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黒き襲撃

読んでいただけるとありがたいです。

 次の日の朝。辰也はゆっくりと目を開けた。

 カーテンを閉めているので直接日差しが差し込む事はないが、明るさから既に早朝では無いことが分かる。

(正直熟睡は出来てないんだよなあ……)

 辰也は小さくため息をついた。 その横では2人のかわいい女の子がすやすやと眠っている。

 左側ではとても中学生とは思えないスタイル抜群の優衣がその豊満な胸を辰也の体に押し当て、右側ではまだ年相応のあどけなさを持つ未来が辰也の手を握って眠っている。

 2人ともパンツとシャツ1枚と大変無防備な格好で、パンツを見えそうで見えない位ギリギリで守っているシャツの裾からはとても綺麗な足が見えている。

(放人とかなら喜ぶ光景だろうな。 いや、男なら誰でも喜ぶか。

 特にロリコンは……)

 辰也は大きく欠伸をすると優しく2人を起こした。



 その日、辰也達は先日取材を受けた心美の記事により、知名度が高まっていた。

 その辰也達の実力を試そうと辰也達は沢山の個人昇格(ランク)戦を申し込まれ、次々と辰也達は生徒達を蹴散らした。

「つーかーれーたー!」

 優衣はそう叫びながらベッドにダイブした。 辰也も隣にゆっくりと腰を下ろし、その横に未来が座る。

「30戦位したな」

「優衣は40位した気がするよ……」

 時刻は既に夜の9時を過ぎており、辰也の横で未来は少し眠そうな表情でテレビを見ている。

「未来は椿さんの所で何してたんだ?」

 辰也達が昇格(ランク)戦に挑む前に椿が辰也達の元へ来ると、そのまま椿は未来を預かるような形で、未来は椿と共に学園長室に向かったのである。

「えっと……何だか気づけば寝ちゃってて……」

「なのに今眠いのか?」

 辰也は少しからかうように言うと未来は少し頬を膨らませた。

「未来は9時を過ぎると眠くなるんだもん!」

「じゃあ今日もさっさと寝るか」

「うん! お風呂入ってくるね!」

 未来はそう言って浴室に向かって行った。 未来が浴室に入ったのを音で確認した後に、辰也はベッドの上でうつらうつらしている優衣の肩を軽く叩いた。

「優衣。 話がある」

「ん……なあに?」

「未来の腕に着いているアナライズを覚えてるか?」

「え? アナライズ?」

 優衣は上体を起こし、ベッドの上に座って首を傾げた。

「そう。 あの赤いアナライズだ」

「お兄ちゃんが未来を助けた時に腕に着けてなかった?」

「そうそう。 それがアナライズだったらしいんだが、それが特殊なアナライズらしくてな。

 自分の意思が無いと外せないらしい」

「優衣のはお兄ちゃんが取れるけど、未来のはお兄ちゃんにも優衣にも取れないってこと?」

 優衣がそう言うと辰也は頷いた。

「だけど問題は未来がその赤いアナライズを見ると半分発狂状態に陥るらしい。

 原因は多分、金倉英里奈だって椿さんが言ってた」

「じゃあ……さっき気づけば寝ちゃっててというのは」

「多分椿さんが未来を抑え込んで、そのまま寝ちゃったんだな。 半分気絶みたいなものかもしれないが」

「今お風呂入ってるけど……大丈夫なの?」

「あぁ。 さっき赤いアナライズを見るとって言ったけど、正確には赤いアナライズをどの様にして手に入れたかを思い出すとそうなるらしい。

 だから未来の前で赤いアナライズの話はしないようにな」

「うん、分かった」

 優衣は素直に頷き、辰也は優しく優衣の頭を撫でた。

「ただいまー!」

 未来がそう言って浴室から戻ってきた。 昨日買ったのは外出着なので、今来ているのは優衣から借りたシャツである。

「じゃあ優衣も入ってくるね」

 そう言って優衣も浴室に向かった。 代わりに辰也の隣に未来が座り、辰也にもたれ掛かった。

「お兄さん、なでなでして」

「こうか?」

 辰也が優しく未来の頭を撫でると未来は嬉しそうに微笑んだ。 それと同時に段々と目蓋が下がっていく。

「寝ちゃって良いぞ」

「う……ん……。 おやすみ……お兄さん……」

 未来はそう言って瞬く間に眠ってしまった。 辰也は未来をベッドに横たわらせると、頭を撫でながら、腕についたアナライズに触れた。

(椿さんが言っていた事は

 このアナライズは特殊だという事と、未来の前でアナライズの話をするなという事。

 だけど問題は絶対にそれだけじゃない……。 絶対にこのアナライズには秘密がある。

 それはそんな「特殊」なんて言葉だけじゃ片付けられない様な……)

「明日……瞬に訊いてみるか」

 その後、優衣が風呂からあがった後に辰也も風呂に入り、3人はまた密着して眠った。



 次の日の早朝。 3人の男子と3人の女子が高いビルの前に立っていた。

「じゃあ……気を付けてね。 危なかったらすぐに私を呼んで」

「そうよ、凛」

 美歌はまだかなり眠そうな凛を優しく抱きしめた。

「お姉ちゃん……?」

「少しでも危なくなったら私か椿を呼ぶのよ?」

「大丈夫だよ……お兄ちゃんが居るんだから」

「それでも呼ぶの」

 そう言って美歌は凛は更に強く抱きしめる。

「それじゃあ名残惜しそうだけど行ってきて。 美歌」

「はぁ……出来たらこっちに来ないかなぁ」

「逆に私が困るのですが」

 ため息混じりに呟いた美歌にそう眼鏡をかけた女子がキッパリと言い切ると美歌はまた小さくため息をついた。

「じゃあね、凛。 気を付けてね」

 最後に美歌は凛の額にキスをして、眼鏡をかけた女の子と共に歩き去った。

「じゃあ俺達も行くか」

 そう言って瞬は優しく凛の手を握り、章平と武と共に美歌達とは別方向へ歩いて行った。

 6人を見送ると、椿はポケットから携帯電話を取り出した。

「学園長。 6人とも向かいました」

 《分かった。 君も戻って準備をしておいてくれ》

「了解」

 椿は通話終了ボタンを押し、ビルの中に入った。



「はぁ…………」

 辰也は目覚めて最初にため息をついた。

 辰也の左側には優衣が、右側では未来が眠っている。

(セミダブルサイズのベッドに3人は狭すぎるな……)

