第89話 博麗大結界
この作品は「東方Project」の二次創作です。
原作 上海アリス幻樂団
改変、独自設定その他諸々 小湊拓也
硝子製の平皿の上で、小さなものが蠢いている。
少しずつ、大きさを増しながらだ。
一時間ほど前は、目に見えなかった。今は、米粒ほどの大きさである。
弱々しく蠢く、米粒。蛆虫のようでもある。
橙は、目を見張った。耳を澄ませた。猫科の耳が、頭でピンと立った。
蛆虫のようなものが、声を発している。ようやく、それが聞こえてきたのだ。
「…………ゆ……かり…………ちぇん……らん……」
「生きてる……!」
橙は、声を潜めて弾ませた。
大声を出しては、このあまりにも微小な生き物が吹き飛んでしまいかねない。
「藍様! こいつ、生きてるね」
「……ああ。外の世界で、穢れにまみれながら生き抜いてきた者の生命力。感服せざるを得ない、まったく大したものだ」
迷い家の地下。
八雲藍が、様々な研究・実験に用いている一室である。
「あの宙域から……どうにか回収出来たのは、ひとかけらの細胞だけだった」
藍は言った。
「培養が上手くいったとしても、再生には数年を要する……と思っていたが。まさか、もう言葉を発する事が出来るとはな」
「……おれ……は……いきている、のか……?」
蚊の鳴くような、声である。
「いや…………おれを、いかしてくれた……のか……?」
「貴方がね、私たちを助けてくれたのよ」
八雲紫が、進み出て来た。
「今、幻想郷で偉そうに振る舞っている弾幕使いの数多くが、貴方に命を救われている……貴方が、その身を盾にして皆を守ってくれたわ」
「そんな……つもりは、なかった……」
蛆虫のようなものが、硝子の平皿の中で少しずつ大きさを増してゆく。
声は、あまり大きくならない。
「……おれには……やくだてられる、ものが……この、からだ……いのち……しか、なかった……」
「無論、これからも役立ててもらうぞ。貴様の身体、貴様の命」
今や梅干しほどの大きさになった生き物を、藍が睨み据える。
「幻想郷のために、な。痛くとも苦しくとも死なせてはやらん。覚悟を決めろ」
「……きめて、いるさ」
「こいつ笑ってるね。生意気」
平皿の中を、橙も覗いて睨んだ。
「おい、居候の兵隊。早く元に戻って、橙のお手伝いするね。迷い家のお掃除お洗濯、全部やるね。その間、橙はお昼寝」
「はっはっは。その間、お前は私のお手伝いをするんだよ橙。そろそろ私の仕事も覚えてもらわないとなあ」
「ふみいいいぃ」
藍が、橙の頬をつまんで引っ張っている間。
硝子の平皿の中にいる小さな生命体は、いくらか声を大きくしていた。
「ゆかり……おれは、まだ……あなたの、おやくに、たてるのだろうか……?」
「私ではなく、幻想郷のために」
紫は言った。
「いえ。貴方は、誰かのために戦うのではなく……不滅の生命の燃えるまま、その炎の走るままに行動なさい。それが結果として幻想郷を救う。私や、藍や橙を守る事にもなるわ」
幻想郷には何故、人間が住んでいるのか。
のんびりとした田園風景を、そのあちこちで農作業に勤しむ人々を、丘陵上から見渡しながら、茨華仙は思考を試みた。
妖怪は、人間に恐れられなければ、存在を維持する事が出来ない。そう言われている。
外の世界において、かつては妖怪の仕業、あるいは妖怪そのものであった事象が、ことごとく科学によって解明された。
結果。妖怪たちは、外の世界に存在する事が出来なくなった。
だから、この幻想郷という隔離空間で、人間たちに恐れられる。認識される。
それによって妖怪たちは初めて、存在が可能となる。
