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黒き暗殺者

前回の話と続けて序盤は深夜テンションで書いた物なので朝っぱらから優衣と椿さんがゆりゆりしております。

百合表情が苦手な方は美歌さんが凛ちゃんを寝かしつけた後に空白があるのでそこからお読みください。

「ん……」

 顔に何やらとても柔らかくて温かい物が当たっている事を感じながら優衣はゆっくりと目を覚ました。

「椿さん……?」

 優衣は椿の胸に顔を埋めて寝ていた様だ。 椿は優衣を抱きしめたまま眠っている。

「昨日寝る前……椿さんに……」

 優衣は顔が真っ赤になり、再び椿の胸に顔を埋めた。 ついさっき起きるときにも味わった柔らかさが再び顔に伝わる。

(しかも良い匂いする)

 優衣は椿から漂う甘い香りに夢中になっていた。 顔を押し付けたり匂いを嗅いでみたりと椿の胸を堪能する。

(ボディソープの香りとちょっとシャンプーの香りがする。

 でもその二種類だけじゃ無い気が……。 何でこんなに良い匂いするのかな……)

 優衣は椿の胸に顔を埋めながら甘い香りを嗅いでいる。 しかしそれが少しくすぐったかったのか椿はゆっくりと目を覚ました。

「これは椿さんの匂いなのかな……」

「私の匂い?」

「わっ! 椿さん!」

 優衣は慌てて椿から離れた。

「あ、もしかして不快だった?」

 椿がそう言うと優衣は大きく首を横に振った。 そしてもう一度椿の胸に顔を押し付けた。

「凄く良い匂いがします」

「まぁ椿は確かに昔から良い匂い漂わせてたよね」

 美歌が凛を抱きしめたままこちらを見てそう言った。 腕の中で凛はまだ気持ち良さそうに眠っている。

「あら、美歌にしては随分と早いお目覚めね」

 椿は時計を見てそう言った。 時計は朝の8時を指している。

「まぁ昨日寝るの早かったし。 それより優衣ちゃん。

 どうだったの? 昨日の寝る前の接吻は」

 美歌がにやにやしながらそう言うと優衣は頬を真っ赤に染めた。

「やっぱり椿はキス魔だね」

「美歌、変なこと言わないでよ」

 椿は笑いながら優衣の頭を優しく撫でた。 そして優衣の頬に手を添えると優衣を真っ直ぐに見つめた。

「して欲しいならいつでもしてあげるよ」

「えっ!?」

 優衣の頬が更に赤くなり、耳まで真っ赤になっている。

「じゃ、じゃあ……」

 優衣は恥ずかしそうにもじもじしながら椿を見つめた。

「今して欲しいです。 って言ったら……」

「もちろん良いよ」

 椿は優衣の後頭部に手を添えると唇にキスをした。

「んっ……! んんっ……!」

 優衣は椿に抱きつき、服をしっかりと握っている。 美歌は凛を抱きしめたまま嬉しそうに優衣と椿を見ている。

 そして椿が優衣から唇を離すと優衣はとろんとした目になった。

「頭ん中……真っ白になっちゃう……」

「優衣ちゃんかわいい」

 椿は微笑みながら優衣の唇にそっと指で触れた。

「流石はキス魔だね。 やることが違うわ」

「うるさいわよ淫魔(サキュバス)

