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黒き魔術士

読んでいただけるとありがたいです。

「あらあら。 フルネームで呼んでくれるなんて嬉しいわね」

 英里奈はそう言って微笑んだ。

「でも辰也君と優衣ちゃんならお姉様って呼んで欲しいかな」

「呼ぶわけ無いだろう」

 辰也はそう言って英里奈を睨み付けた。

「あらあら怖い顔。 お姉さんを怖がらせるのはいけないわよ」

 英里奈は頬に手を当てて微笑みながらそう言った。

「お前には色々と聞きたいことがある」

「あら、何が知りたいの? 私のスリーサイズ?」

「聞いてねえよ!!」

 辰也は剣を英里奈に向けて振り下ろした。 同時に英里奈に向かって斬撃が飛んでいく。

「あらあら。 乱暴な子。 ドSなのかしら」

 英里奈は斬撃を回避して杖を構えた。 周りに複数の白い玉が出来上がる。

「イレイザー」

 英里奈がそう呟くと白い玉が辰也に向かって放たれる。

「シールド!」

 辰也が手を前に出すと半透明の青色の膜の様な物が現れ、英里奈が放ったイレイザーを防いだ。

 大きさは直径が2メートル程の円型である。

「何でここにお前がいる?」

「だってボスに貴方達を逃がした事がバレちゃって怒られちゃったから」

 英里奈は自分の頭に拳を乗せて少し舌をだした。

「テヘペロ」

(……やりにくいなこいつ)

 辰也は小さくため息をついた。 後ろでは優衣も少し戸惑っている。

「……それで俺達を殺しに来たのか?」

「そうよ。 そしたら貴方達いないんだもん。 酷い話だわ。

 だからこのマンションの人を殺したの。 中々楽しかったわ」

 英里奈はそう言って微笑んだ。

 その笑顔を見て辰也は背筋が寒くなった。 優衣の表情にも恐怖を色が浮かんでいる。

(こいつ……人を殺すのに快感を覚えてるな)

「そうか……」

「そしたら殺ってる最中にその男の子が来てさ。 邪魔ばっかりしてくるから倒したの。

 そして殺そうと思ったら貴方達の登場ってわけ。 探す手間が省けて良かったわ」

 英里奈はそう言いながら再び杖を構えた。

「死ね」

 英里奈がそう呟くと白い玉が現れ辰也達に襲いかかった。

「シールド!」

「なめすぎね」

 英里奈がそう呟くとイレイザーは軌道を変え、辰也の前に現れた盾を避けた。

「ミラージュ!」

 優衣がそう叫ぶと優衣の周りに現れた白い玉が英里奈の放ったイレイザーとぶつかり合い、相殺した。

「イレイザー!」

 英里奈は再び辰也達に向けてイレイザーを放った。

「優衣、二人を頼む!」

 辰也は前にシールドを張ると英里奈に向かっていく。

「だからシールドは無駄なの」

 英里奈が辰也に手を向けて指を動かすと指の動きに呼応するようにイレイザーの軌道が変化する。

「ミラージュ!」

 優衣は再び英里奈のイレイザーを自分のミラージュで相殺した。 辰也はシールドを解除して剣を振りかざす。

風斬(かざぎり)!!」

 辰也は英里奈に向かって剣を振り下ろした。 英里奈は軽く横に飛んで回避した。

「バウンド!」

 辰也の足元に白い小さな円が現れる。 辰也がそれを踏むと辰也は勢いよく英里奈に飛んでいった。

 辰也は剣を水平に振り抜こうとしたが英里奈は杖を垂直に構えて辰也の剣を防いだ。

「私に勝てるとでも思ってるの?」

 英里奈はそう言うと辰也を蹴り飛ばした。 そして杖を構えて周りに複数の白い玉を出現させた。

「イレイザー!」

「バウンド!」

 英里奈のイレイザーが放たれると同時に辰也は優衣の近くに移動した。

「やれやれ……簡単には殺られてくれないみたいね」

「当たり前だ」

 そう言って辰也は剣を構えた。 優衣も横で杖を構える。

「でもそろそろ帰らないと行けないの」

 英里奈の周りに少し赤っぽい色の玉が現れた。

「だからさっさと殺すわね」

 英里奈の周りの赤い玉が辰也達に襲いかかった。 辰也は思わず身構えるが玉は軌道を変え、辰也達の足元に着弾した。

 次の瞬間に爆発が起こった。 辰也達の体は宙を舞った。

「炸裂弾……!?」

「今のは……ゴリアス!」

「正解よ」

 二人の問いに答えるかの様に英里奈は呟いた。 声の聞こえた方向から辰也は上を見上げた。

 上では既に英里奈が杖を構えて周りに複数の白い玉が浮かび上がっている。

「イレイザー」

「ミラージュ!」

 英里奈がイレイザーを放つと優衣もミラージュを放った。

「ミラージュの着弾対象を私のイレイザーにするのは高度な技術が必要。

 入って間もないのに出来るのは凄いことだけどそれは私の攻撃速度が遅い場合!」

 英里奈のイレイザーのスピードが急に上昇し、優衣のミラージュを回避した。

「優衣!」

 辰也は優衣を自分の体に隠す様に優衣を抱きしめた。

 辰也の背中にイレイザーが命中する。

《ダメージ超過(オーバー)。 装備が消失します》

 辰也の服装が元に戻り、辰也は地面に転がった。

「お兄ちゃん!」

 優衣は辰也に駆け寄った。 辰也は痛そうに声を漏らしながらゆっくりと起き上がった。

「勝負ありね。 死になさい」

 英里奈は杖を構えて辰也と優衣に向けてイレイザーを放った。

(俺はもう戦えない……! 優衣じゃ防げない……!)

