黄金郷と行く、仲間を求めて東奔西走!
永劫「自己紹介をさせてもらう。僕はオリジナル電脳体の『英傑 永劫』。こんな見た目でもかなり強いと自負している。何せ、僕こそが人狼恐れし『狂戦士』だから! ……あ、信用ならないんですか? とりあえず、僕を連れて行ってくれません? 期待に添えるよう努力はしますから」
アテン「私はオリジナル電脳体の『アテン』。見ての通りウーパールーパーです。え? 水場がないのに大丈夫なのかって? ご心配には及びません。水がないと死ぬ魚とは違いますから。これからもよろしくお願いしますね」
トカゲ「さっきから見てたけど楽しいことしてるじゃん。僕も混ぜてよー。僕はオリジナル電脳体の『トカゲ』。本当にこれが名前なんだってー。別に僕のことは気にしなて良いよ、勝手についていくから」
シャドウ「貴方……かなりの強者と見た。私はオリジナル電脳体の『シャドウ』。普段の私なら余所者と関わることはないにしろ、そうだな……たまには陽の光でも浴びることにしよう。貴方の影となりて、貴方と行動を共にしよう」
次々とダンジョンをクリアし、仲間のオリジナル電脳体を集めている幻であった。
エルドラド「幻!」
幻「うわぁッ!? いきなり出てこないでよ!! ていうか、私の指輪からホログラムで来るんだ」
エルドラド「せっかくだしな。それにこっちの演出の方が面白いだろ? それで、あそこにもオリジナル電脳体が見えるだろ?」
幻「……あ、プラセンタさんだ。姉さんやアビスのことでお世話になったからよく覚えてる」
エルドラド「おっと、その様子なら説明は要らないみたいだな」
幻「あの人の実力は未だによくわからないけど、仲間にはしたいな。声かけてみるか!」
プラセンタ「……違う。これじゃない、これでもない……」
幻「プラセンタさーん!」
プラセンタ「……ッ!? なんですか、驚きましたよ」
幻「そういうわりにはリアクション薄かったけどー?」
プラセンタ「これでも驚いてる方なんです。それで、貴方は?」
幻「そっか、この世界じゃ知り合ってなかったね。私はこのゲームのプレイヤー、黄泉 幻だよ」
プラセンタ「……なるほど、貴方が例の……私に何か用事でも?」
幻「そんな宗教勧誘みたいなやつじゃないって。ただ仲間になってほしいなーってだけだよ」
プラセンタ「……プレイヤーに声をかけられたのだから、仲間になるべきではありましょう。しかし……」
幻「あれ、オリジナル電脳体でも都合が悪かったりするんだ?」
プラセンタ「お師匠様から頼まれた仕事がまだ終わってないんですよ。薬の材料となる薬草を探しているんですが、なかなか見つからなくて」
幻「これは! お仕事を手伝って仲間にするパターンだ!! 薬草探すの手伝うから仲間になってくれる?」
プラセンタ「それは別に構いませんが、私でよろしいんですか?」
幻「ふっ、これでも私は対戦相手を何度も憤怒の果てに追い詰めたプレイヤー……キャラの指揮ならどんとこい!」
プラセンタ「探しているのは、『カイケイジオウ』『クサノオウ』『ポドフィルム』『カロライナジャスミン』『インドジャボク』の五つです」
幻「……あれっ、今いくつか有毒な薬草が聞こえたんだけど気のせい?」
プラセンタ「資料を渡すのでこれを参考にして探しましょう。私はこっちを探しますので貴方はあっちをお願いします」
幻「はーい」
数分後……
幻「アレレー、オッカシイナー? 何度モ部屋ヲ往復シタリ階段上リ下リシテルノニ全然見ツカラナイゾー?」
エルドラド「マジで疲れてるみたいだな。そりゃそうさ、今求めている薬草は『レア物』。普通の部屋には落ちていないさ」
幻「……『普通の部屋じゃない』ところがあるってこと?」
エルドラド「ははっ、ご名答! マップを見てくれ、他の部屋とは独立している部屋があるだろ? それが『埋蔵部屋』といってアイテムがたくさんあるんだ。そこに生えてるんだろうな」
幻「でも、どうやって行くのさ? 壁を掘れっていうの?」
エルドラド「掘るだってぇ? どうしてそんな面倒なことしなきゃならんのだ? 壁なんてアイテム使ってぶっ壊せ!」
幻「ポリゴン使って調べるか……呪文を押して、と……なになに? 壁を壊すには呪文『マウアーフォールン』を使用すること」
エルドラド「呪文は落ちている『呪文紙』を拾ってそれを読むことで発動されるぜ。ちなみに、暗記したって無駄だからな」
幻「わかってるよ、何回もバンバン壊されたらゲームにならないもんね。……あ、いつのまにか拾ってる」
エルドラド「それじゃあ早速詠唱タイムと行こうぜ!」
幻「よし………『世界を隔てる壁よ、今こそ崩れよ。我らの会合の時は来た!』」
呪文を口にした数秒後、辺りの壁が崩れひとつの部屋となる。
幻「うわすっご………あっ、薬草発見!! よしよし、指示されたやつはみんなあるみたい。持って行こう」
幻「えっと、どう、かな……?」
プラセンタ「……ええ、これだけあれば十分です」
幻「よ、よかったぁ」
プラセンタ「お疲れ様でした。大変だったでしょう?」
幻「(アイテム使って見つけたものだけど)まぁね。プラセンタさんはいつもこんなことを?」
プラセンタ「まさか、今回は特別なんですよ。お師匠様のご友人が体調を崩してしまって」
幻「えっ、大丈夫なの?」
プラセンタ「この薬草を使って薬を作ればあっという間に元気100倍になりますよ」
幻「流石は吉弔さんだ」
プラセンタ「あとはこれをお師匠様に届ければおつかいは完了です。本当にありがとうございます」
幻「これも仲間集めの一環だから」
プラセンタ「そういえば、そういった約束でしたね。私の力が欲しければいつでも声をかけてください。すぐに駆けつけて貴方の力になりますから」
幻「それはそれは頼もしい限りで」
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叡智「………あれ」
寂滅「どうしたの姉さん」
叡智「この電脳世界のデータ……記憶装置に保存してるわけじゃないんだ。……まぁ、現実世界をそのまま複製してるんだもんな……莫大なデータ量が必要だ。普通の記憶装置じゃ記憶しきれないか」
寂滅「じゃあ、どうやってるの?」
叡智「………異空間、か。同じ大きさの空間を生み出して、そこに情報をコピーする。なんてやつだ、世界を新たに作っているのと同義だぞ、これ」
寂滅「……大丈夫、なの? それ」
叡智「……わからない。調べ続けるしかないな……」