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潔癖症の私が気付けば世界最強に〜この世界で黒髪は絶世の美女扱いらしいです〜  作者: 猫崎ルナ
一章 異世界に来たけど人はどこにいますか?

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あぁ、神様…ありがとうございます!



 私は運命の出会いを果たした。

 何をいってるんだと思うかもしれないが、本当のことである。


 私の目の前には鎖で厳重に縛られ、壁に磔られている美青年がいる。

 美青年は時折苦しそうにうめき、体を捩らせようとし、その際に鎖が揺れてジャラジャラと音を立てている。


 先ほどから私の耳に入っていた金属音はこれだったのだと納得した。

 怖い魔物じゃなくてよかったと安堵すると同時に、なんでこんなとこに美青年が磔にされているのかと不審に思う。


 ここは天使(仮)によるとダンジョンだといっていた。ならばこの美青年も魔物なのか?いや、流石に土の壁に磔にされているから違うのかもしれない。

 でも、磔にされている理由がわからない。そもそもいつからここに磔られているのだろうか?全くわからない。


 私は少し美青年を観察してみる。

 薄暗い洞窟の中、彼の長い白銀の髪はキラキラと輝いてるように見える。なんと…凄く綺麗で羨ましい。

 髪の毛が床にまで広がっていることから見てもかなり長い間ここの吊るされてそうな感じはするけれど、この世界ではとんでもなくロングな髪が流行ってるのかもしれない。紫式部も真っ青な長さだ。…知らんけど。

 スラリとした鼻筋に薄めの唇、瞳の色は閉じてるからわからない。


「うーん…」


 疑問は尽きないけれど、ひとまず私はこの美青年に話を聞いてみる事にした。考えるよりも産むが易してね。


「あのー、すみませーん、大丈夫ですかー?」


 …。反応がない。ただの屍のようだ。なんてね。


 私は床に広がっている髪の毛を風魔法を使い踏まないように左右に分けながら少しずつ近寄ってみる。


「あのおー、おーい…すみま…」

「…んぅ…っ」


 人一人分の距離まで近づいた時、美青年の彼が反応した。


「あ、あの…大丈夫です、か?」


「え?…うっ…ゴホッゴホッ」


「あ、ああ!ごめんなさい!」


 長らく声を出していなかったのだろう、彼は咳き込みだした。

 とても苦しそうなので、私は魔法で水球をだして彼の口に近づけてあげた。

 それに気がつき、ゆっくりと口を開けて水を口に含む様はなんとも色気があり、つい見惚れてしまう。


 そんな私の反応を見た彼は恥ずかしそうに頬を染めた後、気を取り直すかのように話し出した。



「えと、ありがとう。助かったよ。」


「い、いえいえ!お構いなく!」


 何がお構いなくなのだ、もっと構ってもらえ。

 私は脳内で一人ツッコミを入れた。


「あの…僕は何でこんな場所にいるのでしょうか?」


「…。」


 彼は困ったように苦笑をし、その疑問を私へと投げかけてきたのだけれど…いや、私の方が知りたいわ!!


「えっと…これは…君が?」


「いえ、初めからです。」


 私が無言でいると、彼は自分の置かれている状況を目で確認しつつ私にそんな事を聞いてきた。

 そんな彼の目は如実にこいつは変態かもしれないと語っているように見えたので、即座に否定を返す。


「…そうなんだね、ごめんね?疑っちゃって。」


「いえ…」


 彼は私に謝ってはくれたものの、その目はまだ疑いの眼差しのまま。

 私も何が何やらわからないんです。やめてください。疑わないでください。変態じゃありません。

 脳内の私は必死に弁明を繰り返す。


「…。」


「…。」


 互いが互いの出方を待っている。そんな空気が流れる。


 彼は何も覚えていないのか私のことを疑っているし、私は私で彼がこんなとこで縛られてる理由がわからないから不安で仕方がないのである。

 星空の様に輝く青い瞳で、この女変態なのか?みたいに見られるのが辛い。たぶんこれは被害妄想ではないと思う、絶対思ってる。


 沈黙が辛い。


 どうしたものかと考えていると彼が急に大きな声を出し始めた。


「あぁ!今は何日ですか?!!僕はどれくらいの日数ここにいましたか?!」


「え?ええ?わ、わかりません!」


「くそっ…兄が、兄さんが!行かなきゃ…!」


「えぅ?ええぅ?」


「この鎖を、鎖を解いてください!お願いします!僕の用事が終わり次第、貴女に恩を返すと約束します!お願いします!じゃないと兄が…兄さんが…!!お願いします!!」


「へ?へぁえ?は、はいっ!」


 何か大切なことを思い出した様で、彼は必死にもがき、私へと懇願してきた。

 いきなりの豹変ぶりとその熱意と鳴り止まない鎖の音に驚いた私はつい、はいと返事をしてしまう。


 そして私の返事と同時に何故か弾け消える鎖。

 魔物が消える時の様に光の粒子となり消えてゆく鎖を見ながら私はなんかヤバい事してしまったかもと後悔するのだった。

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