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白き小さなハプニング

予約投稿するのわーすーれーてーたー!

こんな夜遅くに申し訳ございません。


あと言い訳は後書きに書きますが優衣と椿さんが少しゆりゆりしております。

百合表現が苦手な方は少しネタバレになりますが新キャラのどや顔台詞の後に空白がございます。

その後をすっ飛ばして頂けると大丈夫かと……。


それでは本編をどうぞ!

「疲れたー!」

 そう言いながら辰也はベッドに仰向けで寝転んだ。 時計を見ると午後の8時を指している。

「優衣も疲れたー!」

 優衣は辰也に覆い被さる様にうつ伏せで寝転んだ。

「ずっとぶっ通しで訓練だったもんな……」

「もう今日だけで20人位戦った気がするよ……」

 優衣はそう言って欠伸をすると辰也の体を抱きしめた。

「あの……お兄ちゃん……」

「ん?」

「その……守ってくれて……ありがと……」

「何言ってんだよ。 助けてくれたのは瞬だろ」

 辰也がそう言うと優衣は首を横に振った。

「お兄ちゃんも優衣のこと守ってくれたもん!」

「まぁ……微力ながらな」

「ありがと……お兄ちゃん……」

 優衣は少し頬を赤く染めながらそう呟いた。

(割りと照れ屋だったりするんだよな……)

 辰也はゆっくりと上体を起こすと優しく優衣の頭を撫でた。

「いつでも守ってやるよ。 優衣」

 膝の上に座っている優衣の耳元でそう囁くと優衣の耳が真っ赤になった。 密着しているので優衣の体温が上昇しているのも肌で感じた。

「優衣照れてる?」

「うぅ……お兄ちゃんのいじわる」

 優衣は顔を辰也に見られない様に辰也の肩辺りに顔をくっつけている。

(めっちゃかわいいな……)

