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電脳世界『ポリゴンワールド』  作者: 虹彩霊音
ストーリーサイド『幻想』
5/8

最後の電脳体



幻「あ、音廻ちゃん」


音廻「幻さん。調子はどう?」


幻「ふっ、順調だよ。この後絶対何かが起きるってくらいにね。たくさん仲間が増えたんだ」


音廻「それを言うなら私だってたくさん電脳体を見つけてきたもんね」


幻「おや、これは際どい戦いになりそうじゃん。ペースをあげた方が良いかな」


音廻「のんびりしたって良いんだよ? 残りの電脳体は全部私がもらうから」


幻「その提案を飲むことによって私に利益があるというのか? だが断る!」


音廻「それは残念だ」


幻「負けないからね」


音廻「こっちこそ!」


エルドラド「盛り上がってるところ悪いんだけどさ」


アルカディア「今のところ実装されてるオリジナル電脳体はあと一体だよ」


幻「え、本当?」


音廻「骨が折れそうだなぁ」


エルドラド「ああ、それは大丈夫。ラスト一体はただとある場所でお前らをずっと待ってるだけだから」


幻「ほえ?」


音廻「その口ぶりだと、大層すごい電脳体みたいだね」


幻「どこに居るの?」


アルカディア「白狐楼」


幻「………なるほど、これは譲れない戦いだ」


音廻「よ、よくわからないけどそこに行けば良いんだね」


幻「暁さんは私のものだー!!」


音廻「あっ、ずるいぞ!! 待てー!!」


幻「お母さん今行きまーーーす!!!」



アビス「おいおい、ちょっと待ってくれよ」


幻「あ、アビスだ」


音廻「私たち今忙しいんだけど」


アビス「そんなこと言うなって。私も連れて行けよ」


音廻「真剣勝負なのに?」


アビス「最後の電脳体をかけた最後の戦い……この世界で得たもの全てを出し切るべきだと私は思う」


音廻「何が言いたいのさ」


イージス「タイマンじゃなくて、総力戦で決着をつけるべき。そう言いたいのよ」


アビス「その通り」


幻「い、いつのまに」


イージス「私はこの子にとって初めてだからね」


音廻「だから言い方をどうにかしろォ!!」


幻「総力戦かぁ、悪い気はしないよね」


音廻「まぁ、否定はしない。わかった、その提案乗ってあげるよ」


アビス・イージス「わっほーい!」


音廻「……グルだったのか」


幻「ま、なんだっていいじゃん。面白そうなのは大歓迎だよ」


音廻「そうだね、気合い入ってきたよ……!」



――――――――――――――――――



エルドラド「目的地は白狐楼。目的はそこの主であるオリジナル電脳体の『暁 白狐』を仲間にすること」


アビス「音廻達よりも先に辿り着いて驚かせてやろうぜ!」


幻「………早く辿り着くのに人数関係あるの?」


アビス「もちろんだとも。多ければ多いほど効率よく探索ができる。敵にやられるリスクも減るってことさ」


幻「……うーん?」


エルドラド「ガイドは俺に任せてくれ。アルカディア達に目にもの見せてやるのさ!!」


幻「うん、頑張ろう」




エルドラド「この先に白狐楼があるはずだ。アルカディア達より早く着けると良いんだが」


幻「白狐楼って結界の向こうにあるんじゃなかった?」


エルドラド「ゲームなんだから気にするな!」


アビス「心配いらないだろ。最短ルートでここまで来たはずなんだから」


エルドラド「そのはずなんだよな。ここまで来るのに奴らとは一回も出会わなかった、ということは俺たちの方が早いはず……」



音廻「うわぁぁぁ!!!」



幻「親方! 空から女の子が!?」


上から落ちてきた音廻を幻がキャッチする。


イージス「ちょっと大丈夫〜?」


音廻「こっちの道が近いってなんだよアルカディアさん!! 道すらもなかったじゃないか!!」


アルカディア「あ、ごめん。高低差の存在忘れてた」


音廻「ガイドとしてどうなんだそれ」


イージス「……あら、二人とももうそんな関係になってたのね」


音廻「ほ?」


幻「やっほー」


音廻「うわぁッ、幻さん!?」


アルカディア「うーん純情なものが見れた」


音廻「誰のせいだと思ってるのさ」


アルカディア「ごめん」


アビス「どんな形であれ、もう追いついてきたのか」


アルカディア「ほら、やっぱり近道だったじゃん」


イージス「『距離』としては最短だったわね。『道のり』ではなかったけれど」


