白き援軍
更新が予定よりも一時間遅くなってしまいました。
大変申し訳ありません。
読んでいただけるとありがたいです。
「っ……!!」
黒き大剣使いは体勢を崩した。 瞬は迷わず背後から追撃する。
黒き大剣使いは体勢を崩しながらも片足で回転し、大剣を振り回す。 瞬は体勢を低くして振り回される大剣を掻い潜り、下から短剣を振り上げた。
咄嗟に大剣使いは大剣を手放して後ろに跳んだ。 瞬の短剣の切っ先は大剣使いの服を少し引き裂いた。
瞬は武器を失った大剣使いに真っ直ぐに向かっていき、大剣使いは手を前に伸ばした。
すると大剣使いの手に長剣が現れ、瞬の一撃を辛うじて防ぐ。 瞬は足に力を込め、剣を振り抜いて黒き大剣使いを吹き飛ばした。
黒き大剣使いはガラスを割りながらショッピングモールの中に倒れ込んだ。
瞬は一瞬視線を屋上へ向けた。 ここから姿が見えることは無いが、屋上で白い弾が飛び交っているのが見える。
瞬は視線を正面の相手へと戻す。 大剣使いはまだ姿を見せない。
(さっさと向こうの援護に行かないとな……。
でも相手が「真紅のアナライズ」じゃそんなワガママも言ってられないか)
瞬はそんなことを思いながら剣を構えた。 店内で何かが動いたからである。
次の瞬間店内から風斬が瞬に向かって飛んできた。 瞬は何の造作も無いように回避する。 店内から大剣使いが現れ、先程手放した大剣に向かって飛び出した。
瞬は一瞬の内に大剣と大剣使いの間に入り込み、剣を振り下ろした。 大剣使いは長剣で防ぎ、瞬は腹部に回し蹴りを叩き込む。
身体能力が大幅に強化されている瞬の蹴りを受け、大剣使いはショッピングモールの壁に激突した。
瞬は剣を地面と水平に構えた。 瞬は壁に激突して一瞬無防備になった相手目掛けて飛び出した。
「美歌さん、急ぐのか髪を整えるのかどちらかにして頂けますか?」
「蓮ちゃん冷たいこと言わないでよー」
美歌は口に青い髪を結ぶゴムをくわえながら、髪を纏めながら、蓮の作り出してくれているバウンドを踏みながら移動していた。
「何故学園から出るときに結ばなかったのですか」
そういう蓮の髪は綺麗に頭の後ろの低いところで結ばれていた。
「移動始めるときに邪魔だなーって感じたから」
美歌の返答に蓮はため息をついた。
「早くしないと手遅れになりますよ」
「分かってるってば!」
美歌は自分の髪をポニーテールに結ぶと手に杖を出現させた。
「さ、急ぎましょ」
2人はビルの屋上を飛び回りながらショッピングモールに向かって行った。
「イレイザー」
英里奈の周りに10個の白い弾が現れる。
武は全く怯むことなく真っ直ぐに英里奈に向かって行く。凛はバウンドを使って斜め前に跳んだ。
英里奈はイレイザーを2人に向かって放つが、武はイレイザーを受けながらも前進し、凛に放った弾は章平に全て相殺されてしまう。
武は英里奈に向かって拳を突き出した。 英里奈は身を屈めて拳を避ける。
「イレイザー!」
次は1個に纏めた大きなイレイザーを武の腹部へ直撃させた。 武の体は後ろに吹っ飛んだが、空中で回転して着地した。
(何で腹に今のを喰らって装備が消えないわけ!?)
英里奈は苛立ちながら心のなかで毒づいた。
(すばしっこいロリ娘と何しても効かないゴリラとアホみたいに弾を乱射する眼鏡君か。
殺りにくすぎでしょ……)
英里奈が再び杖を構えると、アナライズから声が聞こえた。 下で戦っている黒き大剣使いの声だった。
「了解♪」
英里奈は小さな声でそう答えた。
瞬の突きが放たれ、黒き大剣使いは身を捻って回避した。 しかし瞬は剣を振り抜き、大剣使いは腰を軽く引き裂かれる。
(肩と腰に1発ずつ……。 まさか「超速」にここまで着いてこられるとはな)
瞬は壁から跳んで、地面に着地した。
次の瞬間爆音が響き渡った。 瞬は屋上を見上げた。 屋上の一部分が崩れ、それに巻き込まれる様に落ちる凛の姿が見えた。
しかし凛は足元にバウンドを出現させた。 アナライズで作られる装備はオリジンに由来する物でしか破壊できないので、高所から落下した所で問題はないのだが、瞬は少し安心した。
そして大剣使いへと視線を戻した。 大剣使いは長剣を凛に向けて構えていた。
(当たると思うか?)
瞬はその隙を逃さずに斬りかかろうとした。 しかし視界の角で何かが光った。 瞬はその光の正体を確認しようと、再び視線を移した。
謎の光はショッピングモールの正面に建てられている建物の屋上から放たれた物だった。 その光の正体は放たれたイレイザーであった。
その建物の屋上から放たれたイレイザーは凛の胸を射抜いていていた。
(狙撃か!!)