 椿は笑いながら美歌にそう言うと優衣から離れて携帯電話を手に取った。

「瞬君たちはもう起きてるかな?」

「さぁ……昨日のババ抜きがどれくらいヒートアップしたかだね」

「確かに」

 椿は笑いながら携帯電話を机に置いた。

「ねぇ美歌。 何か飲み物貰って良い?」

「良いよ。 好きなの飲んで」

「ありがとう」

 椿は寝室から出ていくと美歌は凛から離れてぼーっとしていた優衣に抱きつき、胸をわしづかみにした。

「やっ! 美歌さん……!」

「今更だけど優衣ちゃんの格好エロいよね」

 優衣は辰也と一緒に寝るとき同様下着と薄いシャツ一枚だった。

「そりゃ椿もキスするな。 それで! 椿のちゅうはどうでした?」

 美歌は小悪魔の様な笑顔で昨日と同様に胸を揉みながら優衣を問い詰める。

「ど……どうって……」

「言わない子はお仕置き」

 美歌は昨日見つけた優衣の弱点を中心に胸を揉み始めた。

「あんっ! だからそこはだめぇ……!」

「言わないと止めてあげない」

「やぁん! だって……どうって言われても……」

「じゃあ質問変えてあげる。 またして欲しい?」

 美歌は胸を揉むのを止めた。 但しまだ手は離さない。

「えっと……」

「お仕置き」

 美歌は攻撃を再開した。

「して欲しい! して欲しいです! だからそこはだめぇ!」

「へぇ……優衣ちゃんはまたもみもみして欲しいんだ」

「えっ!? ちが……」

「問答無用!」

「やぁん! あんっ! だめぇ!」

 優衣の口から甘い声が溢れ出ている時、寝室の扉が開いた。

「ありがとう美歌。 オレンジジュース美味しかった……って! 貴女は何してるの!?」

「再び堪能してます」

「答えになってない!!」

 椿は優衣と美歌を引き離すと優衣を自分の体で隠すように抱きしめた。

「油断した……。 まさかジュースを飲みに行くだけで優衣ちゃんを襲うとは……」

「まぁ私も凛が起きない程度にしかしないけど」

 凛はまだベッドですやすやと眠っている。

「優衣ちゃん。 私が側にいる間に着替えて。 着替えたら辰也君達の所に行きましょ」

「分かりました」

 優衣は椿の横でシャツを脱いで普段着に着替え、椿も優衣の横で着替えを済ませた。

「じゃあ行こっか」

 椿は優衣の手を握り、美歌にお礼を言うと辰也達の部屋に向かった。

「やれやれ。 あの様子だと確実にあの子の事を思い出してるな……」

 美歌がそう呟くと凛はゆっくりと目を開けた。

「お姉ちゃん?」

「あ、ごめんごめん。 起きちゃった?」

 美歌は凛に添い寝をするように横になった。

「でも凛も私がいなくても寝れないとだめだよ?」

「分かってるけど……。 やっぱりお姉ちゃんがいる方が寝れるもん」

 凛は大きく欠伸をして美歌に抱きついた。

「まだ眠い……」

「後1時間位なら寝て良いよ」

 美歌が優しく凛の頭を撫でていると凛はすやすやと寝てしまった。

 美歌は凛の寝顔を見つめた。

「私も人の事言えないか……」

 美歌は凛の頭を優しく撫でながら小さく呟いた。



 優衣が玄関のベルを鳴らした。

「おはようございます」

 玄関の扉が開き章平が出てきた。 顔で寝起きでは無いと分かる。

「おはよう章平君。 辰也君は?」

「まだ寝てます」

「お兄ちゃんが? 珍しい……」

「入ります? 瞬さんと放人さんも寝てますが」

「あ、じゃあお邪魔します」

 優衣と椿は部屋に入り、まずリビングの扉を開けた。 ソファーの上で放人が毛布を被って寝ていた。

 奥の部屋を開けると1つのベッドには瞬が。 もう1つのベッドには辰也が寝ていた。

「お兄ちゃん。 起きて」

 優衣は辰也の肩を優しく揺さぶった。 すると辰也はゆっくりと目を覚まし、大きく伸びをした。

「優衣? 何でここに……」

「まだ寝てるって聞いたから」

 優衣もベッドに寝転がると辰也に体を密着させる。

「おはよう。 お兄ちゃん」

「おはよう。 優衣」

