BAR
受付で予約のお客様の対応をしていた龍崎は、
「筒井様、本日はもう終わりですか」
「うんそうやね、今日は早めにリフレッシュできたしな。何かだんだん整うのがはよーなって来とる感じやなー」
「それはそれは、とても良いことではないですか。我々の本来の目的が筒井様の一言に凝縮してる気がします」
「龍崎ちゃん、そんなん言い過ぎやって。でも、確かにな、ほんまにそうかもな。って俺はもう龍崎ちゃんに操られてもうてるんか」
「おっしゃる通りです。ってそんなわけではないですけど、少しばかり正解かもしれませんね。自分で考えて動くことも大事ですが、身を委ねる事も幸せのは一つかもですね」
「まー細かい事は追々として、ココはほんまにエエ所やもんな。神様に呼ばれんと来れないとこっぽいからな、ちょっと飛躍し過ぎかな」
「そう思って頂き有難う御座います」
「ほなまた予約するわな。今度は3番の部屋にいくわな。あっ、今日は新しい人が今おるんやて」
「えぇ、珍しく若い方です。悩みを抱えすぎてる方ではなく、今の時代が生きにくく感じてるかなと思う方ですね」
「そうか~、なら龍崎ちゃんの心理と由香里ちゃんのドリンクの力でリフレッシュ出来ればええよな」
「はい、そう出来るように精進致します」
「龍崎ちゃん、硬い硬い。リラッークス、リラッークス。ほなまた来るわな」
「はい、ご予約お待ちしております」
喋りはコテコテながらも、良い人感が出てる人であり颯爽と帰られた。さぁー山下様はBARに来られるのかな、と思いながら予約表を見ながら考えを始めた。
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はっと気付くともう2時間以上寝ていた、うわーやばーと慌ててベッドから起きて周りを見た。あっ、そうか今はリフレッシュタイム中だった。少し冷や汗をかいた感じだが安堵感でホッとした。たまに寝すぎて遅刻仕掛けた事や、約束に遅れそうになった事などを思い出す。
改めて時間を見ると、すでに軽食後から2時間半は経っていてあ~無駄にしたのかなーとも思った。しかし、まだ2時間半はある。そうだ、サウナ後はお酒だな、と当たり前の納得感な感じを醸し出し、BARに向かう準備をした。一報入れないといけない聞いていたので部屋の電話からフロントに電話した。
「はいフロントでございます、山下様どうされました」
「えー今からBARに行きたいのですが、大丈夫ですか」
「エエ大丈夫ですよ。そのままBARに来ていただければ宜しいのでごゆっくりとお過ごしください」
「はい、有難う御座います」
「では、バーテンダーにもお伝えしておきますね」
「あっ、よろしくお願いします」
受話器を置き、向かう準備に取り掛かる。
ガチャッ、とフロント側のドアが開き
「由香里ちゃん、今から3番の方来られます」
由香里はテーブルを丁寧に拭きながら
「あっはーい、かしこまりました。やっぱり来ましたね」
「うん、そうだね。ということで粗相のないようにお願いしますね」
「はいはーい、任せて」
そう言うと、さっとテーブル拭きを終わらせて、来られるためにカウンター内へ戻った。
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コンコン、キーと鈍いドアの音がし、お客様用のドアが開いた。
ひょこっと顔を出した山下様が現れた、何か大人気のRPGのゲームを1文みたいだが…それはさて置き、
「あのー、今大丈夫ですか」
「はい山下様ですね、お待ちしておりました。中へとお入り下さい」
「あっはい、では失礼致します」
そう言うと山下様が入って来られた。うん、以外と丁寧で普通で良い感じの方だな。こちらへどうぞとドアから離れた角の席へ案内した。好きな数字が3番4番なので真ん中は避けるとの予測で、誕生日から調べるとソウルナンバーは5番となるが、これは参考であるため、環境により異なる事もあるので一概には決めつけられない。その為、本人にアンケートに沿って選ぶことにしている。
