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38.平日のドライブ 大輝の工場

「受付 事務所」と書かれた扉を開けると、一番奥の真ん中の席で社員と話しをしている大輝が見えた。

来客の雰囲気を感じた大輝が入口を見て、

「坂本!」と手を上げる。

対応してくれようとしていた事務員さんに軽く頭を下げた。

「遠い所よく来てくれたな」

「大輝の工場も見たかったしな。美咲もいるけどいいか?」

扉向こうの美咲を気にする。

「もちろんだよ。工場内を案内するよ」


大輝の案内で説明を受けながら工場内を見てまわる。プラスチックの成形工場だが、キレイに清掃、整頓されていて働きやすい環境が伺える。

一通り工場内を見させてもらった後に、応接室へ通してもらう。


「この前もらった情報で図面を描いて製品化したのがこれだよ」

大輝から試作品を受け取る。

坂本は持ってきた粘着付の材料を貼り合わせてみた。

「ピッタリだよ。美咲、この材料だとこのサイズ30個位かな?」

「1シートから30個だね」

「大輝、仕入れ値いくらになる?」

大輝からの情報と合わせて電卓をたたく。


「お客さんからの希望金額もクリア出来そうだな。大輝、試作品もう少しもらえるか?後で請求してくれていいから」

大輝が隣の事務所から、袋に入った製品を持ってきた。

「余った材料で作ったからお金はいいよ。複雑な形じゃないから手間もそんなにかかってない。それより仕事取ってきてくれよ」

追加で手渡された試作品を手に坂本が言う。

「おぅ。決まれば結構な注文もらえると思うから忙しくなるぞ。覚悟しとけよ」

お互いに顔を見合わせて笑う。

そんな2人を美咲はにこやかに温かく見守っている。


「じゃあ、また連絡する」

見送りに来てくれた大輝に挨拶する。

大輝の顔も見れたし、いい仕事も出来て良かった、と自然に笑顔になる。


「大輝、1つお願いがあるんだけどさ」

「何だ?」

大輝をまっすぐ見る。

「ついでの時でいいから詩織の事、気にしてやってくれないか」

「詩織、どうかしたのか…?」

大輝の顔が真顔になる。


「詩織に何かがあった訳じゃない。ただ詩織の喫茶店がどうも気になるだけで…。今、顔を見ながら寄ってきたけど店の雰囲気が違う。前より…活気がなくなった気がする」

「経営が上手くいってないのかな」

「細かい所は分からないし、オレの思い過ごしならいいけどな。

大輝にこんな事頼むのは申し訳ないけど、近くを通りかかった時でいいから気にしてやってくれないか」

「分かったよ、何かあれば連絡する」

お互い無言でうなずく。

もう言葉にしなくても細かい感情は伝わるだろう。



「大輝さんも詩織さんも元気で良かったですね」

美咲の言葉に〝そうだなぁ〟と返す。

ハンドルを握りながら横断歩道の歩行者を気にする。


「2人とも坂本さんと出会えて幸せですよ」

美咲の言葉の真意がわからず〝えっ?〟と聞き返す。

「坂本さんは2人の事を親身に考えて、悩んだり行動したりするでしょ。2人とも坂本さんと出会えて幸せ者ですよ」


「じゃあ、オレはもっと幸せ者だな」

美咲をチラリと見て頭を撫でる。

「そんなオレを想って側に居てくれる人がいるからな」

「ホントだ!」

「休みなのに、こうやって付き合ってくれる美咲さんが居てくれてオレは幸せ者です」

2人でフフフ、と笑う。


脇道から出てきた車に道を譲る。

お礼で頭を下げたドライバーに手を挙げて合図する。

そんな坂本に想われてる私も幸せ者だ、と美咲は思う。




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