 辰也はそんなことを思いながら優衣の体を優しく抱きしめた。

「お風呂入る?」

「え? 一緒に?」

 優衣は一転して小悪魔の様な笑顔のまま首をかしげた。

「そんなわけないだろ」

「お兄ちゃんの照れ屋さん」

「一緒に入りたい?」

「お兄ちゃんのエッチ」

「どっちにしろちょっとバカにされるのか」

 辰也は笑いながらそう言うと優衣の服を捲り上げた。 優衣のお腹辺りの肌が露になる。

「きゃっ! お兄ちゃん!」

「服脱がしてあげるよ」

 辰也は強引に優衣の服を脱がし、スカートも脱がせた。 優衣はあっという間に水玉の下着以外は見に着けていない状態になった。

「は……恥ずかしいよ」

「照れ屋だな」

 辰也は優衣を抱きしめた。 いつもとは違い優衣のすべすべの肌が手に触れる。 優衣は照れて体が熱いのか少ししっとりと汗をかいている様だ。

「じゃあ優衣。 下着は自分で脱いで」

「ふええ!?」

「バスルームでな」

 辰也は笑いながら優衣を抱きしめていた手を離した。

「もう……お兄ちゃんのエッチ」

 優衣も笑いながらそう言って浴室に向かった。

「犯罪ギリギリだな」

 辰也はそう呟いて優衣の服を畳むとテレビを点けた。

「なんか面白い番組やってないかな……」

 辰也がチャンネルを変えようとした時にバスルームの扉が開いた。 すると優衣が体にバスタオルを巻いた状態で出てきた。

「お兄ちゃん! シャワーが出ないよ!」

「ちょっ! 優衣! 下着を脱いで戻ってこいなんて……

 ……え?」

「水もお湯も出ないの」

「……え?」

 辰也はバスルームに向かった。 洗面所のレバーを捻る。 こちらも水が出ない。

「こっちも駄目か」

 辰也はお風呂のシャワーのレバーも捻ってみるが優衣が言った通り同じく水は出ない。

「どうする? お兄ちゃん」

 優衣は先程辰也に脱がされた服に着替えていた。

「うーん……とりあえず困った時の椿さんだな」

 辰也は椿に渡された携帯電話を手に取ると学園内の地図を表示させた。

「えっと……椿さんは最上階に住んでるのかな」

「学園長室の近くに住んでるのかな?」

「そうかもな。 とりあえず行くか」

 辰也と優衣は部屋から出て鍵をしめるとエレベーターに向かった。

 優衣がボタンを押すと下から上がってきたエレベーターが止まり、扉が開く。

 中には見覚えのある男子生徒が乗っていた。

「瞬?」

「お、辰也! 優衣ちゃんも一緒にどこ行くんだ?」

「ちょっと部屋のシャワーの調子が悪くてさ。 水が出ないんだ」

「マジか。 じゃあ俺の部屋泊まるか?」

「え!?」

「俺らの部屋かなり広いから2人くらいなら大丈夫だと思うぜ。 ルームメイトも辰也の事気になってたみたいだし、優衣ちゃんは女の子だし。 嫌とは言わないと思う。

 まぁでもとりあえず椿さんには連絡入れといた方が良いな。 俺が電話してやるよ」

 そう言って瞬はポケットから携帯電話を取り出した。

「直接電話出来るのか?」

「おう。 「七人の白き暗殺者セブンシャインアサシンズ」の特権でな」

「じゃあ……泊めて貰えるなら着替えを取って来ようかな」

「そうか。 じゃあ俺は先にルームメイトに話してくるわ。

 俺の部屋は30階にあるから」

「分かった」

 辰也と優衣は瞬と別れると部屋に戻り、先日家から持ってきた服をベッドの上に出し、必要な分だけ着替えをバッグに入れた。

「瞬さんの部屋広いのかな」

「確かランキングが上位の者ほど部屋が豪華なんだっけ?」

「ちょっと楽しみかも」

 優衣は少し嬉しそうに部屋から出ていった。 辰也も鍵をかけて優衣の後を追った。

「30階か……」

 エレベーターに乗ると辰也はボタンを押した。 すぐにエレベーターに乗れたのは瞬が30階に行った後にエレベーターを3階に戻してくれたからだろう。

 30階につき扉が開くと前に瞬が立っていた。

「よし、行くか」

 瞬の後を追うように辰也と優衣は歩き始めた。

 辰也と優衣はエレベーターから見える光景に驚いた。 まず辰也達のフロアよりも廊下が広かった。 真横に3人位は余裕で立てそうな横幅である。

「ここだ」

