白き雷光と黒き大剣使い
読んでいただけるとありがたいです。m(._.)m
瞬の言葉を聞いて2人はそれぞれ言われた方向を向く。
《目標確認!金倉英里奈です!あと2人連れてきてます!》
《目標確認。兄貴、黒き大剣使いっす!》
「金倉は予想してたが……まさかそいつまで来たか……!」
黒き大剣使いという言葉に反応し、凛の体が震える。 瞬は凛を抱きしめる力を強くし、再びアナライズに向かって話しかける。
「学園長! 聞こえますか?」
《あぁ、聞こえてる! 来たかい!?》
「金倉英里奈、黒き大剣使い、他2名です」
《大剣使いまで来たか……》
瞬の報告を聞いて、学園長はそう呟き、少しの沈黙の後に次はアナライズから女性の声が聞こえた。
《瞬君! 今から私が行く!》
「了解です、椿さん。
武、上に向かえ。 黒き大剣使いは俺がやる。 凛も今から上に行って章平を援護してくれ」
《瞬君!! 凛を1人にする気!?》
アナライズから美歌の怒った声が聞こえる。
《美歌! こんなときにワガママ言わないで!》
次は椿の声。 凛を一時的に1人にする事が美歌は不安である様だった。
《すぐに武君が向かうでしょ!!》
まだ討論をしているようで椿の怒った声が聞こえる。
「いや、美歌さんの言う通りにします」
《ちょっ、瞬君!?》
「武、10秒大剣使いを止めてくれ。 章平は取り巻きの2人を屋上入り口付近に追い込んでくれ。 俺と凛で片付ける。
片付けたら武は俺と入れ替わりで屋上に向かう。
これで良いですか? 美歌さん」
《うん、ありがとう》
美歌の少し安心した様な声が聞こえた後に、椿のため息が聞こえた。
《無理しないでね》
「分かってますよ」
瞬はそう言うと凛と手を繋ぎ、付近にあるエスカレーターを見つけた。
「行くぞ! 凛!」
「うん!」
2人は上階へ向かった。
上空から3人が着地した。 そして章平を中心にして距離を取る。
「あら、眼鏡君じゃない。 着地する時に私の下着は見えたかしら?」
「別に興味ないので」
「あらあら、貴方くらいの男の子はお姉さんに興味津々だと思ってたけど」
そう言いながら金倉英里奈は杖を回しながら目の前に構える。
(剣士が1人と銃手が1人か)
章平は素早く確認すると杖を構える。
「イレイザー!」
「バウンド!」
英里奈から白い弾が放たれるが、章平の足元に白い円が現れ、章平がそれを踏むと章平の体は上空へ跳び上がった。
「ミラージュ」
章平の周りに白い弾が現れ、白い弾は3人に向かっていく。
3人はシールドで防ぎ、剣で防ぎ、同じ弾で相殺したりと全くダメージを受けることなく反撃に移る。
英里奈と銃手は章平に向けて弾を放ち、剣士はバウンドを使って章平に向かっていく。
章平はバウンドを使って空中で方向転換すると、ミラージュを再び剣士と銃手に向けて放った。
剣士は空中でバランスを崩し、銃手は一旦撃つのを止め、シールドで攻撃を防ぐ。
「私は無視なのかしら?」
英里奈が隙をついてバウンドで跳び上がり、章平と同じ高さで杖を構えた。
「イレイザー」
「バウンド!」
章平はバウンドを使って更に上空へ跳び上がる。 しかし英里奈は弾を巧みに操り、章平の左腕と左肩に弾が当たる。
「頭と胸は守っちゃうのね」
「やられたらかなりダメージを受けるので」
「ふふっ! でも私ばっかり見つめてて良いのかな?」
英里奈がそう言うと下の2人が章平に向けて剣を向け、銃を向けていた。
「ええ、大丈夫です。 寧ろこっちを向いてくれてる方が好都合です」
「え?」
英里奈は章平の言葉に思わず下を向いた。 英里奈の目に映ったのは屋上への入り口から飛び出す1人の青年だった。
「2人とも右よ!」
英里奈が叫んだ瞬間は既に遅すぎる位だった。 少し遠くにいた剣士は間一髪で剣で防いだが、銃手は胴体を切り裂かれていた。
銃手の服装が元に戻りながら体が吹き飛ぶ。
瞬は飛び出した勢いのまま剣士の背後へ回り込んだ。
「後ろよ!」
英里奈がバウンドを使って空中から戻りながら叫ぶ。 同時に既にイレイザーを放っている。
英里奈の言葉に反応し、剣士は振り返る。 瞬の方へ向き直り、先程瞬が飛び出した入り口には背を向ける。
瞬は一歩踏み出したかと思いきや、その場に止まり、英里奈の方を向いた。
(は? 一体何を考えて……?)
