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白き過去

読んでいただけるとありがたいです。

 瞬が向かっていくと同時に章平は杖を構えた。 周りには優衣の2倍程の数の白い玉が出来上がる。

「ミラージュ」

 章平が呟くと多数の白い玉は英里奈に襲いかかった。

「イレイザー!」

 英里奈の周りにも複数の白い玉が出来上がり、イレイザーは瞬に向かって放たれた。

 瞬はマンションの壁をかけ登りながら剣でイレイザーを弾き、英里奈に剣を振り下ろした。 英里奈は間一髪剣を杖で防いだ。

 瞬は英里奈の杖を蹴って上に跳び上がると英里奈に章平のミラージュが着弾する。

 英里奈はシールドを張ってミラージュを防ぐが直ぐにヒビが入っていく。

「厄介な……!」

 英里奈が苛つく様にそう呟くと手に着けているアナライズがぼんやりと光り、英里奈は指を乗せた。

《何をしている? 英里奈》

 アナライズから男性の声が聞こえてくる。

「交戦中よ。 お陰でまだその子達は殺せてない」

《…………まぁ良い。 今すぐ帰ってこい。 次の目標が決まった》

「了解」

 英里奈はアナライズから指を離し、後ろに迫っていた瞬に向けてイレイザーを放った。

「バウンド」

 英里奈はシールドが壊れるのと同時に空中へ跳び上がった。

「逃がすか!」

 瞬はマンションの壁をかけ上がり、英里奈に飛びかかろうと足に力を入れる。

「ゴリアス」

 英里奈はマンションの壁にゴリアスを放ち、マンションの壁が崩れ始めた。

「イレイザー」

 英里奈の周りに大きな二つの白い玉が出来上がった。

「じゃあね。 また今度遊んであげるわ」

「待て! 金倉!」

 瞬は崩れ落ちるマンションの瓦礫を跳び移りながら英里奈に向かって行く。 章平のミラージュも既に英里奈に向かって放たれていた。

「バウンド」

 英里奈は白い玉を章平と辰也達に向けて放ち、瞬から遠ざかる様にバウンドを使用して跳び上がった。 英里奈はもう一度バウンドを使い更に遠くに跳んでいく。

「なるほど。 この様にして僕を足止めするとは」

 章平は自分に向けて放たれた攻撃をいとも簡単に相殺した。

「ふん!」

 武も少し屈んで構えるとイレイザーの着弾のタイミングに合わせて右でアッパーを繰り出し、イレイザーは消え去った。

「待て!!」

 瞬は地面に着地すると英里奈がバウンドを使った方向に向かおうと走り出した。

「瞬さん待って下さい! 深追いは危険です!」

「でもチャンスだろ!?」

「僕達の戦いはあまり民間人に見られてはいけません。 何より民間人に被害が出ては奴等の手助けをしている様な物です!」

「…………分かったよ。 章平」

 瞬は英里奈が逃げていった方向を見て小さく舌打ちをするとアナライズに再び指を置いた。

「こちら早川。 学園長。 金倉英里奈を逃がしました」

《そうか……。 怪我人は?》

「新たに負傷者はいません」

《それは何よりだ。 では速やかに帰還してくれ》

「了解しました」

 瞬はアナライズから指を離すと瞬の服装が元に戻った。 章平もアナライズに指を置くと朝会った時の服装に戻った。

「とりあえずは撃退と言ったところっすかね」

 武も緊張がとけた様に小さく息をはいて装備を解除した。服装が元に戻っていく。

「えっと……」

 優衣もアナライズに指を置いて装備を解除した。

「怪我は無いよな?」

 瞬がそう言いながら章平と一緒にこちらに向かって歩いてくる。

「あぁ。 俺と優衣は大丈夫だけど……」

 辰也は地面に寝ている放人と放心状態の少女に目を向けた。

「特に女の子に反応が無くてさ」

 辰也は再び少女の肩に手を置いてじっと目を見つめた。

「とりあえず戻るぞ。 武、放人いけるか?」

「余裕っすよ」

 武は放人をゆっくりとおんぶすると学園に向かって歩き始めた。

「女の子は……」

 瞬は少し息を切らしながら辰也と顔を見合わせた。 どちらかが運ぶべきだと考えているのだと辰也は思った。

「俺がおんぶするよ。 瞬疲れてるだろ?」

「ちょっとだけな」

 瞬は息を整えるようにゆっくりと歩き始めた。 辰也は女の子をおんぶしようとしたが女の子の近くに落ちていた赤い腕輪の様な物を拾い上げた。

(この子のかな?)

