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説明書が読めないor頭に入らない! と悩む人と、それに悩まされる人へ伝えたいお話

作者: 九傷

※校正が足りないので加筆修正する可能性があります。

 また、要約した内容も記載予定です。

 

 説明書や手順書を読まない or 読めないって人は結構いますよね。

 私は業務上説明書や手順書を書くことも多いのですが、ユーザーが読んでくれなくて困ることがしばしばあります。

 ……いえ、困るというのは控えめな表現ですね。

 実際は明らかに読んでいないのにクレームやら質問攻めされることも多いので、あまりにも続くと爆発しそうになります。

 正直「頼むから読んでくれ!」と大声を出したくなりますが、読み手側の気持ちもわからないではないので中々に難しいところ……


 私も作業などを覚えてもらうには直接人から聞いたり指導を受けるのが一番だとは思うのですが、ユーザーや顧客一人一人に対し直接説明するのは、分身の術に加えて瞬間移動でも使えないと無理です。

 だからこそ全員が読める手順書が存在するのですが、恐らくしっかり読むという人は全体の5割にも満たないのではないかと思います。

 このエッセイを読んでいる人の中にも、物語やエッセイを読むのは問題ないけど説明書を読むのは苦手――という人はいるんじゃないでしょうか?



 今回はそういった説明書が読めない人や、そもそも文章を読むこと自体が苦手な人の話と、微力ながらそれを改善する案についても触れていきたいと思います。





 まずですが、今ここまで読んでこられた方であれば、少なくとも文章を読む素養というか、準備についてはできていると思われます。

 というか、web小説サイトの作品を読めている時点で実は結構凄いことです。

 こういった環境にいると感覚がマヒしてしまいがちですが、世の中には文章を読むこと自体が苦手という人が沢山います。

 むしろ苦手な人の方が多いと思います(多分)。


 説明書の類を読めない人の大半は文章を読むこと自体苦手だったり、あまり好きではない人です。

 それに加え読書家でも説明書を読むのは苦手という人がいるという状態なので、世の中には思った以上に説明書を読まない or 読めない人が多かったりします。

 上記では大げさに言い過ぎないよう「しっかり読む人は5割にも満たない」と書きましたが、実際のところはもっと少ないことでしょう……


 では、何故文章を読むのが苦手な人が多いのか?


 理由はいくらでもあると思いますが、まず前提として最初から文章を読むのが得意という人はほぼ存在しません。

 そんなことはないと思う人もいるかもしれませんが、そもそも人間には最初から識字能力があるわけではありませんからね。


 日本人の多くが当たり前に読み書きできるのは、幼少期に学んで覚えた結果です。

 識字能力はあくまでも後天的に習得した技能であり、家庭や教育の環境次第でいくらでも個人差が出る可能性があります。

 もちろん本人の素質による適正の差も関係しますが、環境差に比べれば些細な影響と言えるでしょう。

 実際、教育環境が整っていない国や地域は未だに識字率が低く、世界全体で見ると約7億5000万人以上もの人が非識字者だと言われているようです。


 現代は日本でもいい加減な育児や育児放棄で読み書きが苦手な子が増えてきていますので、あまり他人事ではありません。

 日本の識字率はほぼ100%と言われていますが、小学校卒業未満の未就学者は100万人近くいることがわかっています。

 小学校に通えていないからといって必ずしも非識字者というわけではありませんが、識字能力には確実に影響が出ているでしょう。

 昨今はテレビやYouTubeなどでも常用漢字が読めない人を見る機会が多いので、心当たりのある人もそれなりにいるのではないでしょうか。



 そして、99%以上の日本人が識字能力を習得しているとしても、それだけで文章を読むのが得意になるわけではありません。

 ここでもやはり、家庭や教育の環境差が大きく影響していきます。

 たとえば両親が本を読まないタイプであれば、子どもも同じように読まないで育つ可能性が高くなりますよね。

 なんだかんだ子は親に似るものですし、家に本がなければ幼少期に文章を読む機会は確実に減ります。


 人は幼少期の経験や好き嫌いの影響が大きいため、この時点で文章を読むのを嫌いになったり苦手意識を持ってしまうと、大人になっても苦手なまま育ってしまいがちです。

 特に無理やり本を読まされたり、読まない or 読めないことを馬鹿にされたり叱られたといった苦い経験を持つ人は、能力的に読むことができても心理的な忌避感や嫌悪感が理由で読むのが苦手になってしまうこともあります。