瞬は凛のもとへ走り出した。 凛の服装が先程ショッピングモールで一緒にいた時の服装へと戻っていく。 つまり今の凛は生身の状態である。 高所から落下しても、斬撃やイレイザーを受けては死んでしまう。
そして大剣使いは剣を振り抜いた。 瞬を巻き込むような形で長剣で風斬を放つ。
(鬱陶しい軌道で撃ちやがって……!)
瞬は回避を余儀なくされ、その分凛の元へ向かうのが遅れてしまう。 そんな中ショッピングモールの屋上からもイレイザーが放たれる。 英里奈が凛に向けて放ったものである。
(間に合え!!)
瞬は足に力を込めて思い切り跳躍した。 瞬の体は凄まじいスピードで凛の元へ跳び、瞬は凛を抱きしめた。
そして空中でイレイザーを短剣で弾き飛ばし、地面に着地した瞬間に横へ跳んで風斬を回避した。
「お兄ちゃん!!」
「大丈夫か!?」
「う、うん! ど、どうしようお兄ちゃん!?」
「俺から離れるな」
瞬は激しく動揺する凛を抱きしめた。 凛は生身なのでもう戦うことも出来ず、攻撃を喰らったら死んでしまう状況である。 凛は死に直面し、小さな体を震わせている。 顔は今にも泣き出してしまいそうな表情である。
遠くでは大剣使いがゆっくりと先程手放した大剣を拾い上げていた。
(やれるか……? 凛を庇いながらあいつと……)
瞬が凛を背中に隠して剣を構えると、再びショッピングモールの正面の建物から狙撃手がイレイザーを放った。
「凛!」
瞬は咄嗟に凛を抱き寄せた。 一瞬前まで凛のいた地面に穴が空く。
(凛ばっか狙いやがって……)
瞬は舌打ちをしながら大剣使いに視線を移した。 大剣使いはゆっくりとこちらへ向かってくる。
凛は恐怖のあまり瞬の服を握ったまま泣き出してしまう。 瞬は凛の嗚咽を聞きながら必死に頭を回転させる。
(どうする!? 凛と離れたら狙撃される。 かと言って凛を庇いながら大剣使いとやりあえる訳でもない!)
瞬は屋上に一瞬に視線を移す。 2人ともこちらに向かっていた。
「兄貴!!」
「瞬さん!!」
すぐ後から英里奈も追ってくる。
「武! 凛を頼む!
章平は狙撃手を!」
瞬はそう言って凛を抱きしめ、武に託すとすぐさま英里奈に斬りかかった。
しかし大剣使いから風斬が放たれ、瞬は英里奈から離れた。
「お得意の素早さが生かせないって感じかしら?
そりゃお仲間を庇いながらだとねえ」
瞬は小さくため息をついた。
「ふふっ! 頑張ってる所悪いけれど……もうちょっと絶望的になっちゃうかしら?」
英里奈はそう言って瞬の後ろを指差した。 すると大剣使いは瞬を無視して凛と武の方へ向かって行く。
「行かすか!!」
「貴方と相手は私よ」
瞬は既に大剣使いの正面に回り込んでいたが、英里奈のイレイザーが瞬の四方八方から襲い掛かる。
大剣使いはその隙をついて瞬の横を通り抜け、大剣を構え、武は凛を背中に隠してボクシングの構えをとる。 既に狙撃手は章平が倒していた。
瞬はイレイザーを全て弾き飛ばし、英里奈に斬りかかった。
「貴方達はすぐに仲間を助けるのね」
「当たり前だ」
「あ、因みに狙撃手が1人とも言ってないわよね?」
「……は?」
瞬は英里奈を剣を振り抜いて、吹き飛ばすと後ろを向いた。
瞬は正面の建物を見た。 そんな人物が隠れている様には見えない。
(嘘よ♪)
英里奈はイレイザーを最速で放ち、イレイザーは瞬の横を通り抜けた。 イレイザーは真っ直ぐに凛へ向かっていった。
「武! 左だ!」
瞬の声に反応し、武は咄嗟に凛を庇い、英里奈のイレイザーは凛に当たることなく正面の建物へ当たる。
しかし大剣使いの目の前で凛を助けるという行為は自殺行為に等しかった。
大剣使いは武の肩から腰にかけて斜めに大剣を振り下ろした。
更に大剣使いは大剣の側面で武の体を吹き飛ばした。 凛は地面に力なく座り込んだ。
「凛!!」
瞬は凛の元へ既に向かっていた。 瞬の素早さならば容易に間に合う。 しかし瞬の短剣では大剣を防ぐことは不可能であった。 当然章平も屋上からミラージュを放っていたが、大剣が凛の小さな体を叩き割る方が早い。
(使うしかねえ……!!)
瞬は胸に手を当てた。 しかし、次の瞬間、まるで豪雨の様に白い弾が大剣使いに降り注いだ。
大剣使いはは大剣を傘のように防ぐが圧倒的な攻撃力の前に耐えきれずに後ろへ跳んで、距離を取った。
瞬は凛を抱き抱え、イレイザーが飛んできた方向を見ると、そこには杖を持った1人の美しい女性が立っていた。
「ごめんね、遅くなって」
「椿さん……!」
そこに立っていたのは白い服を身に纏った東条椿だった。
来週はテスト前で申し訳ありませんが更新が出来ません。
申し訳ありません。m(._.)m
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