白き試作
1月3日に更新を予定していたのですが、予定が重なり更新できませんでした。
申し訳ありません。
「瞬!逃げろ!」
そう叫んだ少年の頭は次の瞬間弾けとんだ。 爆風とともに肉片と血が周りに飛び散った。
手に何かが当たり、地面に転がる。 血にまみれた目玉だった。 殺された少年の体の周りには血だまりができ、少年の体は力無く倒れ込んだ。
絶望と恐怖を覚え、体が凍りつく。 少年を殺した金髪の女がゆっくりとこちらに迫ってくる。
ここで死ぬ。
そう悟った。 目を瞑った。 生きることを諦めた。
金色の髪をした女性の周りに白い弾が浮かび上がる。
今までの記憶が走馬灯の様に脳裏に浮かぶ。
そして白い弾が放たれた瞬間、壁に風穴を空け、1人の女性が飛び込んで来た。
「瞬君!!」
そう必死に叫びながら。
「ん……」
瞬はゆっくりと目を覚ました。 そして至近距離で心美と目が合う。
山本心美。 この学園の生徒や学食等、この学園に関わることを話題として自分のブログに記事をあげている。
その記事は人気があり、この学園で読んでいない生徒は居ないと言われている程である。
13歳のかわいらしい少女はいつものツインテールの髪型ではなく、今は何も髪を結ばずに、すやすやと眠っている。
(あぁ……昨日一緒に寝たんだった)
心美の部屋のパートナーが今日は家族の元に泊まることになり、1人になった心美は瞬達の部屋に来たのだった。
瞬は横のベッドに視線を移した。 横にあるベッドには誰も寝ていない。
(今日も放人は徹夜か……)
瞬がそう考えると部屋の扉が開き、そこには放人が立っていた。
「放人?」
「お、悪い。 起こしちゃったか?」
「いや、起きてたよ。 でも心美が起きるかも」
そう言って瞬は人差し指を口に当てた。
「瞬……この学園は不純異性交遊は禁止なんだぜ?」
「別にやましいことはしてねえよ……。 抱いて寝ただけだ」
「ほう、抱いて?」
「抱きしめてって事だ! 揚げ足をとるな!」
「おいおい、叫ぶな。 心美ちゃんが起きちゃうぜ?」
放人は声を潜めて笑いながらそう言って自分のベッドに腰をかけた。
「心美ちゃん俺のベッドに寝かしてくれたら良かったのに。 そしたら俺が匂いを堪能しながら眠りにつけただろ?」
「よくその台詞を彼氏の前で言えるな」
「それに心美ちゃんが枕を抱いて寝てたら俺が寝る時まるで膝枕をされているような感覚で寝れるんだろうな」
「お前一旦落ち着け」
「瞬よ、改めて問おう。 何故心美ちゃんを俺のベッドに寝かさなかった!?」
「お前がそんな性格だからだよ」
瞬はため息混じりにそう答えた。
本当は章平のマイブームであるババ抜きをしながら見た武が好きなホラーテレビが怖すぎて、心美が1人で寝れないと言い出し瞬と一緒に寝たのだが、ここは敢えて黙っておく。
「くっ! 瞬だけ心美ちゃんを堪能するとは羨ましい!」
「だから一緒に寝ただけだって」
「ん……瞬?」
うるさかったのか横で心美が目を覚ましてしまった。
「ごめん心美。 まだ5時だから寝てていいよ」
瞬は心美の横に寝ると、心美の頭を優しく撫でた。
「瞬……枕……」
「はいよ」
瞬がそう言って横に腕を伸ばすと、心美は瞬の腕にちょこんと頭を乗せ、またすやすやと眠り始めた。
「じゃあ俺も一眠りするよ。 7時になったら起こしてくれ」
「7時って後2時間しかないぞ?」
「俺はそれで充分だ」
そう言うと放人はベッドに横になって目蓋を閉じた。
「待て、放人」
「ん? 用件なら手短に頼むぜ?」
「お前が今生み出そうとしている新たなアナライズはどうなってる?