 瞬は扉の前で止まり、扉を開けた。

「ただいまー。 2人が来たぞ」

 瞬がそう言うと奥から3人の男子生徒が顔を覗かせた。

 1人は身長は辰也と同じ位で元気そうな雰囲気。

 もう1人は大人しそうな眼鏡をかけた子。

 そしてもう1人はラグビー選手やアメリカンフットボール選手を彷彿させる様な大きな体の男子生徒である。

「その子が優衣ちゃんか!」

「初対面でその挨拶は酷いですよ。 放人(はなと)さん」

「まぁ放人さんらしいっす」

 3人の会話を聞いて瞬は笑うと3人に自己紹介をするように言った。

「俺は弓親(ゆみちか)放人(はなと)。 17歳だ。 よろしくな辰也君。 そして」

 放人は優衣を見て笑顔を作った。

「優衣ちゃん」

「あ……はい」

 優衣は辰也の手を握り、少し辰也の後ろに隠れる様に下がった。

「怯えさせてどうする……」

 瞬はため息混じりに呆れたように呟いた。

「僕は遠山(とおやま)章平(しょうへい)。 13歳です。 よろしくお願いします」

 そう言うと眼鏡をかけた男子生徒。 章平は頭を下げた。

金剛(こんごう)(たけし)っす。 歳は14っす」

 一番体の大きい男子生徒。 武も頭を下げた。

「まぁ俺達は辰也と優衣ちゃんの事は知ってるから。 自己紹介は省略ということで」

 瞬がそう言うと放人が手を上げた。

「俺はもっと優衣ちゃんの事を知りたいです!!」

「放人さんうるさいです」

「うるさいっす」

 後輩にダブルで言われてヘコんだのか放人は肩を落としてソファーに戻って行った。

「ごめんな優衣ちゃん。 今日はもう変な奴にナンパされてるのに」

「あ、でも……嫌な人では無さそうだから……」

 優衣がそう言った瞬間に放人はソファーから起き上がった。

「優衣ちゃんそれ本心!?」

「放人さん嫌な人だと思われますよ」

「控えるっす」

 またしても後輩にダブルで言われ、放人は再びソファーに寝転んだ。

「貴方が嵩霧辰也さんですか……」

 そう呟くと章平は眼鏡を指先で直すとじっと辰也を見つめた。

「えっと……何か?」

「入学して間もないのにランキング15位とまともに打ち合えたと聞いたものでして」

「あぁ……まぁ少しは打ち合えてたのかな……」

「凄いことですよ」

 章平はそう言って武と共に放人が寝ているソファーの近くに戻って行き、部屋の扉を閉めた。

「てか今更ながら部屋広いな……」

「リビングと小部屋が2部屋。 後は洗面所とトイレと風呂場だな」

「特にあれが気になるんだが」

 辰也は壁を指差した。 人が通れる程の穴が空いている。

「あ……あれは……」

 瞬は辰也から目をそらした。

「ぶち抜いたのか?」

「まぁ……そうだな」

「ド派手な事してるんだな」

「まぁ行き来も楽だし」

「ポジティブだな」

 辰也が突っ込みを入れる様に言うとベルが鳴り、瞬が玄関の扉を開けるとそこには椿が立っていた。

「椿さん」

「ごめん遅くなって。 それで……辰也君はここに泊まるの?」

「はい。 瞬にそう言われたんで」

「優衣ちゃんはどうする? 私の部屋に泊まってくれても良いけど……」

 椿がそう言うと少し遠くから

「あ! お姉ちゃん!」

 と声が聞こえ、優衣がそちらを見ると小さな女の子と椿と同じ位の背の高さの女性が立っていた。

「あ、あの食堂の時の」

「お姉ちゃん!」

 小さな女の子は優衣の元に駆け寄ると嬉しそうに微笑んだ。

「クレープありがとう!」

「どういたしまして」

 優衣はそう言って優しく女の子の頭を撫でた。

「凛。 その子に買って貰ったの?」

 後ろから女性がそう言って歩いてくる。

 見た目は綺麗な女性と言うよりはかわいい感じの女性で椿と同じ位の年齢に見えた。

「瞬君は何してたの……?」

「いや、美歌(みか)さん……。 実はちょっと目を離したうちに凛が消えてしまいまして」

「もう……」

「すみません……」

「ありがとう2人共」

 そう言って女性は頭を下げた。

「別にクレープ買ってあげただけですよ」

 優衣は優しく微笑んでそう言った。

「あ、そうだ! 美歌達の所に優衣ちゃん泊めて貰えば?

