漫才 「今年の運勢」
ボケ
「はいどうもー、バーニングトーストです」
ツッコミ
「えー、コンビ名ですよ。バーニングトーストです」
ボケ
「ちょっとアレです。あなたと漫才はじめて3年になりますけど、今日という今日は男同士、腹割って話させてもらっていいですか」
ツッコミ
「なんやねんな、いきなり。僕なんかしましたか」
ボケ
「ちょっと小耳にはさんだんですけど。あなた最近、占いのお店に行ったらしいじゃないですか」
ツッコミ
「なんで知ってんねん。ええやん、占い行ったかて。ほっといてくれ」
ボケ
「もうマジでやめてください。そんなはじめて会う人に、家のこととか結婚のこと相談すんの。4500円も出して手相とか見られてね、今年は仕事運が下降気味ですとか言われたの、本気で信じてるんですか」
ツッコミ
「お前は俺のストーカーですか。なんでそんな結果まで知っとんねん。教えた覚えないぞ」
ボケ
「黙ってたんですけど、正月にあなたの運勢をネットで占ってみたんですよ。あなた今年は、スピリチュアル的に上がり調子にあるって出てましたよ。いまんとこ全然そんな気配ないですけどね」
ツッコミ
「もうホンマやめて。なんで勝手に人のこと占うねん。スピリチュアル的にお前が気色悪いわ」
ボケ
「いや、聞いてください。本当に知りたかったのは僕とあなたの相性なんですよ。生年月日を入力すると、キューピッドが2人のカップル運を占ってくれるサイトがあるんです」
ツッコミ
「もう最悪や。聞きたくないのに気になるやんけ。一応聞くけどどうやってん、俺とお前のカップル運」
ボケ
「それがね、結果を教えてくれなかったんですよ。キューピッドがめっちゃ困った顔で、来年また来てくださいとか言いよったんですよ。正月から気分最悪でしたね」
ツッコミ
「頼むから来年の正月に、そのサイト見に行くのやめてな。キューピッドに悪いわ」
ボケ
「頼まれても行きません。あれ以来ホンマ、占いて聞いただけでキレそうになってね。僕もう、占い全般を信じられなくなりました。あなたも二度と行かないでください」
ツッコミ
「俺を巻きこむなや。いや俺の行ったとこの先生は信用できますよ。占いどおり、仕事運がリアルに下降気味やもん」
ボケ
「それやったらね。その先生にね、歴史上の人物を占ってもらいたいんですよ。どういう意味ですか」
ツッコミ
「いや俺が聞きたいわ。どういう意味ですか」
ボケ
「たとえば織田信長とか。あの人ほら、1534年の6月23日生まれじゃないですか。血液型はA型で、身長は166センチ。趣味は……」
ツッコミ
「なんでそんな詳しいねん。会うたことあんのかい」
ボケ
「なにを隠そう、ウチの先祖が信長さんに会ったことあるらしいんですよ。僕のひいひいひいひいおじいさんが、明智のお殿さまに仕えてたそうで」
ツッコミ
「殺しとるやんけ、信長」
ボケ
「そういうことになります。で、信長さんが1582年のお正月にですよ。俺の今年の運勢はどうかなーみたいに、自分の占いを検索したとするじゃないですか」
ツッコミ
「なにでや」
ボケ
「ネットに決まってるじゃないですか。で、検索したとします。あー、俺の今年の運勢はどうかなーみたいに」
ツッコミ
「まあええわ。1582年、信長さんの運勢は」
ボケ
「仕事運、健康運すべて最高! 長年の夢がついに実を結ぶ予感。今年はとにかくチャレンジしたすべてがうまくいくはずです。1582年はあなたにとって飛躍の年になるでしょう!」
ツッコミ
「6月に本能寺で死ぬけどな」
ボケ
「マジでやってほしいんですよ、過去の偉人の運勢占い。どの占い師もあれです、生年月日で今年の運勢がわかる言いよるんですわ。ほな信長が天下統一した年の運勢はどうやってんと。ちゃんと仕事運が最高みたいな予想を出せたんやろなと聞きたい」
ツッコミ
「なに、その占いの結果を歴史上の事件と照らし合わせるってことですか。答えあわせ的な」
ボケ
「占いのいい加減さをわかってほしいわけです。1582年の正月にですよ、信長が自宅に占い師を呼んだとします」
ツッコミ
「自宅って安土城ね」
ボケ
「信長が占い師に言うわけよ、俺の運勢どうなんみたいな。そんで占い師が水晶玉を舐めまわしながら言うわけですよ。見えます見えますとか」
ツッコミ
「また汚いな。ほんで信長に、あなた夏本番前に死にますよて教えてあげると」
ボケ
「教えれるわけないやん、未来のことなんか」
ツッコミ
「仮にわかってもよう言わんわ。相手、信長やで」
ボケ
「占いなんてそんなもんです。実際キューピッドも、僕を恐れて占いの結果言わなかったわけでしょ」
ツッコミ
「なんでお前を恐れなあかんねん。意味が分からんわ」
ボケ
「カップル占いの結果がホンマ気になるわ。ていうかラブラブ度100%やなかったらもう僕、何するかわかりませんよ。弓矢奪い取って、逆にキューピッドを撃ったんねん」
ツッコミ
「ごめん、そらキューピッドもお前を恐れるわ」
2人
「「どうもありがとうございましたー」」