まずそもそも新たなアナライズを生み出す事なんて可能なのか?」
「まぁ一応試作品は出来たよ。 お披露目はまた今度だ」
そう言うと放人は眠ってしまい、瞬も仕方なくもう一度眠った。
「ん……?」
辰也は少し違和感を覚えながらゆっくりと目を覚ました。 いつもの様に右腕に感じる温かさと柔らかさが違う。
目を開けると至近距離に優衣の顔があった。 首元に寝息がかかり、少しくすぐったい。
辰也の両腕はしっかりと優衣の体を抱きしめており、いつも右腕は未来の下敷きになっていたりするので、優衣を両腕で抱きしめるのは久しぶりである。
(未来はどこにいるんだ?)
昨日は夜中にうなされることも無く、良く寝れたはずだが未来の姿が見当たらない。
辰也は優衣を起こさないように振り返った。 すると未来は辰也から少し離れて眠っていた。 腕には最近買ったお気に入りのタオルケットを抱きしめている。
「お兄ちゃん……」
優衣が辰也に抱きついたまま小さな声で呟いた。
辰也は起こしてしまったのかと思ったが、どうやら寝言だった様だ。 しかし時間もそろそろ起きる時間なので、辰也は優しく優衣の肩を揺さぶった。
「優衣、朝だぞ」
「ん……お兄ちゃん?」
優衣はまだ眠そうにしながらゆっくりと目を開けた。
「おはよう」
「うん……おはよう……」
そう言いながら優衣は辰也に抱きついたまま大きく欠伸をした。
「えへへ、お兄ちゃんにぎゅってされながら起きたの久しぶりだね」
「そうだな、両手で抱きしめるのは久しぶりな気がする」
そう言って辰也が優しく優衣の頭を撫でると、優衣は嬉しそうに微笑んだ。
「みくりんは?」
「俺の後ろで寝てるよ」
「じゃあ……お兄ちゃんもっと強く抱きしめて」
優衣は辰也に抱きつく力を強くして、上目遣いで辰也に頼んだ。
「苦しかったら言ってくれよ?」
かわいい妹のおねだりに断れるはずもなく、辰也は優衣を強く抱きしめた。
その瞬間、豊かな胸の膨らみがぎゅうっと辰也の腹部に押し付けられた。
(ちょっ!?)
辰也は反射的に力を緩めた。
「む、お兄ちゃん短すぎるよ!」
「いや……ちょっと忘れてた」
以前未来に強く抱きしめてとお願いされ似たような状況になったことがある。 しかしその時は特に気にせずに抱きしめることが出来たのだが、今回は別物だ。
(年齢相応の未来の体と年齢不相応の優衣の体じゃ話が違う!!)
「お兄ちゃん?」
「ん?」
「ぎゅってしてくれないの……?」
優衣は泣きそうな表情になってしまう。 辰也は慌てて優衣の体を抱きしめた。 ただし優しく。
「優衣がしてほしいことはするよ。 だから優衣が抱きしめてほしい時は抱きしめるさ」
「じゃあ……もっと強く抱きしめて」
ふりだしに戻った。
「ゆ、優衣。 優衣を強く抱きしめると……む、胸がな……」
「胸?」
「優衣の大きい胸が当たるから……」
辰也が小さな声で言うと優衣は気づいたらしく、頬を赤く染めた。
「お兄ちゃんのエッチ」
「だからさっき止めただろ……」
「強く抱きしめるといつもより当たっちゃう?」
優衣がそう訊ねながら辰也の体に抱きつく力を強めると、辰也の腹部に優衣の胸がぎゅうっと押し付けられる。
「ゆ、優衣!」
「えへへ……ドキドキする?」
優衣は少し恥ずかしそうに頬を染めながら、微笑んでそう訊ねてくる。
「お兄さん……?」
後ろから声がして、辰也が振り返ると未来が目を覚ましていた。
「未来、おはよう」
「おはよう、お兄さん……あ! 2人でイチャイチャしてる!」
優衣が辰也に抱きついているのが見えたらしく、未来は背中側から辰也に抱きついた。
「ちょっ!? 未来!?」
「今日起きたらお兄さんにぎゅってされてなくてびっくりしたんだから!」
未来は上体を起こし、左を向いている辰也の右腕に胸を押し当てた。
未来は辰也を仰向けにさせたいだけの様だが、胸を押し当てられている辰也はそれどころではない。