 美歌良いでしょ?」

 椿が美歌と呼んだ女性の方を見て言うと美歌は頷いた。

「ベッド1つ余ってるから。 でも椿も来てあげたら? 顔見知りがいた方が良いでしょ」

「どうする? 優衣ちゃん」

 椿は優衣の方を見て言うと優衣は少し考えると小さな女の子が優衣の手を引っ張った。

「お姉ちゃん! 凛の部屋においで!」

「うーん……じゃあそうしようかな。 お兄ちゃんはこっちに泊まるの?」

「俺はそうするよ」

 辰也は優衣の問いに頷き、そう答えた。

 すると奥から章平が出てくると大体状況を理解した様で

「優衣さんは美歌さん達と泊まるのですか?」

 ときいた。

「あぁ。 放人にドンマイと伝えてくれ」

「分かりました」

 瞬の言われて章平は再び部屋に戻って行き、奥から放人の悲しみの叫び声が聴こえた。

「じゃあな優衣。 また明日」

「うん。 また明日」

 そう言って優衣は美歌達と共に斜め前の部屋に入って行った。

「本当にこっちで良かったのか? 男しかいないぞ?」

「女子ばっかだと疲れる気がしてさ」

 辰也と瞬がリビングの扉を開けようとすると再び章平が出てきた。

「あ、話は終わりましたか。 さぁ、カードは配り終わってます。 始めましょう」

「えっ? 始めるって……何を?」

「決まってるじゃないですか」

 章平は指先でクイッと眼鏡を直すとまるでそれが自分の決め台詞であるかの様にどや顔でこう言った。

「ババ抜きですよ」



「ここが凛たちの部屋だよ!」

 凛に引っ張られる様にして優衣は部屋に案内された。

 部屋の数等は瞬達の部屋と同じでリビングにはかわいいソファーが置いてあり、小部屋は1つはタンスが置かれており、もう1つの方にはベッドが2つ置いてあった。

「ベッド大きいね」

「ダブルベッドって言うんだって」

「そうなんだ。 凛ちゃんは美歌さんと一緒に寝てるの?」

「うん!」

 凛は元気よく頷いた。

「じゃあ私は部屋から着替えを取ってくるわ。 後でシャワー借りても良い?」

「良いわよ。 私達2人共もうお風呂入ったし」

「ありがとう。 部屋の鍵開けといて。 すぐに戻るから」

 椿はそう言って部屋から出ていった。 優衣達はリビングに向かうと凛が机の上に置いてあったタイマーを手に取った。

「お風呂にお湯入れてきてあげるね!」

「あ、ありがとう凛ちゃん」

「ついでにアイス買ってくる!」

「全然ついでじゃ無い気がするけど……」

 優衣は微笑みながらそう言うと美歌が思い出したように手を叩いた。

「椿が確か前アイス買ってたから椿から貰っといで。 この時間売店閉まってるかも知れないし。

 お風呂のお湯はいっぱいになったら私が止めとくからタイマーして行っといで」

「うん! 分かった!」

 凛はそう言って走り去っていった。

「ところでさ」

 美歌はいきなり優衣をソファーに押し倒した。

「きゃっ!」

「あの辰也君って子。 優衣ちゃん好きなの?」

「え? 何ですかいきなり……」

「答えないとお仕置き」

 そう言って美歌は優衣の胸をわしづかみにした。

「ひゃん!」

「好きなの?」

 美歌は優衣の胸を揉みながら優衣を問い詰める。

「やぁん! もみもみしたらだめぇ!」

「好き?」

「好きです! 大好きです!」

 優衣がそう答えると美歌は手を止めた。 しかしまだ手は離さない。

「優衣ちゃんかわいい」

「うぅ……。 離して下さい……」

「やだ」

 美歌は再び優衣の胸を揉み始めた。 優衣の口から甘い声が漏れ始める。

「やんっ! だめ……!」

「おっきくて柔らかくて……程よい弾力が……」

「説明しなくて良いです!」

 優衣は体をくねくねと動かして脱出しようとしているが中々上手くいかない。

「暴れる子はお仕置き」

 美歌が少し触り方を変えると優衣の口からより一層甘い声が漏れ出した。

「あんっ! そ……そこはだめです!」

「ここ?」

「だ! だめぇ!」

 優衣が身悶えている時に扉が開き、そこには椿が立っていた。

「ただいま……って! 美歌! 何してんの!?」

「堪能してます」

「そういう事じゃない!!」

 椿は美歌の手を引き剥がすと優衣を抱きしめた。

「良いところだったのに……」

「もう……この淫魔(サキュバス)め。 優衣ちゃん大丈夫?」

「色々と怖かったです……」

 優衣は椿の体を抱きしめた。椿は優しく優衣の頭を撫でた。

「あれ? 椿、凛は?」

「もうすぐタイマーなるからってお風呂場で待機してる。 アイス溶けちゃうかも」

「ちょっと見てくるね」

 美歌はそう言ってお風呂場に向かった。

「ごめんね優衣ちゃん。 まさか初対面の優衣ちゃんにも手を出すとは……。 流石というか呆れるというか」

「昔からあんな感じなんですか?」

「そうよ。 昔から後ろから抱きついて胸を触るんだから」

「キス魔の椿に言われたくなーい」

 聞こえていたのかそんな事を言いながら美歌が戻ってきた。 横では凛が美味しそうにアイスを舐めている。

「椿お風呂入りなよ」

「……私がいなくなった瞬間に優衣ちゃん襲うでしょ?」

「まだ続きだったからね」

「むむむ……」

 椿は少し悩んでいる様で風呂に入る事を躊躇っている。 というよりは優衣から離れる事を躊躇っている。

「冗談よ。 そんなに心配なら一緒に入れば?」

「こんなこと聞くのも変だけど……優衣ちゃんどうする?」

「じゃあ……一緒に入ります」

「オッケー。 じゃあ行こっか」