 辰也はゆっくりと上体を起こしながら優衣の頭を優しく撫でた。

「椿さんもおはようございます」

「おはよう。 辰也君。 ちなみに水道の修理は終わったみたいよ。 今学園長から連絡があったから」

「分かりました」

 辰也はそう言って優衣を膝の上からおろして立ち上がった。

「じゃあ部屋に戻ります。 章平、瞬達が起きたらありがとうって伝えておいてくれ」

「分かりました」

 辰也と優衣と椿は一緒に部屋から出ると椿は上行きのエレベーターに乗り、辰也と優衣は下行きのエレベーターに乗った。

「そう言えばお兄ちゃん。 前に家からドライヤー持ってくるの忘れちゃったから取りに行こうよ」

「そう言うのは椿さんが一緒にいる時に言えよ……」

 辰也と優衣は一旦自分達の部屋に戻ると荷物を置いた。

「確かメールで出来たはずなんだが……」

 辰也は支給された携帯電話のメール機能を開くと「外出許可申請」の項目を見つけた。

 辰也はメールを送信すると携帯電話をポケットにしまった。

「じゃあ許可がおりるまで朝御飯だな」

 辰也と優衣は食堂に向かった。 前回昼御飯を食べたときよりも遥かに混んでいる。

「随分と混んでるな」

 そう言って辰也が優衣の手を握ると優衣は頬を赤らめた。

「優衣、何食べる?」

「えっと……」

 優衣は辰也に寄り添ってメニューを見つめた。

「お兄ちゃんは何にするの?」

「うーん……うどんにしようかな」

「じゃあ優衣もうどんにする!」

 長い列に並び順番が来ると辰也と優衣は注文した後に料理が渡される場所で待った。

「席空いてるのかな……」

「カウンター席は空いてそうだな」

 辰也と優衣は料理を受け取ると空いているカウンター席を見つけて座り、うどんを食べ始めた。

「そう言えばお兄ちゃんは昨日ババ抜きしたの?」

「うん。 何で知ってるんだ?」

「美歌さんが言ってたの」

「章平のマイブームらしくてさ。 昨日はベッドを賭けて勝負したんだ」

 辰也はその時の光景を思い出したかの様に笑いながらそう言った。

「でも1回しかやらなかったの? それなら早く終わりそうだけど……」

「いや、確か1番最初に抜けた人が3点。 次が2点。 その次は1点。

 そして最後まで争って勝った人。 要するに4番目に抜けた人が0点でビリはマイナス1点。 これで10点になった人からベッドに寝るってわけ」

「……随分と激しい戦いだったみたいだね」

「しかも同じ数字で色が一緒じゃないと捨てれなかったからな。

 スペードとクローバー。 ハートとダイヤ。 この組み合わせじゃないと捨てれなかったから余計に長くなってさ」

「優衣それやりたくない……」

 優衣の言葉を聞いて辰也は笑った。

「まぁ放人が8点までいって2点位まで戻った時は笑い転げたな」

「そう言えば放人さんソファーで寝てたけど負けちゃったの?」

「あぁ。 あいつが敗北者だ」

 辰也は再び笑った。



 辰也と優衣は朝食を食べ終え、食器を片付けるとエレベーターに向かった。

「ちょっと訓練でもするかな」

「そうだね。 昨日の事を忘れない様にしないと」

 辰也がエレベーターのボタンを押すと上から降りてきたエレベーターの中に昨日辰也があった4人が乗っていた。

「瞬。 おはよう」

「おはよー辰也。 いやー昨日はどうだった?」

「楽しかったよ。 今からみんなで朝食か?」

「いや、放人は違うよ」

 瞬がそう言って辰也が放人を見ると放人は何やら大きなカバンを持っている。

「今からアーチェリーに行ってくるんだ」

「アーチェリー?」

 放人の言葉に辰也は首をかしげた。

「高校の時に部活でやっててさ。 それ以来スポーツジムみたいな所でたまにやってるんだ」

「そうなのか」

 そう言って瞬達とは別れ、放人とエレベーターに乗り、一階で放人と別れた。

 辰也と優衣は地下の訓練室に向かい、2人で同じ訓練室に入った。