 今はハラスメントに関する知識や理解が広まっているため減ってきているとは思いますが、子どもの頃、教師や親などに「なんでこんなこともできないんだ!」みたいな責められ方をされた人は一定数いるのではないでしょうか。

 大人になってからも上司から言われたり、日常会話で「え、なんでできないの?」と言ったり言われたりした経験がある人はいると思います。


 人は基本的に自分を基準にして考えるものなので、つい言いたくなるのも無意識に言ってしまうのも理解はできるのですが、この手の言葉って言われた側には結構キツイものなんですよね……

 言葉のトゲという言葉がありますが、刺さった瞬間はチクリとする程度でも中々抜けなかったり、場合によっては抜けないまま体に残り続けて他の問題を引き起こす可能性もあります。


 こういったトラウマや苦手意識というものは克服することも可能ですが、自分は元々そういう人間なんだと思い込んでいたり、苦手なものは避けて通ろうとするため、何か大きな機会でもない限りは克服されません。

 大半の人は欲や生命に関わることでもなければ、わざわざ克服しようとは思わないでしょう。




 以上のように、識字能力の問題や心理的問題は文章を読む能力を低下させる原因になりますが、問題はそれだけではありません。

 ストレスや睡眠不足などによる健康面の影響、スマホ習慣、読書率の低下、さらにはディスレクシア(読字障害)や失読症などの障害に分類されるものなど、現代になって増えたり発見された問題も多いです。


 そういった様々な原因を踏まえると、文章をしっかり読めない人は想像以上に多いことがわかると思います。

 読書家からすると当たり前に思えることも、比率で判断すると実際は難しいことに分類されるかもしてません。

 最近ではX(旧Twitter)を始めとするSNSで、「3行以上の文章を読めない」人が多いという声もよく聞きますしね……

 今このエッセイを読んでいる人の中には文章作品を投稿している作者さんもいると思いますが、内容と外れた見当違いな感想を貰ったことがあるという人もいるのではないでしょうか。


 もし「文章なんて誰にでも読めるだろう」と思っている人がいましたら、まずは認識を改めた方がお互いのためにも良いかもしれません。





 さて、長々と文章が読めない原因について語ってきましたが、最後に少し改善案について触れていきたいと思います。


 まず、最終的に一番の方法は読書習慣を付けることです。

 技術や技能が身に付く第一歩は「慣れ」ですので、習慣づけて「慣れ」させるのは大前提だと思います。

 読書自体も体力を使うので、体力をつける意味でも読書習慣は重要と言えるでしょう。


 ただ、恐らくほとんどの人は「それができれば苦労はしねぇ!!!」と思ったんじゃないでしょうか。

 いや、本当そうなんですよ……

 健康面や習慣が原因であれば矯正されることはあるんですけど、苦手意識とかトラウマは中々克服できませんからね。

 しかも、大人になってからでは手遅れの可能性もありますので、可能なら若いうちに克服したいところです。



 一応、私が以前友人や家族に試みて効果的だった方法を二つ紹介したいと思います。


 まず一つ目は、「原作のある長編作品(絵本、漫画、アニメなど)を読み聞か(視聴さ)せる」です。

 具体的な流れとしては、初めに興味るジャンルを把握し、ある程度把握したらそのジャンルの原作のある(・・・・・)長編作品を読み聞かせ or 視聴させます。

 これはお子さんのいる家庭であれば絵本などの読み聞かせになりますが、できれば続きがある長編が望ましいですね。

 視聴させる場合も、未完結作品だとより効果的!



 ……勘の良い方であれば既に気付いていると思いますが、要は興味を持たせて自主的に続きを読みたくなるよう誘導するわけです。

 人間は誰かに言われて行動するよりも自分から行動する方が成長しますので、自分からやりたいという意欲を持たせることが何よりも重要。

 これは読書に限らずあらゆるものに有効な教育方法ですが、読書は娯楽でもあるので誘導はしやすい部類です。

 面白い作品のコミカライズなどを勧め、原作はこの先もっと凄い展開になるよ~、などと匂わせるのも有効でしょう。

 実際アニメなどの続きが気になって原作に手を出してしまった――という経験をした人も多いと思いますので、このエッセイを読んでいる人の中にも身をもってその有効性を理解している人はいるのではないでしょうか。