そう、言われている。
幻想郷の人間たちは、妖怪たちにとって、己が存在を維持するための、重要な道具。装置。
そのように、言われている。
本当にそうなのか、と茨華仙は思う。
幻想郷の妖怪とは、それほどまでに脆弱な生命体なのか。
人間たちに忘れ去られただけで消えてしまうような、弱々しい存在なのか。
スカーレット姉妹が、外の世界で大殺戮を実行した。
脆弱な生命体の、なせる業ではなかった。
幻想郷の妖怪が、外の世界に在った場合。存在が危うくなるのは、むしろ人間たちの方ではないのか。
幻想郷とは、妖怪たちを隔離し保護するための領域……ではない。
妖怪たちを隔離する事で、外の世界を守る。そのための幻想郷なのだ。
そんな幻想郷にも、人間たちは住んでいる。生きている。
何のためにか。役割が、あると言うのか。
「……餌。生贄」
茨華仙は、ぽつりと呟いた。
「幻想郷の荒ぶる妖怪どもを満腹させて、外の世界へ行かせない……それが幻想郷の人間たちの役割ではないかと私は思うが、どうかな」
「悪鬼・茨木華扇らしい考え方だ。実に面白い」
傍らに佇む女神が、言った。
北斗七星の装束を、身にまとっている。
「大昔、我々が造り上げたばかりの幻想郷に、妖精はいなかった。人間も、いなかったのだ。あの者たちはなあ、どこぞから勝手に湧き出して来たのだよ。まあ、外の世界と同じだな」
「その時点で……人間という生き物を、根こそぎ排除しようと思えば、貴女には可能だった?」
「今からでも、やろうと思えば出来るさ。やらないが、ね」
北斗七星の女神が、微笑む。
「人間など、いくら居たところで脅威にも害悪にもならぬ……妖精どもと違ってな」
「貴女、本当に妖精を警戒しているわね」
「この者どもは今や、幻想郷を完全に支配しつつある。知らぬ間に蔓延り繁殖する、植物のようにな」
瑞々しく生い茂る緑の草木を見渡し、睨み、北斗七星の女神は言った。
草木の緑が、ゆらりと立ち昇った、ように見えた。
緑色の衣装を軽やかにまとう少女たちが、いつの間にか出現し、楽しげに飛び交っている。
妖精だった。
その一匹が、好奇心を丸出しにして、北斗七星の女神にふわふわと近付いて来る。
「手を打たねば、と思っているよ。私は」
その妖精の頬を撫でながら、女神は言った。
「こやつらの中から……第二、第三の風見幽香が出現する前に。な」
微笑む女神の眼差しが、この場にいる、二人の客人に向けられる。
「あやつをな、連れ帰ってくれるわけにはゆかぬか」
「ご勘弁願おう。あの風見幽香は、我らとは違う。大人しく隠居など、してはくれない」
明羅が、続いて里香が言った。
「上手い事どこかへ連れて行っても、またここへ帰って来ちゃうです。あの人は」
「……貴女たちは、あちらへ帰ってしまうの?」
茨華仙は、惜別の言葉をかけた。
客人二名の姿が、キラキラと光に包まれながら、薄れてゆく。消えつつある。
「新しき幻想郷の賢者たちよ。貴女がたには本当に、お世話になった」
その光の中で、明羅が頭を下げた。
「……見ての通りだ。我々はもはや、弾幕戦の表舞台に立つ事は出来ない。敗れ、心折れてしまったからな」
「敗れても、踏みにじられても、心折れない。そんな人だけです、こちらの幻想郷に居られるのは」
「神綺の娘たちの中で、最もひねくれた、最も臆病な、最もしぶとい、あの人形使いの少女のように。か」
北斗七星の女神が、言った。
「……心折れた、などと君たちは言っているがな。時が経てば、その心も立ち直るかも知れん。また弾幕戦をやりたくなる。戦車遊びを、したくなる。その時は、来られるようであれば、こちらへ来ると良い」
