかないかも知れないが、確かに頭は全く守られていない。
「大丈夫よ。 見えないバリアの様な物がちゃんと頭を保護してくれるわ。
じゃあ続いて武器の説明ね」
椿はそう言うと部屋の角に行き、何やらパネルを触ると辰也と優衣の前に三体の人の形をしたロボットが現れた。
「スタイルによって使う武器も違うけど、とりあえず説明ね」
椿は最初にロボットが持っている剣を二人に見せた。 見た目は日本刀の様な形である。
「これは長剣。 ちょっと重いけど慣れれば使いやすい剣よ」
椿はもう一体のロボットが持っている剣を辰也達に渡した。 この剣は刃が無く、針に剣の柄が付いた様な形である。
「これは細剣。 突きに特化した剣よ。 そして最後はこれ」
次にロボットから渡されたのは剣の柄だった。
「これは短剣。 使用者の思い通りの刃の形が出てくるわ」
椿が辰也から短剣を受け取り、握ると柄からフォークの形をした剣が現れた。
「思い通りの形に出来るから便利だけど耐久力が無いのが弱点ね。 まあ特性的にいくらでも再生は可能だけど」
椿はそう言って剣を地面に置いた。
「これを使うのは主に剣士ね。 割りと人気の高いスタイルよ。 辰也君には向いてると思うわ」
「俺が?」
「ええ。 だってさっき長剣を持ってた時に中々良い表情してたわよ」
「そう……ですかね」
辰也がそう呟くと椿の携帯電話が鳴った。 椿は画面を見つめると少ししてから携帯電話をしまった。
「今学園長からデータが送られてきたわ。 説明しておいて悪いけど人にはそれぞれ向いている武器があるの」
「それで俺達に合う武器っていうのは?」
「辰也君は剣士で長剣。
優衣ちゃんは魔術士よ。
普通は魔術士なんて選ばれないけど……」
「え!? 優衣は普通じゃないの!?」
優衣は途端に不安げな表情になった。
「あ! いや、凄いことなんだよ?」
椿は慌てて優衣をフォローした。
「ただ魔術士は使いこなせる。 つまり慣れるまで時間がかかるからね」
そう言って再び椿は部屋の角に行くとパネルを触ると、三体のロボットが消え、新たに杖を持ったロボットが現れた。
「魔術士の戦い方は銃手とほぼ一緒よ」
椿がそう言うとロボットが杖を構えた。 そうするとロボットの前に手のひらサイズの白い球体が現れた。
「これが一番使用頻度が高くなると思うわ。 名前はイレイザー。 ちなみに……」
椿は辰也と優衣を申し訳なさそうに見た。
「貴方達の家の窓をぶち破ったのも私のこれね……」
椿がおずおずと言うと辰也と優衣は笑い出した。
「まああの時は仕方無い事でしょう」
「気にしないで下さい」
辰也と優衣がそう言うと椿はお礼を言うと説明を続けた。
ロボットの前に次は少し赤い手のひらサイズの球体が現れた。
「もう一つはゴリアス。 着弾と同時に爆発するわ。 そして最後が」
ロボットの前に先程と同じ白い球体が現れた。
「これはミラージュ。 相手を自動で追尾する弾よ。
魔術士が攻撃に使うのはこの三種類ね。
この他に全員が使える補助の能力を絡めて戦うの」
椿はそう言って部屋の角に行き、パネルを触ってロボットを消した。
「そういえば二人ともお腹空いてない? 多分昨日から何も食べてないよね?」
「あ、確かに……」
色々な事があって忘れていたが辰也と優衣は昨日連れ去られた時から何も食べていなかった。
「二人のアナライズには基本的な物を持ってくるから。 その間食堂でご飯たべておいで」
「食堂……?」
「すごーい!」
優衣は思わず目を輝かせた。 ここはビルの二階。 ショッピングモールのフードコートとまではいかないが随分と広い食堂だった。 時間帯的に少しずつ混み始めている様だった。
「何にしようかな……」
優衣はメニューを見ながら何を注文するか悩んでいる。
「カレーにラーメン。 丼にスパゲッティ。 随分と種類が豊富だな」
辰也もそう呟きながら優衣と一緒にメニューを見つめた。
「優衣はたらこスパゲッティにする」
「じゃあ俺はカルボナーラにしようかな」
料理を注文し、レジでお金を払うと変わりに番号が書かれたカードを渡された。 料理が出来ると食堂中央にある時計の横に番号が表示される様だ。
辰也と優衣はセルフサービスの水を取ると、適当な席に座った。
「お腹空いた……」
「確かに何も食べてなかったもんな」
「そう言えばさっきの話だけどお兄ちゃんは剣士で武器まで決まってるんだね。
優衣は魔術士って事しか決まってなかったけど」
「単純に武器っていうのはあの杖の事かもよ。 そして魔術士の杖は一種類しか無いとか」
「なるほど……!」
優衣は納得した様にそう言った。 そんな事を話している内に時計の横に番号が表示され、辰也と優衣は料理を受け取りに行った。
「「いただきます」」
二人は手を合わせてそう言うとスパゲッティを食べ始めた。
「お、スパゲッティですか」
そう言いながらこちらに近づいて来たのは椿だった。
「美味しいですね」
「そう言って貰えて嬉しいわ。
辰也君、優衣ちゃん。 ちょっとアナライズを貸してくれる? チップを入れるから」
辰也と優衣は手首からアナライズを外すと椿に渡した。
椿は懐から取り出したケースの中から小さなチップを取りだし、それをアナライズに入れていく。
「これでよし。 簡単に説明しておくとアナライズにはオリジンを利用した物を五つまでセット出来るの。
まあ種類については一気に言うと混乱しちゃうかも知れないからまた今度説明するわね」
そう言って椿は二人にアナライズを返した。
「あと学園長から伝言なんだけど「白き暗殺者」に入ったらからには出来るだけここで暮らして欲しいって。
それに伴って今日外出を許可するから荷物を自宅に取りに行って良いとの事よ」
「分かりました」
優衣は少し戸惑っていたが辰也は即答した。
「自転車なら貸し出せるけど使う?」
「自宅までどれくらいでした?」
「大体二キロメートルってところかしら。 歩きでは遠いでしょ?」
「そうですね。 自転車を貸してもらいます」
辰也がそう言うと椿は辰也に鍵を二つ渡した。 鍵には番号が書いてある。
「昨日入った入口の裏に停めてあるわ。 番号と一致している自転車を使って。
それと遅くても午後六時までには帰ってきてね。 帰ってこない場合拐われたと見て私とかが助けに行くことになるから」
「分かりました。 早めに行って早めに帰ってきます」
そう言って辰也はフォークを置いた。 すでにスパゲッティは皿の上から消えている。
優衣もあまり喋らずに黙々とスパゲッティを口に運んでいたので既に完食していた。
「じゃあ行ってらっしゃい。 気を付けてね」
そう椿に言われ辰也と優衣は食器を返却し、エレベーターで椿と別れた。 辰也達は一階に着くとビルの裏側に回った。
自分の鍵と一致している自転車を見つけ、辰也と優衣は自転車に乗った。
「じゃあ行きますか」
辰也と優衣は自転車をこぎ出した。
「今週の日曜日に更新します」(前の話の後書き)
出来なくて申し訳ありません!m(._.)m
色々と用事があり中々執筆出来なかったのです……。
それに伴って今日はもう一話更新します。
これはもう出来上がっているので先週みたいにはならないかと。
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