戸惑った英里奈が先程の入り口から少女が飛び出した事に気づいたときには既に少女からイレイザーが放たれていた。
(あの小娘が……!!)
「イレイザー!!」
英里奈は瞬に放ったイレイザーを曲げ、全弾を凛に向けた。
しかし英里奈のイレイザーは凛の横に着地した章平のミラージュで全て相殺され、凛に完璧に背を向けていた剣士の背中に凛のイレイザーが撃ち込まれる。
剣士の服装も元に戻りながら体が吹き飛ぶ。
「章平、頼んだ!」
そう言うと瞬は屋上から飛び降りた。 章平は空中に飛び出した瞬に手を向けた。 すると瞬の足元に白い円が現れた。
それを踏むと瞬の体は高速で黒き大剣使いの元へ跳んでいく。
瞬は黒き大剣使いを豪快に蹴り飛ばし、すぐさま武の方へ向き直る。
武は腕以外の鎧を解除し、腕を胸の前で組んだ。
瞬はその守られた武の胸部を蹴り飛ばした。 武の巨体は空中へ吹き飛び、瞬が使用した章平のバウンドを使って屋上へ着地した。
「……は?」
英里奈は状況を呑み込めないでいた。 英里奈が章平にイレイザーを放ってから約12秒の出来事である。
武は再び全身を鎧で纏い、2人よりも少し前に立った。
「自分が前に出るっす。 凛ちゃんは自分の後ろから援護を、章平は少し上から援護と凛ちゃんの防御をお願いするっす」
「うん、分かった!」
「了解です!」
「行くっすよ!」
武は真っ直ぐに英里奈へ向かっていった。
ガラスが砕け散る音と共にショッピングモール内へ吹き飛ばされた黒き大剣使いが戻ってきた。
「いきなりで悪かったな」
瞬はそう言いながらに手に剣の柄を出現させ、その柄から刀身が現れた。
黒き大剣使いは黙ったまま剣を構える。 それに合わせて瞬も剣を構えた。
そして少しの沈黙後、2人は同時に突っ込んだ。
瞬は短剣を垂直に振り下ろしたが、大剣を水平に振り抜かれるのと同時にいとも簡単に短剣は砕け散り、瞬は勢いのまましゃがみこんで下から蹴り飛ばした。
瞬はすぐさま短剣の刀身を再生させる。 刀身の再生が容易に行えるのが短剣の長所である。
(そして大剣の長所はその火力か……)
長剣や細剣と比べたら再生が容易な分、短剣は耐久力が弱い。 しかしここまでいとも簡単に折られるのは瞬自身初めてである。
黒き大剣使いが剣を振り抜いた。 瞬は咄嗟に横へ跳び、地面は真っ二つに割れ、止めたあった車すらも一刀両断にしてみせた。
(火力勝負には付き合えねえな……!)
瞬は再び距離を詰める。 大剣が水平に振り抜かれ、瞬は跳んで回避しながら空中で剣を突き出すが黒き大剣使いも頭を下げて回避する。 そしてそのまま1回転するように黒き大剣使いは大剣を振るう。 瞬は後ろに跳んで大剣の射程範囲外に退避するが真っ直ぐに斬撃が向かってくる。
(連続で風斬かよ!?)
瞬はまるで地面に寝転がるように体を反らして回避した。 しかし既に頭上では黒き大剣使いが大剣を振りかぶっている。
瞬は真横に跳び、大剣は地面に突き刺さることなく強引に軌道を変えて水平に振り抜かれる。
再び風斬が放たれ、瞬はもう一度横へ飛ぶ。 後ろにあったショッピングモール内のカフェの椅子や机が真っ二つに斬れていく。
再び黒き大剣使いは瞬に向かっていく。 瞬は相手の頭上を跳び越え、黒き大剣使いの後ろへ着地した。
(「高速」で全く通用しねえな……)
瞬はため息をついて自分の胸元へ手を当てる。 すると瞬が身に付けているマントの色が少しだけ変わり始めた。 変化は一瞬だったが少し光沢を帯びて、日光を反射して美しく感じる。
「「超速」……!」
次の瞬間、瞬の剣が黒き大剣使いの肩を切り裂いた。
今週末は文化祭があるので日曜日は更新が難しいです。申し訳ありません。
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