その時僕はお菓子を食べていた
「君に新コーナーを任せたい」
そうプロデューサーに言われた時、僕はお菓子を食べていた。
とある火曜日の番組中に、番組内のあるコーナーの打ち切りが告げられた。理由は分からないが、突然の知らせだった…
その日の放送が終わってすぐ、プロデューサーが僕に近づいてきた。
なにか話があるみたいだが、なんだろう…
また怒られるのかな…
仕事のミスはほとんどない僕だが、歌が流れると踊ってしまう癖がある。それがプロデューサーに見つかると、いつも注意されていた。
ドキドキしているとプロデューサーの口が開いた。
「君に新コーナーを任せたい」
びっくりして思わず僕は、口に入れていたチョコを吹き出した。
なぜびっくりしたかと言うと、前のコーナーで僕はサブキャラで出演し、すごく滑っていたからだ。そのせいで打ち切りになったと思い、正直落ち込んでいたところだった。
「僕にですか!?」
「そうだ、そして次は君がメインでやってもらいたい。」
僕がメイン…ADなんだけどな…
そう、僕はラジオ局のADである。ADの仕事は番組に届いたメッセージを印刷してDJに渡したり、ゲストに来てもらったアーティストの対応だったり、基本的には裏方の仕事である。
とはいえ、僕はこれまでも番組にちょこちょこ出演している露出の多い珍しいADだった。
そんな僕でもメインとなると気が引けるが、断る理由もなく、心の奥底には大きな野望があったため
「やらせてください!」と答えた。
「ありがとう。それで内容なんだが…」
内容を聞くと、震え上がり、僕はまたチョコを吹き出した。




