桃源郷によるチュートリアル
アルカディア「改めて、ようそこポリゴンワールドへ。僕らは君達を歓迎するよ。さて、ちょっとひとつ質問があるんだけど。ルール説明は細かくした方がいい? それとも最低限で大丈夫?」
音廻「うーん、齟齬があると困るからていねいに教えて欲しいな」
アルカディア「おっけい! それじゃあ操作方法の説明からいくよ―――」
アルカディア「この世界には『オリジナル電脳体』の他に『エネミー電脳体』っていうのが居るんだ。姿形こそオリジナル電脳体と変わらないけど、行動パターンが完全にプログラミングされているから自分で判断したりして行動はしないんだ」
音廻「へぇ、そうなんだ」
アルカディア「エネミー電脳体はたくさん出てきて君達プレイヤーを妨害してくるよ。ちなみに、全てのエネミー電脳体の能力が本人と同じってわけじゃないから気をつけてね。それじゃあ敵を葬ろうか!」
アルカディア「そうそう、君はわからないかもしれないけどプレイヤーや一番の電脳体は空を食べないんだ。だってゲームにならないもの。アイテムを使って空を飛んだりすることはできるけどね。ゲーム内で許可されてない能力は使えないィィ! ってこと、覚えておいてね」
音廻「うん、わかった。ところで、アルカディアさん達はオリジナル電脳体なんだよね?」
アルカディア「そうだよ。僕達オリジナル電脳体はエネミー電脳体と違って一人しか居ないんだ。名前の通り、特別な電脳体ってわけ。そんな僕達だけど、条件を満たせば仲間にできるんだ。一番簡単なのは『フロアに居るオリジナル電脳体に話しかける』だね」
音廻「味方が増えるのは心強いなぁ」
アルカディア「このフロアにもいるはずだから話しかけてごらんよ」
イージス「あら、見つかっちゃったわね。貴方にとってはおそらくあの時以来ね。私はオリジナル電脳体の『イージス』よ」
音廻「……あっ、そういえばあの時居た気がする!」
イージス「朧げなのね、ちょっとやるせないわ」
アルカディア「よしよし、オリジナル電脳体を味方にできたみたいだね」
音廻「簡単だったね」
イージス「まぁ私は入手難易度が低いからね。誰でも落とせるのよ」
音廻「いや言い方ァ!」
イージス「それじゃ、とっとと行くわよ」
音廻「ま、待ってー!」
アルカディア「そうそう、君達プレイヤーには情報端末である『ポリゴン』が配られるんだ。色んなデータが詰まってるだけじゃなく、プレイヤーの体験が反映されてデータが更新されていくんだ! 敵の弱点や特性も記録されているから役に立つと思うよ。窓も驚くことだよね!」
音廻「……窓?」
アルカディア「おつかれさま。無事に目的地に到着したよ」
音廻「なんだか実家に帰った気分だ。幻さんは……まだきてないんだね」
アルカディア「僕達の勝ちだぁぁ!!」
幻「……ああ、私達の負けみたいだ」
エルドラド「だから言ったじゃないか、俺のガイドの通りに行けって」
幻「だって細部まで作り込まれてたりするじゃないか。小ネタとか探したいよ」
アルカディア「あれあれ〜、兄さんってば幻さんの心を掴めなかったの〜? それでガイドとかマジで草ァ〜」
エルドラド「てめぇ後でぶちのめしてやるから覚悟しとけよ」
音廻「アルカディアさん、挑発しちゃだめっ!」
ドゴーーーン
幻「うん?」
音廻「何!?」
アルカディア「まさか……」
エルドラド「珍しいな、あの二人が喧嘩だなんて」
音廻「地震……ではないよね?」
アルカディア「君のお姉さん二人が喧嘩してるんだよ」
音廻「ふぇっ!? あの二人が!?」
エルドラド「なっ、珍しいだろ?」
幻「やれやれ……放ってはおけないか……様子見てくるよ」
音廻「待って、私も行く! 姉さん達の喧嘩を止めなくちゃ!」