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昔話
この国の王様は、よその土地から流れてきた。
安寧の地を求めて。
たどり着いたこの地には、『アオバの民』と今は呼ばれている先住民がいた。
心優しい『アオバの民』は王様たちを受け入れた。
共に生きることを選んだ。
それは、『アオバの民』に数百年に一度生まれる『先視の神子』が、彼らを受け入れないと、自分達が滅びると、未来を視たからだった。
そうして、手をとりあい、この国は多くの人が生きる場所になった。
小さな島で、みな顔見知りだったのに、あっという間、知らない人だらけになっていった。
『アオバの民』の長は、自分達が生き残るため、神子を王族に嫁入りさせた。
それも神子の視たものだった。
神子の力により、よりこの国は栄えていった。
ある条件のもと。
【先視の神子が生まれたら、王妃として迎えてください。この国の民のため、この地のために、つくしましょう。かわりに、アオバの森を守ってください。私たちの居場所をなくさないで】
王宮の後ろにある深い森。
それがアオバの森。
先住民の地。