「私たちが、お相手するわ」
茨華仙は言い、消えゆく客人たちを、じっと見送った。
「明羅、里香、すでに行ってしまったエリー……旧き幻想郷の、勇敢なる弾幕使いたちよ。私は貴女たちを忘れない、忘れさせはしない。貴女たちは決して、消える事はないのよ」
微笑み、手を振りながら、明羅と里香は姿を消した。
「私、ずっと思ってたよ。自分の記憶……私の歴史が、何だか穴だらけ。よくわからん化け物に、喰い散らかされてるみたいだってな」
霧雨魔理沙の言葉に、上白沢慧音は何も言わない。いくらか俯き加減に、視線を逸らせている。
傍らでは藤原妹紅が、難しい顔で腕組みをしていた。
迷いの竹林。永遠亭の、敷地内である。
昨夜ここで行われた宴会では、妹紅はひたすら皆に頭を下げていたものだ。
慧音の頭を押さえ付け、共に土下座をさせながら。
そんな二人を、伊吹萃香が飲ませて潰した。
慧音が俯き、妹紅が難しい顔をしているのは、もしかしたら二日酔いかも知れない。
そんな事を思いながら。魔理沙は言った。
「……本当に、喰われてたってわけか」
「君たち二人は、敵同士として出会った。敵対し合う、二人の弾幕使いとして」
視線を外したまま、慧音が応える。
「同時に……幻想郷の守り手と、守られる側の無力な少女としても出会った。その少女は」
「何者でもない自分に、嫌気がさしていた。自分は何かになれるはずだって、信じていたんだ。まあ無邪気だよな」
苦笑しつつ魔理沙は、同行者の方をちらりと振り向いた。
博麗霊夢は無表情のまま、慧音の語る事に聞き入っている。
この少女に憧れ、無謀にも対抗意識を燃やしていた、身の程知らずな霧雨魔理沙が、かつて確かにいた。
この少女と、ひたすら戦い、競い合っていた霧雨魔理沙も、確かにいた。
博麗霊夢と霧雨魔理沙の出会いは、二つあったのだ。
「その辺りは、曖昧にしておくべきだと私は思った」
慧音がようやく顔を上げ、魔理沙と霊夢を見た。
「君たち二人は、いつの間にか出会って何となく行動を共にするようになった友達同士。何でもない日々を、面白おかしく過ごす友達同士。そうでなければならない、と私は思っていたんだ」
「博麗霊夢ってえ規格外のバケモンを、ぬるま湯の中で飼い慣らす。そのための幻想郷ってワケだな」
萃香が言い、霊夢の背中をぽんと叩く。
「確かになあ。コイツを大人しくさせときてえなら、迂闊に退治やら封印やらよりも……日々のほほんと、怒らせねえように過ごさせるのが一番よ。なあ霊夢」
「あんたみたいなのが割としばしば、怒らせに来てくれるけどね」
霊夢が、ようやく言葉を発した。
「ねえ上白沢先生。あんたが大暴れしている間、私は無様にもロケットの中で寝込んでたわけで、偉そうな事を言う資格はないわけで。あんたがトチ狂ってたのと、少なくとも同じくらいは私もやらかしたからね。今回」
言いつつ、永遠亭の敷地内を見回す。
「紫の奴は……来てないわね。あいつを締め上げて聞き出すつもりだったけど、まあ御本人に確認しましょうか。上白沢慧音、あんたは幻想郷を安定させるための大事な役割を負っている。それは自分の意志で? それとも幻想郷の賢者とかいう胡散臭い連中に押し付けられて、逆らえないよう手を打たれたとかで」
「押し付けられた……と言ったら、何をしてくれるのだ。博麗の巫女よ」
慧音が軽く、霊夢を睨む。
「幻想郷の賢者たちから、私を……力ずくで解放してくれる、とでも?」
「そうね。まずは紫をぶちのめして、賢者なんて連中が他にいるのかどうかも聞き出して」
「……そんな必要はない。私がこの役目を負っているは、紛れもなく己の意志によるものだ」
