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電脳世界『ポリゴンワールド』  作者: 虹彩霊音
ストーリーサイド『幻想』
8/11

桃源郷、堕落する



アルカディア「ああ、くそ……ダメだ……兄さん、早く逃げろ……ッ!!」


エルドラド「弟を置いて逃げるわけにはいかないだろ!!」


アルカディア「そんなこと言ってる余裕なんてないんだよ……!! ぁぁ、身体が、勝手に……!!!」


エルドラド「ッ!!」



?「危ない!!」



エルドラド「……幻!」


幻「ふぅ、なんとか間に合ったね」


音廻「あれ、アルカディアさん……なんだよね?」


アルカディア「……く、幻、さん、音廻、さん……兄さん、を、連れて……逃げろ……!!」


幻「アルカディアの身に何があったの!?」


エルドラド「そんなの俺が一番知りてぇよ!! せっかく復活したっていうのに、あいつだけ変になっちまって……」


音廻「復元する時に何かミスがあったのかな……?」


叡智「……これは、アルカディアのデータが現在進行形で変異している? データが書き換えられたのか?」


寂滅「システムによって、意識も支配されつつある。大変だよこれは」


エルドラド「……手遅れ、なのか? 嘘だろ……?」


叡智「諦めるのは早過ぎる。書き換えられているのは形状とステータスくらいだから……管理システムさえ元に戻せば……」


幻「ならちゃっちゃと戻しちゃおう!」


叡智「そう簡単にできたら苦労しないって。確実にアルカディアの邪魔が入るだろうし」


音廻「くどいくどい、要するにアルカディアさんを大人しくさせれば良いんでしょ?」


叡智「その通り」


幻「エルドラドはどこか安全な所に隠れてて」


エルドラド「……弟が苦しい目に遭ってるってのに、兄が逃げるだなんてことできるかっての!!」


幻「だけど!!」


エルドラド「アルカディアは俺の唯一血のつながった弟なんだよ!! ……頼むよ……救わせてくれよ……!!」


幻「……わかった、頼りにしてるからね」


エルドラド「おう!」


アルカディア「ああ……ダメだ……これ以上は、無理だ……」






アルカディア「………ぁぁ」


エルドラド「アルカディアッ!!」


叡智「アルカディアの無力化に成功……今のうちにアクセスして……って、何!?」


寂滅「エネミー電脳体を召喚して防御体勢を取るつもりだよ!?」


エルドラド「ぐわぁぁ!?」


幻「エルドラド!!」


アルカディアがエルドラドの首を絞めている、そのままエルドラドの身体が変異していく!


叡智「くそ!! アルカディアの意識が完全に乗っ取られたか!!」


寂滅「え、エルドラドのデータも書き換えられちゃうよ!!」


幻「エルドラドッ!!!」


幻はエルドラドに近づく、だがバリアのようなものに弾かれる!


幻「っぐ、そんな………嘘だそんなことッ!!!」


エルドラド「………敵を確認、これより迅速に排除する」


叡智「ちくしょう、やられたか!!」


寂滅「ゲームマスター二人に、エネミー電脳体の大群……管理システムに近づけないよ!!」


叡智「……私達がなんとか隙を作る。幻と音廻は管理システムを破壊してくれ」


幻「そんなことをして大丈夫なの?」


叡智「何、完全に壊す必要はない。機能不全に追い込めば良いんだ。そうすれば電脳体達は大人しくなるはず」


音廻「……危険すぎない? 現実世界にもどんな影響が出るか……」


叡智「その場で修復すれば良いだけだ、被害も最小限で留まる」


幻「言ってることがめちゃくちゃだって!」


叡智「今のこの状況じゃどっちにしろ修復なんて不可能だ! 私は少しでも確率の高い方に賭ける、二人はどうするの?」


音廻「……わかった、電脳体達は任せる。幻さん!!」


幻「一気に管理システムを叩く!!」


叡智「寂滅、行くよ!!」


寂滅「うん!!」






幻・音廻「これで、決める!!」


幻と音廻の会心の一撃が管理システムに刺さる!


叡智「……よし!! システムが機能不全を起こしたぞ!! データを開いて……再起動だ!!」


エルドラド「………ぅ、ぁ」


幻「エルドラド!」


エルドラド「……まほ、ろ?」


幻「良かった、正気に戻ったんだね」


エルドラド「俺は、何を」


幻「管理システムに乗っ取られてたんだよ」


エルドラド「………悪い、迷惑かけたな」


幻「この前の借りを返しただけだよ。あとは叡智姉が管理システムを修復してくれれば………」


エルドラド「……身体、大丈夫か?」


幻「え? わぁお!?」


幻の身体が不安定になっている。


幻「ちょ、どうなってんの!?」


叡智「アクセスが不安定になってるんだろうな」


幻「え、直せなかったの!?」


叡智「いやいや、ちゃんと成功したって。ただ、私たちを異物として排除ログアウトするみたいだ」


エルドラド「…………」


幻「……大丈夫だよエルドラド、またすぐに会えるから」


エルドラド「そんな無責任なこと言うなよ……」


幻「エルドラド?」


エルドラド「異物と認識されたが最後、ブラックリストに登録されてもう二度とログインできなくなるんだぞ? もう、会えないんだぞ?」


幻「なんだ、そんなことか」


エルドラド「………そうだよな、お前達にとっては『そんなこと』だよな……」


幻「いや違う違う! 『叡智姉がなんとかしてくれる』よ!! そうだよね?」


叡智「あはは、今夜もコーヒーキメて徹夜かなぁ……」


幻「大丈夫。きっと会えるから。この世界はこれからも存在していく。だから、会えるよ」


それを聞いたエルドラドは小指を差し出す。


エルドラド「約束、ずっと待ってるから」


幻「うん、約束。ゆびきりげんまん」


エルドラド「……またな」


幻「またね、エルドラド」




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