 ただ、前述した通りこの方法が通じないケースもあります。

 元々識字能力が低い場合はもちろんですが、一番大きいのは加齢による影響ですね。

 これは、精神面の変化や身体能力の低下が大きく関係しています。


 簡単に説明しますと、精神面については単純に落ち着きが出てくる人が多いからですね。

 大人になるという言葉があるように、基本的に人は加齢とともに精神が落ち着いていくものです。

 もちろん大人になっても落ち着きない人はいますが、周囲の目もありますので若い頃と比べれば静かになった――という人が多いでしょう。

 理由は「冷静な判断ができるようになった」、「意欲が減った」など色々ありますが、結果として「待つ」選択が取れるようになってしまうのが大きなポイントです。

 これにより、わざわざ原作を読まずとも漫画やアニメが追いつくのを待つ(待てる)ようになってしまうんですよね……

 ですので、もし自分や他人を変えるつもりであれば、なるべく早く、若い段階で取り組むのが良いと思います。


 そして身体能力については、集中力や体力、視力の低下がかなり影響してきます。

 既に経験済みの人もいると思いますが、大体20代後半~30代になった辺りで集中力や体力に衰えを感じるようになります。

 さらに加齢が進み老眼の症状が出始めると、読むことに対する意欲が急激に減衰します。

 やりたいのにやれない、読みたいのに読めないという状態は本当にストレスが強いため、そうなってから読みたくなるよう誘導するのは極めて困難となります。



 説明書や手順書が読めない、頭に入ってこないのも、結局は読みづらいのが主な理由です。

 そもそも説明書というものは、最初から読みづらく作られているんですよね……

 矛盾しているとは思いますが、説明書は人に読んでもらうために作られたものであるハズなのに「字が小さい」、「行間が空けられていない」、「難しい漢字や表現が多い」などなど、読みづらい要素が沢山詰まっています。

 これは主に文字数の制限が原因で、説明書は可能な限り小さくまとめる必要があるからです。

 ※X(旧Twitter)で誤解が生まれやすいのもコレが多少影響しています。それ以外の要素も大きいですけど……


 特に現代は製品の小型が進んでおり、それにともない付属する説明書も小さくする必要があります。

 さらに情報量も多いため、携帯電話やスマホの説明書なんかは書籍並みに分厚かったりするので、全く読む気にならないという人も多いのではないでしょうか?


 説明書ってなんでこんなに読みづらいんだ! と思う人はかなりいると思いますが、冷静に考えると色々な理由が思い浮かぶと思います。

 特に小説を書いている人であれば、文章で伝えられる(・・・・・)情報量と、漫画やアニメで伝えられる(・・・・・)情報量の差を実感している人も多いはずです。

 単純な情報量だけでいえば原作である小説の方が多いのでそれを好む人も一定数いますが、文章の場合は読む能力の差が大きく影響するので、上記で強調した通り「伝えられる」情報量自体は少なくなってしまうんですよね。


 それもあって最近では説明書を付属させず、インターネットのアドレスを記載したりバーコードで読み取れるよう案内しているケースも増えています。

 その方が絵や動画で説明もできますし、サイズや文字数を気にする必要もないですからね。

 まあ、私のように説明書を読みたい側からすると少し寂しいのと、そもそもそれすらも見てくれないことも多いんですが……





 以上でわかったと思いますが、説明書や手順書が読めない原因は読み手側の問題だけではなく、文章自体の問題も大いにあるということです。

 正直解決の難しい問題ではありますが、ここでもう一つの方法を紹介いたします。

 それは、文章を読んでくれるアプリやソフトを使用することです。


 昨今は目が見えない人や、手が離せない人向けに読み上げ機能の性能向上が進んでおり、かなりの精度で文章を読んでくれるアプリやソフトが増えています。

 読み上げる音声も合成音声などの技術が進み人間の声に近くなっているので、聴き取りづらさも改善されつつあります。


 説明書が読めない問題は文字通り「読めない」ことが問題なので、代わりに読んでもらえれば改善に繫がる――ということです。

 このエッセイの長い文章も、読み上げソフトを利用すればより理解しやすいかもしれません。

 最近は無料の読み上げソフトでも十分な性能を持っているものもありますので、読めないことに悩んでいる人は是非利用してみてくださいね!




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― 新着の感想 ―
拝読させていただきました。 私は小説や漫画は読むのですが、説明書を読んでないかも……
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