「俺は昨日はひたすら実戦だったけど……。 優衣は昨日椿さんに何か教えてもらったのか?」

「うん。 色々と教えてもらったよ」

「そうなのか。 まぁとりあえず別れて訓練を……」

「お兄ちゃんと一緒が良い!」

「いや、だって剣士(ソルジャー)魔術士(ヴィザード)じゃ訓練内容が割りと異なるだろ?」

 辰也がそう言うと優衣は頬を膨らませた。

「まぁ部屋は一緒で良いけど……」

 辰也がそう呟くと優衣は嬉しそうに微笑み、パネルの方へ走っていった。

「やれやれ」

 辰也も微笑みながらそう呟いた。



 優衣は射撃訓練。 辰也がロボットと実戦訓練を行っていた時に携帯電話が鳴り、外出が許可された。

「今から2時間以内だって。 お兄ちゃん早く行こ」

「分かってるよ」

 辰也は優衣の手を優しく握り、訓練室から出た。 優衣は手を握られ頬が少し赤くなった。

 辰也と優衣は部屋に戻るとポストに自転車の鍵が入っていたので鍵を取ると一階に下りた。

「ドライヤーと……あと何か必要な物はあるかな?」

「椿さんが洗濯機は5階にあるって言ってたから……。 まぁもう少し服を持っていくのも良いかもな」

 辰也と優衣はそんな会話をしながら自分達の家に向かった。

「さて、着いた……」

 辰也がマンションに着いた瞬間に目に飛び込んで来た光景は普段の日常では見られない光景だった。

 マンションの駐輪場の近くには頭が無い人の体が転がり、上のベランダからも血が垂れている。

 そして1人の少女が血の海となった自動ドアの前で座り込んでおり、1人の男性が力無く地面に倒れている。

 その2人に向けて杖を向け、周りに白い玉を複数個浮かせた黒いドレスを身に纏った者が立っていた。

剣士(ソルジャー)装備(エクエメント)を展開!!

 戦闘を開始する!!」

 辰也は考えるよりも先に動き出していた。 服が白色の物に変わっていき、手には長剣(ブレード)が現れた。

風斬(かざぎり)!!」

 辰也は黒いドレスの者に向けて斬撃を飛ばした。

 黒いドレスの者は予想外の攻撃に驚いたのか後ろに跳んだ。 黒いフードを深く被っているので顔は分からない。

 辰也は男性を掴んで少女の前に移動した。 少女は気が朦朧としているのか、それとも焦点が合っていないのか目がどこを見ているか分からない状態である。

「お兄ちゃん!」

 優衣も既に変身を終え、辰也の横に立った。

 辰也は男性を少女の横に寝かせると驚きの声をあげた。

「放人!?」

「た……辰也……?」

「大丈夫か!?」

「あぁ……命はあるぜ……。 それより……早く逃げろ……!」

「バカ。 お前を置いて逃げるわけ無いだろ。 ちょっと待ってろ」

 辰也はそう言って黒いドレスの者の方を見た。 特に攻撃を仕掛けてくる様子はない。

 辰也は少女の肩を優しく掴み、真っ直ぐに目を見つめた。

「大丈夫?」

 辰也が呼び掛けると少女はゆっくりと首をかしげた。

(精神的に大きなショックを受けたのか……?)

 辰也は少女から手を離し、黒いドレスの者に向き直った。

「やってくれたな……!」

 辰也が剣を握りしめると黒いドレスの者は笑い始めた。 声の高さと笑い方から女性だと分かる。

「まさかまた会えるとはね……。 お久しぶり……になるのかな?」

 そう言って女性はフードを取った。 女性の顔を見ると辰也と優衣は息を呑んだ。

 女性は金髪の髪で歳は20前後といったところである。

「お前は……!」

「こんにちは。 辰也君。 優衣ちゃん」

 辰也は再び剣を握りしめ、優衣は表情が固くなった。

金倉(かなくら)……英里奈(えりな)……!!」

ポイント評価&ブックマーク登録を本当によろしくお願いいたします。


やっぱりなろうではSFは人気が出にくいのか……


本日更新した

魔力大戦~magical world~

もよろしくお願いいたします!

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