エルドラド「プレイヤーに何かあったらどうするんだバカたれ」


アルカディア「うぅ」


音廻「過程はどうあれ、結果として私たちは幻さんに追いついた」


幻「また勝負がわからなくなってきちゃった」


音廻「このまま競争しても良いんだけど、それはちょっと味気ない」


幻「なら、ここでいっそのこと勝負する?」


アビス「おっ、戦って勝った方があの白狐を手に入れるってわけか」


イージス「物語の幕引きには相応しいわね」


音廻「その提案乗ったァ! イージスさん、アビスさんを抑えて!」


幻「アビス! お願い!」


アビス「任せとけ!」


イージス「手加減はしないわよ」


音廻「勝負だ幻さん! 出番だよ、私の集めたオリジナル電脳体達!!」


幻「かかってこいや! みんな出てこーい!!」



永劫「この狂戦士の斧の錆となれ!!」


ジェム「そんな攻撃でダイアモンドが傷つくものか! 硬い鉱石脳天にぶちこんでやんよ!」



アテン「私のぷよぷよな身体は簡単には攻撃を通さないぞ、イール!」


イール「うるさいわね、その生意気な口ごとアンタを引き裂いてやるわ。龍の子供だからって舐めんじゃないわよ!」



セメタリー「ちょこまかとやかましいッ!! 大人しく命を捧げろ!!」


トカゲ「ほらほらどうしたの〜、死神の実力はそんなものなの〜?」



シャドウ「二対一……か。ならば、影を利用して奇襲するまで!」


アルゴス「そんなことしても無駄無駄ァ! 僕に死角はないんだよぉ!」


レーテー「流石にこの状況だから能力をつかうのはやめておきましょう」




しばらく続く激闘。お互いの仲間が力尽き、リーダー同士の戦いへと発展する。


幻「そこだ!」


音廻「あぶなっ!」


イージス「音廻!」


音廻「よっと!」


音廻は一歩下がり、イージスが前に出る。攻撃を幻に仕掛けるが、アビスがそれを許さない。レーザーでイージスを弾き飛ばす。


イージス「ッ!」


音廻「イージスさん!」


アビス「へっ、やったぜ!」


幻「アビス、危ない!」


アビス「え?」


音廻「おりゃぁっ!」


アビス「うおおっ!?」


音廻がアビスに攻撃する!


幻「アビス!」


音廻「よそ見してる暇なんてないだろ!」


幻「くそ!」


音廻「あはは! 人間だからって舐めるなよー!!」


幻(不味いな、距離を取りたいけど……)


音廻「―――させるかぁ!」


幻「うわぁっ!?」


音廻が幻を弾き飛ばした!


アビス「……待ってたぜ、幻と離れるその瞬間をよ!」


アビスは前方に魔法陣を展開、そこから放たれる巨大なレーザー。


音廻「ちょちょちょちょ!!」


イージス「させないわ!」


イージスが結界を発動、アビスが放つレーザーを食い止める!


音廻「……幻さんが見当たらない。なら先にアビスさんをやるしかないか」


アビス「……ぐ、ぅぅぅ!」


音廻「そんなに辛いなら楽になったら?」


アビス「!?」


アビスの背後に回った音廻が攻撃をする。今のアビスに防げる術があるわけがなく、そのまま遠くへ吹き飛んだ。


音廻「幻さんは一体どこに……!」


イージス「……上!」



幻「……堕ちろ、『流星群』!!」



イージス「ちっ!」


音廻「わっ!?」


イージスが音廻を突き飛ばす、音廻はかろうじてその攻撃から救われる。


音廻「イージスさん! くっ、ぬおおおお!」


音廻はその手中から巨大な波動を巡らせ、幻に放つ。幻はその攻撃を受け止め、あろうことか跳ね返す!


音廻「あっ、これやべ―――」





アビス「……ふーっ、やったな幻」


幻「うん、私達の勝ちだ!」


音廻「いやー、負けた負けた」


イージス「…………」


音廻「イージスさんでもそんな顔するんだね。アビスさんに気を取られて幻さんを見失わなければ勝てたんだろうな、この勝負」


アビス「つまりMVPは私ってことだな!」


音廻「はいはいそうですー」


幻「まぁでも、正直ギリギリだった。何かが違えば貴方が勝ってたと思うよ」


音廻「そっかぁ……」


幻「それじゃあ、暁さんを仲間にするために早く白狐楼に行こう!」





白狐「あら、ようやく来てくれたのね〜。私はオリジナル電脳体の『暁 白狐』。この白狐楼の主よ。さっきの戦い、ずっと見ていたわ。何はともあれ、これからよろしくね」




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