 実際に優衣と未来は辰也に密着して寝ないと落ちてしまいそうで、そうなると当然辰也は寝返り等は一切出来ない事になる。

(さっさとランキングを駆け上がらないと熟睡出来ないな)

 辰也は起き上がろうと手を動かそうとした。

 まず左腕は肘をしっかりと掴まれ、その上は柔らかい大きな胸に挟まれ、肘から下は優衣の腰の下敷きになっている。

 右腕は未来が器用に腕の上に頭を乗せており、肘は優衣と同様に掴まれ、手は少し丸まった様な体勢の未来の太ももの間に挟まれている。

(変に動かせないんだけど……。 特に右腕)

 左手は優衣の腰の下敷きになっているだけなので引き抜く時に危険性(リスク)は大きくない。 しかし右手の場合未来の太ももの間から引き抜く為、女の子の体の中で一番触ってはいけない場所に手が触れる可能性がある。

 しかし未来が太ももを擦り合わせるように動かす時に、少しずつ辰也の手が上に上がっていくので、時間も辰也の味方ではない。

(未来よ、温かいのか知らないがその動きは止めてくれ!)

 未来が太ももを擦り合わせる度にすべすべとした感触が手にどうしても伝わってしまう。

(左腕を引き抜いて何とかするか……)

 辰也はそう決めて優衣の下敷きになっている腕を引き抜こうと、まずは手の部分から引き抜こうとした瞬間、優衣が体勢を変え、辰也の手は優衣のお尻の下敷きになった。 間に服はなく、あるのはパンツの布だけなので優衣の胸と同様、色々と伝わってはまずい感触が手に伝わる。


 その後辰也は様々な手を尽くして、この窮地(ピンチ)を切り抜けた。


「お兄ちゃ~ん」

「あんまりうろうろするなってば」

 瞬はそう言って優しく凛の頭を撫でた。 凛は瞬に抱きつくと、少し不満げに頬を膨らませた。

「少し位お買い物しよー?」

「凛、本来の目的忘れてないか?」

 瞬と凛は今、都内の大きなショッピングモールに来ていた。 瞬は2階から下を見下ろした。

 瞬達がいるところは4階から1階まで吹き抜けで、ガラス越しに外の景色も見ることが出来た。

(まぁ中から広く外を見れる範囲はここだけだから選んだんだけどな)

 瞬は1階の自動ドアの近くに立っている武を見つけた。 瞬の指示通りの場所に着いている。

「お兄ちゃんの胸固い……」

「美歌さんと比べるなよ。 それに美歌さんと比べたら殆どの女性が勝てないし」

「お姉ちゃんはホントにあったかくてやわらかいもん」

「帰ったらたっぷり甘えな」

 瞬はそう言って凛を優しく抱き寄せた。 凛も頷いて瞬の体を抱きしめた。

「そろそろ来るのかな?」

「さぁ……どうだろうな」

 瞬はそう呟いた。



 辰也はもう1つのベッドに寝転がった。

「お兄ちゃん疲れてるの?」

「未来が癒してあげる!」

 そう言って未来が辰也の横に寝転がる。 辰也は寝返りをうって反対側を向いた。

「お兄さん酷いよ!」

「頼むから寝かせてくれ」

 辰也がそう呟くと反対側に優衣が寝転がった。

「優衣も一緒に寝るね。 その方がお兄ちゃんもよく寝れるでしょ?」

(逆効果だ!!!)

 辰也は心の中でそう叫び、上体をゆっくりと起こした。

「お兄さん寝ないの?」

「寝かせてくれそうに無いじゃん……」

 辰也はまた大きく欠伸をした。

 先程、辰也達が朝食を食べた後に学園から外出禁止の通達があった。 これにより、辰也達を含めて全員の生徒が部屋からの外出を禁じられているのである。

(まぁみんな友達の部屋に移動してたりしてるけどな)

 辰也はドアから廊下を覗いた時に生徒が部屋を出入りしているのを見たが、どうやら同じフロアのみ移動している様であった。

(流石に瞬の所までは遠すぎるな……)

 辰也は小さくため息をついた。

「でもどうしていきなり禁止令なんて出たのかな?」

「外で怖い事件でもあったのかも」

 優衣と未来はそう言って辰也の横に寝転がった。

「まぁ色々とあるんだろう。 特殊な学園だし」

 そう言って辰也はもう一度大きな欠伸をした。



「章平、聞こえるか?」

 《はい、聞こえてますよ》

 屋上に待機している章平の声が瞬のアナライズを通して聞こえる。

「武も聞こえるか?」

 《はい、聞こえてるっすよ、兄貴。 んでもって……》

「あぁ、武と俺と凛は見えてる。 章平も確認してくれ。

 来たぞ」

 瞬がそう言うとショッピングモールの入り口前に黒い車が停車した。

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