 辰也は女の子の腕に赤い腕輪を着けると辰也は女の子をおんぶして瞬達の後を追うように歩き始めた。 後ろから章平と優衣がついてくる。

「お兄ちゃん……優衣も……」

「ん?」

「……何でもない」

 優衣は少し頬を赤く染め、辰也の横を歩いた。



 ビルに帰り、白衣を来た人達に放人と少女を預けると辰也達は最上階に向かった。

 エレベーターの扉が開くとそこには椿が立っており、椿は優衣を見るなり早々優衣を抱きしめた。

「大丈夫!? 怪我してない?」

「大丈夫です。 甘える元気もありますよ」

 優衣も椿の体をぎゅっと抱きしめた。 椿は安心した様に微笑みながら優衣の頭を優しく撫でた。

「辰也君も大丈夫だった?」

「瞬達が来てくれなかったら危なかったですね」

 辰也は素直にそう答えた。 実質瞬が英里奈のイレイザーを弾いていなければ辰也は蜂の巣になっていただろう。

「椿さん。 放人は?」

 瞬は心配そうに尋ねた。

「今は医務室で寝てるわ。 命に別状は無いそうよ」

「あの女の子もですか?」

「ええ。 あの子は外傷は無いのだけれど大きなショックを受けたみたいで……」

「放人状態……ですか」

 辰也はそうため息混じりに呟いた。

「でも命があって良かったわ」

 椿はそう言って微笑んだ。

「そういえば学園長は?」

「奥にいるわよ」

 辰也達は奥にある学園長室の扉を開けた。

「学園長。 みんな帰ってきましたよ」

「む。 そうか」

 学園長は辰也達を見ると安心した様に微笑んだ。

「ここにいるみんなは無事の様だね」

 学園長がそう言うと瞬は頭を下げた。

「申し訳ありません学園長。 金倉英里奈を……」

「まぁそんな気にしないで。 別に絶対にもう会えない訳じゃない」

「次は……絶対に捕らえてみせます」

 瞬はそう言って部屋から出て行き、章平と武も頭を下げて瞬を追うように部屋から去っていった。

「瞬さん……何かあったんですか?」

 優衣は椿にそう尋ねると椿は頷いた。

「通っていた学校を襲ったのが金倉英里奈。

 そうですか?」

 辰也の言葉に椿と学園長は驚き、2人は頷いた。

「ええ。 彼の高校を襲って皆殺しにした犯人が金倉英里奈よ。

 本人から聞いたの?」

 椿の問いに辰也は首を横に振った。

「いえ……。 ただ瞬は俺達を助けると言うよりは金倉英里奈を捕らえたい。 または殺したい。

 そんな風に思えたので……」

「結果的に君達2人を助けられただけ……という感じかな?」

「と言うよりは章平と武に俺達の護衛を任せる感じで……。 自分は金倉英里奈とひたすら戦ってました。

 金倉英里奈が逃げる時も追おうとして章平に止められてましたし……」

「まぁ瞬君の気持ちは分かるけど……。 やっぱり冷静ではいられなかったかな……」

 椿は少しため息混じりにそう呟くと学園長と目を合わせた後に部屋から出ていった。

「さて、2人には大変な目に合わせてしまったが……。 実はもう1つ大変な話があるんだ」

「大変な……話?」

 辰也が首をかしげると学園長は頷いた。

「この学園の序列がポイント制だということは覚えてくれているかな?」

「ええ。 確か500ポイントからスタートするんですよね?」

「そう。 君達にアナライズを渡すときに大体のオリジン量を計測させてもらったんだ。 そこから2人の強さを大まかに予想してポイントを渡したというわけだ」

 学園長はそう言って机の上からパソコンを運んできた。

 画面にはカレンダーが映し出されている。

「君達の場合は明後日の木曜日に昇格戦。 通称ランク戦がある。

 戦い方は二種類。 こちらで決めた対戦相手と1対1で戦うとの。

 もう1つは大人数で乱闘するものだ」

「明後日……。 随分と早いですね」

「確かに申し訳無いがあまり時間は無いね……。 明後日までに出来るだけ訓練を……」

 と学園長が話している途中でノックの音が聞こえ、扉が開くとそこには椿と瞬が立っていた。

「昇格戦の練習試合……だろ? 辰也?」

「あ……あぁ。 あんまり時間が無いって……」

「実戦で覚えた方が早い。 明日から俺が辰也の相手をするよ」

「えっ!? 瞬が!?」

 辰也は驚きのあまり大きな声を出してしまった。

「良いの瞬君? 辰也君と優衣ちゃんの為にそこまでやる必要は……」

「この2人は金倉英里奈相手にそこそこ戦えてた。 俺自身前からそうですけど興味があるんですよ」

 瞬はそう言うと辰也の前に立った。

「どうだ? 辰也」

 瞬は優しく微笑みながら辰也に尋ねた。

(瞬と戦える……。 まだ良く分からないけど多分瞬と戦えるチャンスなんて皆無なんだろう……)

 辰也は笑顔で頷いた。

「じゃあ……瞬に鍛えて貰おうかな」

「決まりだな。 じゃあさっさと行こうぜ」

 瞬はそう言って部屋から出ていった。 辰也は優衣を見ると優衣は首を横に振ったので椿と学園長に頭を下げ、瞬の後を追った。

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正直なところ無いと心が折れそうです(笑)

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