ようこそ、ポリゴンワールドへ
幻「ここが……ポリゴンワールド……へぇ、ゲームの中の世界とは思えないなぁ」
事の発端は1時間ほど前のことだった。
音廻「幻さん! 新しいゲーム持ってきたよ! なんでもVR系のゲームなんだとか!」
幻「V…R…?」
音廻「なんでも、リアルにゲームの世界を体感できるんだって!」
幻「面白そうじゃない」
そこで幻の姉である叡智と寂滅がやってくる。
叡智「なんだ、二人揃って楽しそうなことをしてるじゃないか」
幻「あ、叡智姉。今からこのゲーム機で遊ぶんだ」
音廻「えーっと、電源入れてこのヘルメットみたいなのを頭に被れば良いんだって。早速やろう!」
幻「姉さん達もやる?」
叡智「いや、私達はいいよ。二人で遊んでおいで」
幻「うん、わかった!」
寂滅「………へぇ、このゲームの名前『ポリゴンワールド』って言うんだ。電脳世界を生成してそれを体験する……」
叡智「ワールドを生成? マインク◯フトじゃん」
寂滅「やめぃ」
幻「体感、現実と変わらないんだね」
音廻「現実の世界をベースにしてるみたいだから、そういうのは期待するだけ無駄なんじゃない?」
幻「なーほーね。で、何をすれば良いのかな?」
音廻「選択したジャンルは『探索RPG』だったよね? どっか探索すれば良いんだよ」
幻「雑ぅ…」
音廻「だって、特に説明なかったもん」
?「おっ、プレイヤーのお出ましだ」
幻・音廻「誰!?」
エルドラド「俺は、二人の世界のデータをベースにして生み出された電脳体ポリゴン……オリジナル電脳体の『エルドラド』さ」
アルカディア「同じく、オリジナル電脳体の『アルカディア』だよ」
音廻「オリジナル…電脳体…?」
アルカディア「超絶簡単に言えば、思考回路から何もかもが本人そっくりの電脳体ってわけ」
幻「その電脳体が、何の用?」
エルドラド「俺達はこの世界の案内役でもあるのさ、さながらチュートリアルのガイド役ってことさ」
音廻「救済措置があって良かった」
幻「なかったらクソゲーでしょ。この前やったチェスとか超ドMだったもの」
音廻「それ本当にチェスだったの……?」
エルドラド「心配するなって、最低限の責務は果たすからさ」
アルカディア「最低限じゃなくてきっちりこなせ」
幻「それで、どこに行けば良いの?」
アルカディア「そうだね、まずは拠点となる『蒼虎館』に向かおう。ルール云々は道中で色々と話すことにしよう」
エルドラド「待てぇい!」
アルカディア「何?」
エルドラド「せっかくプレイヤーもガイドも二人ずつ居るんだ、二手に分かれてどっちが早く着けるか勝負しないか?」
音廻「あは、面白そうじゃん!」
幻「まぁ、私はなんでもいいけど」
アルカディア「二人が良いならいいけどさ…配役はどうする?」
エルドラド「んなもん俺が幻のガイド役に決まってるだろ! な!」
幻「あぁ、うん。別にそれでも構わないよ」
アルカディア「じゃあ僕は音廻さんのガイド役になるね」
音廻「うん。よろしくアルカディアさん」