「ようこそお越しくださいまして有難う御座います。私はBARテンダーの雲塚由香里と申します」
そう言うと、すーと手際よく名刺を渡した。山下様も座っていたが立ち上がり両手で営業マンの様に頂戴した
「よろしくお願い致します」
「どうぞどうぞ、座って下さい」
はいと返事してお座りになった。
「お飲物はどうなさいますか」
「あ~そうですね、生ビールはありますか」
「はいかしこまりました」
おっ、定番スタートだなと思いながら丁寧に注ぎ込む。私はこう見えても生ビールマイスターの資格があるんだな。
「お待たせ致しました」
「有難う御座います」
目の前にお出しすると山下様は早速ジョッキの取っ手を持ちグイッと飲みだした。喉仏がゴキュリゴキュリとなる、美味そうに飲むなと。
プハー、あ~美味い、と至福の1杯目の定番の一言を言ったので思わず
「美味しそうに飲ませますね」
「えっ、あぁ~はい、いやサウナ後の1杯目なので美味くて美味くて」
「その様にお飲みいただけるとこちらも嬉しくなりますよ」
「何ていうか、恥ずかしいですね」
「いえいえ、不意に出る言葉や仕草は本当の事なので良いことですよ」
「そうならエエですけどね、はっはっ…」
とから笑いで流されたかな~、それとも私が気難しいと思ってるのかな。
「おつまみやお代わりの際は申し付け下さいませ、こちらがメニューとなっております」
「はい、有難う御座います」
笑顔で返された、うん、中々感じが良い方である。彼は意外にもコミュニケーションは悪くないのではないか、なら普通に話しかけても大丈夫だろう。
「山下様、ここの事最初びっくりしませんでしたか」
「あぁ~はい、めっちゃビビりました。自販機からこんな事に、そもそも論としてこんな話は聞きないことなので。でも不思議に引かれたんですよね」
「あのー難しいですし、一言で伝えきれるかどうかなんですけど…ココは人生を変えられる場所であると言うことだけはいえますよ」
バーテーブルを拭きながら自身満々に伝えた。
「人生を…変えられる…」
「ええ、ここに導かれた方は何かしらのパワーを持っている、もしくは…」
「もしくは…」
少しためながら、ゆっくり伝えた。
「もしくは、ゴッド。イコール神様かもしれませんね」
流暢な英語っぽく言いってみた。山下様は驚いている、そんな顔であるが
「そんな大袈裟な」
「大袈裟な話かもしれませんけど、私がそうなんです」
「えっ、お姉さんが」
「もう〜お姉さんではなくて、由香里さんで良いですよ」
「あぁ~すみません。名前まだ覚えてなかったので」
そう、私も山下様と一緒で吸い寄せられた一人だった。悩んでいた時に出会い、休み、リフレッシュしここの良さに魅せられ、当時のマスターに心打たれてこの仕事を天職にしたいと思い頑張って勉強した。月イチで通う様になり龍崎様やマスターに頼み込んで今に至っている。だからこそ私もココに来た全ての方を癒やされるようにして行きたいと思っている。
「人それぞれなので、初対面なら直ぐには覚えられないですもんね」
「いやーホンマに名前が覚えるの苦手なもので。でも特徴とかは特徴とかは覚えられるのでそれでなんとかやれてますね」
鼻を掻きながら少し照れくさそうにしている。
「本当ですか?それはちょっとした特技じゃないですか、ちょっと羨ましい。仕事や普段のコミュニケーションには物凄く役に立ちませんか」
「いえいえ、そんなにはないですよ。やっぱり名前を覚えれるほうが有利やと思いますよ」
「へー、それってやっぱり営業には必要なんですか」
「はい、必要ですね。それこそ名前を伝える事はパワーワードですからね」
「確かにそれはそうかもですよね。でも山下様の特技の特徴を覚えるのと大差ないんじゃないですか」
「ほんまにそれなんです。結びつかなくて、なんでなんですかね」
「うーん、その辺はどう聞いてもらえるようにするかではないですかね。経験ないので適当に言ってごめんなさい」
「いえいえ、そう言って下さるのは嬉しいですよ
ありがとうございます」
結構上手くコミュニケーション取れる方なんだな。ついつい話し込んでしまった。




