いつかどこかで、また続く
TCMのレビュリスト達から派生した『レビュー盗作問題』の提議。
それは、ネットを通じて全国規模にまで広がった。
故意の転載や悪用の発覚を恐れたリピート・ネットを初めとする悪徳企業は業者と完全に手を切り、結果としてレビューの盗作行為は激減する。
まぁ個人のレビュー盗作は続いているし、騒ぎになった事で盗作という言葉に敏感になった自称被害者達による二次被害が出始めたりと、頭痛のタネは尽きない。
しかし、それでも俺と亰花の生活は守られた。
だから今は、それだけで満足だ。
……まぁ、とはいえ。
「この生活も、明日でお終いか」
そう、俺と亰花の同棲生活はもうすぐ一ヶ月を迎えようとしている。
結局の所、同棲生活の延長は無し。
娘の我が侭は、もうお終い。
そうTCMの社長が決めてしまえば、誰も逆らえる者は居なかった。
しかし、ここまで短いようで長かった。
だから未練だって少ない。
……そんな風に回想しながら。
俺は亰花とベランダで夜景を鑑賞しつつ、思い出話に花を咲かせていた。
「さきほどから気になってましたが、随分と寂しそうな顔をしてますわね。絶夜」
「なんだ。お前は俺と同じ気持ちじゃないのか、亰花」
「いいえまったく。わたくし、寂しくなんてありませんわ」
「どうして?」
「たとえ今は離れてしまっても、きっとまた一緒に暮らせる日が来ますもの」
「……どうやって?」
「た、たとえば、わたくしと絶夜で一緒の家族になる、とか」
そう言って俺を見る亰花の表情は、まるで薔薇のように染まっている。
じつに華やかだった。
その美しさの前に、嘘なんて吐ける筈もない。
だから。
「……なるほどね」
と言いながら、俺は夜空を見上げた。
今夜は綺麗な満月だ。
黄金色に天空を染めて、地上を優しく見つめている。 そんな月と同じ色の髪をした少女に俺は、
「亰花が望むなら、今すぐにでも」
……なんて、我ながら恥ずかしい個人の感想を送った。




