26.坂本と美咲の長期休暇
「結構な予定の詰まり方だよな」
「ですね」
ゴールデンウィークの予定を手帳に記入しながら確認している。
「まさか、ここでメーデーイベントの手伝いが入るとは…」
「私は去年やりましたよ」
「オレも一昨年やったよ。まさか新入社員と勘違いされてる?オレ」
「かもしれないですね」
〝くぅ~〟と言葉にならない声を発する。
「付き合って初めての長期休暇なのに、まとまって会える日がなくてごめんなぁ」
「飛び飛びなら会えますよ」
「そうだけどさ、どうせなら少し遠出とかしたかったじゃん」
坂本が飲み物に手を伸ばす。
ファストフード店は、ピークの時間が過ぎているので割と空いている。
「そういえば、詩織から大輝と3人で会おうって言われてたんだ」
「いつですか?」
「また確認しとくけど、雑貨屋の時の話だからなぁ」
「会うならその日はまた送迎しますね」
「美咲の方の予定は?」
「実家へ帰省するのと同期で1日遊ぶ位かな。だから坂本さんがメーデーの手伝いの時に私は帰省しますね」
「じゃ、空いてる日で美咲が見たがってた映画見に行こうか」
「はい。それとどこかで初夏に着れる服見るのも付き合って下さいよ」
「うん、そうしよ」
「坂本さん」
「ん?」
「会える時は少しの時間でもいいから会いたいです。お互いのスケジュール、把握してる相手が居るのも嬉しいけど」
「そうだな。美咲が同期と会う日とかも送迎するからさ、細かく連絡取り合おう。お互い負担にならない程度で、遠慮なしでさ」
美咲が微笑んでうなずく。
「今からはオレの出張鞄見に行ってもいい?
おそらく連休終わったあたりから、話が出てくると思うんだよ」
「まずは近くからですか?」
「そう、オレの教育係が鈴木主任になったからさ、鈴木さんが担当してる会社に同行する感じ」
食べ終わったゴミを片付けて、外に出る。
駐車場までは自然に手をつなぐ。
「研修が終わった峯野くんが、本格的に営業課に来るんだけど、教育係が橋本さんなんだよ。峯野くん、大丈夫か心配なんだよ…」
美咲が握った手に力を入れる。
「ん?」
「久しぶりにモノマネ欲しいですか?」
「いや、今はいらない」
「今のフリですよね?」
「違う、違う、今はやらないで…って詩織の所行ってからもう1ヶ月経つんだな」
キーレスで車を開けて乗り込む。
「あっという間ですね」
「美咲と付き合って1ヶ月だな」
お互いにシートベルトを締める。
「まだキスしかしてませんよ」
「オレが1番よく知ってるって。…何、その先を求めてらっしゃるの?」
覗き込む坂本に、美咲が小声になる。
「私から言わせます?」
「話を振ってきたのそっちだろ。美咲の事は大事にしたいの。車出すよ」
自然とニヤニヤしてしまうから、必死で隠す。
夕食は、ちょっとしたお祝いでデザートが食べれる所に行こうと思う。