「み、未来! 後で抱きしめるからちょっと体勢変えて!」
「やだ。 今すぐ抱っこして……んっ、あんっ!」
「……未来?」
辰也が自分の右腕を見ると、自分の体と腕の間に優衣の腕があり、優衣の腕は辰也を抱き寄せようと動いている。
その優衣の腕の動きに合わせて辰也の腕も動き、辰也の腕と未来の胸が擦れあっている。
「やんっ、あんっ! お、お兄さん!」
「ごめん未来!!」
慌てて腕の動きを止めるが未来は辰也の腕を掴んで、自ら辰也の腕に胸を擦り付けている。
「はぁ……はぁ……気持ち良い……」
「ちょちょちょちょ! 未来落ち着け!!」
辰也は腕を振りほどいて未来を抱き寄せた。
「はぁ……はぁ……お兄さん……」
「お兄ちゃん……浮気するの?」
優衣が左側から少し怒った様子で体を押し付けてくる。
「いや浮気とかじゃなくて……」
「本当に……?」
優衣は頬を膨らませてじっと睨んでくる。 ただ押しつけられている柔らかい胸のせいで頭が回らなくなる。
「ゆ、優衣……ちょっと当たりすぎ」
「え……? あっ、お兄ちゃんのエッチ」
「俺は何もしてないんだが……」
「お兄ちゃん……そんなに気になるなら……もみもみする?」
「えっ!?」
「お兄ちゃんなら……もみもみしても良いよ?」
優衣はそう言って自分の胸を下から持ち上げる様に手を当てた。 その格好で優衣の胸の形がくっきりし、大きさがより強調される。
今にも吹き飛びそうな理性を必死で保ちながら辰也は首を横に振る。
すると優衣の胸が後ろから鷲掴みにされた。
「ひゃん!?みくりん!?」
「ゆいゆいの……おっきい」
未来は優衣の胸をじっと見つめながらもみ始めた。
「あんっ、やっ、みくりん!」
「羨ましい……」
未来は手を休めることなく薄いシャツの上から優衣の胸をもみ続ける。
「あんっ!あっ、あっ……はぁん!みくりん……だめぇ!」
「お兄さんが大きい方が好きだったら……ゆいゆい反則だよ」
未来は手を優衣の胸をもみながら胸の中心に向かわせた。 そして優衣の胸の中心を指先で掻く様に刺激する。
「ひゃうん!あんっ、やっ、あっ、だ、だめぇっ!
み、みくりん!そこはだめぇっ!」
「やっぱりここは気持ち良いよね」
「あっ、んっ……あっ、ああっ……くっ、んっ!み、みくりん!!」
「もみもみして……くりくりして……またもみもみ」
「お兄ちゃん! 助けてぇ!」
助けを求められるが、辰也はごくりと唾を呑んだ。
美少女2人がパンツと薄いシャツだけのとても無防備な格好で辰也の足の上に乗っており、目の前で優衣の胸が未来の小さな手によってもみほぐされている。
未来の手に合わせて形を変える優衣の胸。 下着を着けていないので、遮るものは薄いシャツ1枚。 その光景は優衣の胸の柔らかさを凄まじく主張する。
「む~!お兄さん見とれてる!
ずるいよ、ゆいゆい!」
「あぁんっ!やぁん、はぁん!激しくしちゃだめぇっ!」
未来が優衣の胸をもむから魅了されているのだが、そんなことは未来は考えていない。
それに未来が優衣を抑えようと優衣の腰に自分の足を絡めているので、思わず見とれてしまう未来の綺麗な太ももといつも見れそうで見えない優衣のおへそが露になっている。
(だめだ! マジで我慢出来なくなる!!!)
辰也は優衣と未来を離すと2人に着替えるように促した。
先程の刺激的すぎる光景はこの無防備な服装のせいとも言える。
「お兄ちゃん昨日体洗うとき見てなかったでしょ?」
「目を瞑ってたからな……」
理性で衝動を抑え込む戦いに疲れた辰也は小さな声でそう答える。
「昨日面白かったんだよ! みくりんが石鹸を出しすぎて……」
「ゆいゆいがあわあわ状態になっちゃったもんね!」
2人はそう楽しそうに笑いながら話した。
(優衣が泡まみれ……だめだ、想像するな)
辰也は頭を振って思考を描き消した。
「お兄ちゃん、今日も一緒にお風呂入ろうね♪」
「マジで止めてくれ……」
辰也はため息混じりに答えた。