 辰也と優衣にイレイザーが迫ってくる。

(ダメだ……! 死……!)

 諦めて辰也が目を閉じかけた瞬間に英里奈が放ったイレイザーが一瞬の内に消滅した。

「えっ!?」

 辰也が驚きの声を上げ、前を見るとそこには一人の男が立っていた。

「遅くなったな。 辰也」

「瞬!? 何でここに……」

「質問は後だ。 今は離れててくれ。 後ろの二人を頼む」

 瞬はそう呟いて英里奈の目の前に一瞬の内に移動した。

「きゃっ!」

 瞬が振り下ろした剣を辛うじて英里奈は杖で防いだ。 しかし次々と瞬は休む間もなく英里奈に斬りかかる。

「レディには少しは気を使いなさい!」

 英里奈は後ろに飛ぶと杖を構えた。 周りに複数の白い玉が浮かび上がる。

「黙れ……!」

 瞬は既に英里奈の背後に回り込んでいた。

「予想済みよ」

 英里奈がそう呟くと白い玉はいきなり後ろに向かって放たれた。

「予想済みね……。 ならこれは?」

 瞬がそう言うと次の瞬間に英里奈に雨の様に白い玉が降り注いだ。

「なっ……!?」

 英里奈は驚きの声を上げ、上にシールドを作り出した。 しかし圧倒的な弾の多さにシールドにヒビが入り始める。

「よそ見すんなよ……!」

 自分に放たれたイレイザーを全て剣で弾いた瞬が英里奈の横に移動していた。

 瞬が剣を振り抜くと英里奈は杖で防いだものの英里奈の体は宙を舞った。

 上空から放たれる攻撃は英里奈を追うように軌道を変えた。

(この玉……ミラージュ!)

 英里奈はイレイザーで相殺し、相殺しきれない物をシールドで防ぎ始めた。

(ヤッバ……! 速くあの子達だけでも殺さないと!)

「バウンド!」

 英里奈は前方に移動すると空中で杖を構えた。 英里奈を追うように瞬が飛び上がり、上空から放たれているミラージュも軌道を変える。

「イレイザー!!」

 英里奈はミラージュをシールドで防ぎながらイレイザーの半分は瞬。 もう半分を無防備な辰也と優衣に向けて飛ばした。

「ちっ!」

 瞬は自分に放たれたイレイザーを一瞬で弾いた。 しかしここは空中。 すぐに辰也達を助けに行くのは不可能であった。

「優衣! シールドを!」

辰也が叫ぶと優衣は困った様に振り返った。

「優衣シールド持ってない!」

「マジで!?」

「ミラージュ!」

 優衣の周りにミラージュが現れ、辰也は放人と少女に駆け寄った。

(二人を守らないと……!)

 辰也が後ろを振り返ると優衣が相殺し損ねたのであろう一発が辰也に向かってくる。

「くっ!」

 辰也が二人を庇おうとした時に目の前に体を鎧で纏った巨体の男がイレイザーを防いだ。

「大丈夫っすか? 辰也の旦那」

「武!?」

「良かった。 放人さんも命はあるみたいっすね」

 武はそう言って優衣の前に立った。

「皆さん自分の後ろに隠れていて下さいっす」

「分かった」

 辰也はそう答えて英里奈の方を見た。 英里奈の横には既に瞬が斬りかかっているところだった。

 瞬の剣が英里奈の体を真っ二つにするような勢いで振り抜かれ、英里奈はマンションに激突し、部屋の中に消えた。

 上空から放たれるミラージュが止み、上空から杖を手にした眼鏡をかけている少年が降りてきた。

「部屋に追い込んだらダメですよ瞬さん」

「悪いな章平。 ちょっと焦った」

「別に謝ることはないですよ。 仕留めたのでしょう?」

「いや……」

 瞬が呟くと部屋の中から英里奈が現れた。 その目は怒りの色が見てとれる。

「バウンドで逃げられたか……」

 瞬は吐き捨てる様に言いながらアナライズに指を置き、口を近づけた。

「学園長。 早川、遠山、金剛、現場に着きました。 相手は金倉英里奈です」

《私だ。 負傷者は?》

「負傷者は弓親。 無装備は辰也と見知らぬ少女です」

《分かった。 瞬、金倉英里奈を捕えろ。 危険な時は無理はせずに撤退を》

「了解」

 瞬はアナライズから指を離した。

「学園長の指示は? 拘束ですか?」

 章平は英里奈から目を離さないようにしながら瞬に指示をきいた。

 瞬は剣を構えた。

「処刑だ」

 瞬は英里奈に向かって行った。

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本日更新の

魔力大戦~magical world~

もよろしくお願いいたします。

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