 椿と優衣は一緒にお風呂場に向かうと服を脱いで浴室の扉を開けた。

「わっ! 広い!」

 2人位なら悠々と入れる様な浴槽から湯気が出ている。優衣がいつも使っている2倍はありそうだ。

「さ、入ろ」

 椿にそう言われ、優衣は湯船にゆっくりと浸かった。 お風呂特有の心地よさに思わずリラックスしてしまう。

「優衣ちゃん今日は疲れちゃった?」

 椿は体をスポンジで洗いながら優衣にきいた。

「結構疲れました……」

「お疲れ様。 明日はもう少しのんびり練習しよっか」

 そう言って椿は手招きをして、優衣は椿の前に座った。

「背中洗ってあげるね」

「ありがとうございます」

 そして椿が優衣の背中を優しく手で撫でた。

「わっ! スポンジ使わないんですか?」

「何か傷つけちゃいそうで」

 椿は素手で優衣の背中を優しく撫でるように洗っていく。

「くすぐったい……!」

 優衣は体をくねくねと動かした。

「前も洗ってあげようか?」

 椿は小悪魔の様な笑顔でそう言った。

「自分で洗います!」

「はいじゃあスポンジ」

 椿は笑いながら優衣にスポンジを渡し、泡をシャワーで流して湯船に浸かった。

「優衣ちゃんは辰也君と一緒じゃなくて良かったの?」

「はい。 たまにはお兄ちゃんも羽を伸ばしたいと思いますし」

「羽を……伸ばす?」

 椿は首をかしげた。

「お兄ちゃんは私と会った頃は私を心配して友達とかとあんまり遊ばなかったんです。 高校に入ってからもそうだったので」

「なるほど。 だからたまには男友達と騒ぐのも有りって事か」

「そういう事です」

 優衣もシャワーで泡を流すと椿が湯船から出るとタオルで体を拭き始めた。 入れ替わりで優衣が湯船に浸かった。

「椿さんもう良いんですか?」

「私ちょっとのぼせやすいから。 優衣ちゃんはゆっくりしてから出てきて」

 椿はそう言って浴室から出た。 バスタオルで体を拭いて服を着るとリビングに戻った。

 リビングでは美歌と凛が暗い表情でテレビを見つめていた。

 テレビの字幕には大きく「大量殺人犯再び!」と書かれてあった。

「またあの「黒き大剣使い」なの?」

「死体から判断すると恐らくそうよ」

 椿は美歌の問いにそう答えると凛は自分の体を抱きしめて震え始めた。

「凛。 大丈夫よ」

 美歌は優しく凛を抱き寄せると頭を撫でた。

「ごめん椿。 先に私達寝るね」

「うん。 おやすみ」

「おやすみ」

 美歌は凛を連れて寝室に入って行った。

 少しして優衣がお風呂から出てくると優衣はテレビのニュースに驚いた様だった。

「また……」

「優衣ちゃん?」

 優衣も凛と同じ様に震え始めたので椿は美歌と同じ様に抱きしめて頭を撫でた。

「もう寝よっか」

 椿がそう言うと優衣は頷き、椿はテレビと電気を消して優衣と寝室に向かった。

 1つのベッドには美歌と凛が眠っていた。 椿と優衣はもう1つのベッドに横になった。

「おやすみ。 優衣ちゃん」

「あ、あの! 椿さん……」

 優衣は小声でそう言いながら椿の袖を掴んで少し引っ張った。

「くっついても……良いですか?」

「うん。 良いよ」

 優衣は椿に抱きつくと椿も優衣を優しく抱きしめた。 椿は優衣の体が震えているのに気づいた。

「怖いの……?」

 椿がそう囁くと優衣は小さく頷いた。

「あの日の事……思い出すだけで震えが止まらないの……。

 みんな死んじゃった事とかまたみんな殺されちゃうとか思うと……!」

 より一層優衣は怯える様に震え始めた。 椿は優衣を抱きしめる力を強め、頭を優しく撫でた。

「大丈夫。 私達は強いから死んだりしないよ」

「……本当?」

「うん。 約束する。 そして私は優衣ちゃんを守ってあげる。 特に辰也君がいない時はね」

 椿がそう言うと優衣は少し安心した様で震えが少し治まった。

「椿さん。 ありがとうございます」

「あまりにも怖がってたから……」

 椿は優衣の頬に手を置くと優衣の唇に自分の唇を重ね合わせた。

「ん……。 んんっ!?」

 優衣の口から驚きの声が漏れるがその声はすぐに甘い声に変わった。

 椿は優衣から唇を離すと優しく頭を撫でた。

「もう怖くない?」

 優衣はとろんとした目で頷くと椿に抱きついてそのまま眠ってしまった。

「おやすみ。 優衣ちゃん」

 椿はそう呟いて自分も寝ようとした時、後ろから小さな声で呼ばれた。 振り向かなくても分かる。 美歌の声である。

「まだ起きてたの?」

「一応ね」

 2人は抱きつかれている妹の様な女の子を起こさない様に小声で会話する。

「ねぇ椿。 私の思い込みかも知れないけれど……」

「なに?」

「もしかして……優衣ちゃんにあの子の面影を重ねてる?」

「……………………」

 椿が黙り、少しの沈黙の時が流れた。

「ごめん……忘れて。 おやすみ椿」

 そう言って美歌は目を閉じた。

 少しの間、椿は優衣の頭や頬撫でながら優衣をじっと見つめていた。

(美歌。 貴女の言う通りかも……。 私は無意識のうちに……)

 椿はそんな事を思いながらゆっくりと目を閉じた。

読んでくださった方も思っている事かと思いますがあえて自分からも言います。


どうしてこうなった。


恐らく深夜テンションで書いたのが原因かと……。

確かに椿さんと優衣は仲良くさせる予定だったけど……。流石にやり過ぎた感があります。


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