白き暗殺者
非常に更新が遅くなってしまい、申し訳無いです。
読んでいただけるとありがたいです。
「乗ってくれ」
男性にそう言われ、辰也と優衣は車に乗った。
辰也が窓側に座り、反対側に女性が座り、真ん中に優衣が座っている。
男性は助手席に座った。 全員が車に乗ると運転席に座っている人がアクセルを踏み、車は動き始めた。
「どこに連れて行くんだ?」
「着いてから説明します。 もう少し待って下さい」
女性にそう言われ、辰也は黙って待つことにした。
数十分後に車が止まり、男性が車から降りた。
「着きましたよ」
女性の後に続き、優衣と辰也は車から降りた。
目の前には高層ビルが立っていた。
「高いね……」
「三十階建て位か?」
辰也がそう言うと、優衣は階数を数え始めた。
横では微笑ましそうに女性が優衣を見守っている。 どうやら優衣が数え終わってから答える様だ。
「三十……二?」
「正解です」
女性はそう答えると辰也と優衣を連れて男性の後を追った。
「何かあったのか?」
「いえ、特に何も」
男性の問いに対して女性はそう答えると男性と共にビルの中に入った。 辰也と優衣も後に続いた。
「高いビルですね」
「見た目はただの高いビルだが中は国家機密がたっぷりある」
「国家機密!?」
「話は私の部屋でしよう」
男性はそう言って先を歩いていく。
ビル中は受付があって自動販売機もある。 至って普通だと辰也は感じ、優衣も同じ気持ちの様だ。
男性は五つあるエレベーターのうち真ん中のエレベーターの横にあるボタンを押した。 すぐに扉が開き、四人はエレベーターに乗った。
「上に行くの?」
「そうよ。 一番上の部屋に向かうの」
優衣の問いに女性は優しく微笑みながらそう答えた。
(国家機密があるビル……か……。
思ったより随分と大きい話になりそうだな)
辰也は少し不安になりながらエレベーターが最上階に到着するのを待った。
最上階に着くと男性の後をついていき、一番奥の部屋に入った。
中には広い机に大きい椅子が置いてあった。 手前には低いテーブルとテーブルを挟む様に二つソファーが置かれている。
「アニメやドラマでよく見る「お偉いさんの部屋」って感じだな」
男性は笑いながら辰也と優衣にソファーに座る様に言い、女性はお茶の準備を始めた。
「さてと……まず何から話すべきかな……」
男性はそう呟きながら辰也と優衣の正面に座った。
「俺が聞きたいのは
テレビで言われてる大量殺人犯について
今俺達が通ってた学校がどうなっているのか
そして貴方達は何者で俺と優衣をどうするつもりなのかと言うことだ」
辰也はそう男性に向かって言った。
「その質問に答える前に……前置きとして話を聞いてもらえるかしら?」
女性が辰也達の前に紅茶を置きながらそう言った。
「分かった。 まずは貴方達の話を聞こう」
辰也がそう言うと男性はゆっくりとソファーから立ち上がり、話を始めた。
「先ずはある技術についての話だ。
一年以上は前になるが、とある大学で研究が行われていてね。
そこにいた研究者達はこれを発明していたんだ」
男性はソファーに座り、テーブルに白い色をした腕時計の様な物を置いた。
「「アナライズ」。 私達はそう呼んでいる物だ。
ある日偶発的に出来たこれを研究者達は更に研究を続けた」
「この腕輪みたいな物を開発したんですか」
優衣は指で軽く目の前に置かれた「アナライズ」をつついた。
「ああ。 しかしある日これを国に発表するかで研究者の間で意見が分かれたんだ。
ある者は発表するべきだと言い、またある者は政府なんかに渡したくないと言った。
そしてとうとう研究者達は解散。 二手に分かれてしまったという話だ」
「……俺の勘だがその内の一つがここか?」
辰也の問いに男性は頷いた。
「そう、一つはここ。 そしてもう一つはその大量殺人犯がいる組織だ」
「なるほどな」
辰也はため息混じりにそう呟いた。
「喧嘩になっちゃったの……?」
「まあ簡単に言えばね」
優衣の問いに女性は微笑みながらそう答えた。
「そして相手はアナライズの力を見せつけるかの様に民間人を襲っている訳だ」
男性はそう言うと表情が暗くなった。 そして辰也と優衣を見ると申し訳なさそうに口を開いた。
「君達の学校も襲われた。
生存者はいない」
「……え」
男性の言った事が信じられないかの様に優衣は声を漏らした。
「嘘……だよね……?」
優衣は小さな声で男性にきいた。 しかし男性は暗い表情のまま黙っている。
「お兄ちゃん……」
優衣は辰也の方を向いた。 辰也は暗い表情でため息をついた。
「予想……通りか……」
辰也はそう呟いて俯いた。
「嘘だ……。 みんな……死んじゃったなんて……」
優衣は目元を押さえて涙を流した。 女性はゆっくりと優衣を抱きしめ、頭を撫でた。
「予想していたのか?」
男性の問いに辰也は顔を上げて答えた。
「一応な。 自分達は拉致されて、クラスの皆とは連絡がつかない。 十分な証拠だとは思ってた」
「そうか……」
男性はそう呟いた。
「……………………」
少し沈黙が続き、優衣が少し落ち着いたところで男性が再び話し始めた。
「犯行にはアナライズが使われている。 しかしアナライズは普通の人間には使うことは出来ない。
しかしだ」
男性は辰也に机の上に置いてあるアナライズを差し出した。
「君達二人ならアナライズを使える。
我々と共に戦える」
辰也はアナライズを受け取り、アナライズを見つめた。
「選んでくれ。 戦うか……戦わないのか」
男性の問いに辰也はずっとアナライズを見つめたまま考えていた。
(京介も……クラスの皆も殺した相手。 そいつを捕まえられる。
だったら……選択肢は決まってる!)
辰也は笑みをうかべてアナライズを力強く握った。
「もちろん入るさ。 戦う側に」
「後悔は無いか?」
「無い」
辰也はキッパリと言いきった。
男性は辰也と同じ様に笑みをうかべた。
「ようこそ。 黒き悪を裁く集団。 「白き暗殺者」へ」
テスト期間中で更新が遅れてしまいました。
本当は水曜日に更新する予定だったのに……
しかも短いという情けない事になってしまい申し訳無いです。
来週もちゃんと更新出来るように頑張ります。