霊夢は本当にやる、と慧音は思ったのだろう。
「己の意志で引き受けた役目を、私は放棄した。私情に走り、破壊を行った。博麗の巫女としては許せなかろう、処断するがいい」
霊夢が何かを言う前に、妺紅が前に出た。
慧音を背後に庇い、博麗の巫女と対峙した。
「……慧音には、生きて償いをさせる」
「別に……そんな事、させようとは思わないから。言ったでしょ? 私にね、誰かを偉そうに責める資格はないの。大勢に迷惑かけたのは私も同じ」
「もういいだろ、その話は」
魔理沙は、霊夢の背中を軽く叩いた。
「そんな話をしにきたわけじゃ、ないはずだぜ。ほら……あいつらを、見送ってやらないと」
魔理沙の視線の先では、ひとつの別離が行われていた。
因幡てゐ、鈴仙・優曇華院・イナバ、蓬莱山輝夜、八意永琳。
永遠亭の関係者たちが総出で、月の住人たちを送り出さんとしているところである。
「行っちまうのかい? せっかく、そこそこは優秀な従業員を確保出来たかと思ったんだがね」
あながち冗談でもない口調で、てゐが言う。一人の、兎の少女に向かってだ。
「私ら地上の兎にとって、月は見上げて崇めるためだけのもの……そこに御同輩が住んでるとなれば、まあ若干の親近感は湧かなくもないかな」
「いい所よ。なんて、口が裂けても言えないけれど」
レイセンが、穏やかに苦笑する。
「……でもね。私はもう、あの無菌室みたいな場所でしか生きられないから。お世話になりました、てゐさん。永遠亭の方々。それに」
その視線が、ちらりと動く。
「……色々ありがとうね、影狼さん」
「ねえ貴女、本当に大丈夫なの?」
今泉影狼もいた。本気で、レイセンの事を心配している。
「ひとりで、ちゃんとやっていける? 私と一緒に暮らしなさいとまでは言わないけれど、この永遠亭でお世話になった方がいいと思うわ」
「そうはいかないのよ。私たちがね、この子を手放す事は出来ないから」
綿月依姫が、後ろからレイセンの肩をそっと抱いた。
そうしながら、もう一人の『れいせん』に語りかける。
「本当はね、貴女も連れて帰りたいわ」
「……私は、逃亡兵です」
鈴仙は応えた。
「任務に失敗し……敵地で、無様な戦死を遂げたものと……」
「しっかりしなさいよね、先輩」
レイセンが、言葉を投げた。
「私、あんたになんか尊敬も愛着もないけど。豊姫様より賜った、この名前には誇りを持っているのよ。玉兎の代表として地上にとどまる以上、ちゃんとしてくれなきゃ困るわ」
「玉兎の、代表……私が……」
鈴仙の声が、微かに震える。
「……そんなの……考えた事も、なかった……」
魔理沙は密かに、てゐと顔を見合わせた。
「あいつ……もしかして全然、立ち直ってないんじゃないのか」
「当たり前だよ。あいつはね、何百年もずっと任務を帯びていた。任務を果たして月に帰る、そのためだけに地上にいたんだ」
てゐが小さく、溜め息をつく。
「その土台が、なくなって……すぐに立ち直るってのは、なかなか難しいと思うよ」
俯いてしまった鈴仙に、綿月豊姫が言葉をかけた。
「まるで月から追い出すように過酷な任務を、貴女に押し付けてしまった事。心から、謝罪をしたいわ」
鈴仙は、無言のままだ。
「本当はね、稀神サグメもこの場に引っ張り出したいところだけど。あの子はあの子で、酷い目に遭っているわ。どうか許してあげて」
「むしろ、私が謝罪をしないと駄目なのかしらね」
八意永琳の口調は、いくらかは申し訳なさげである。
「彼女には本当に、かわいそうな事をしてしまったわ。月の艦隊……潰してしまって、ごめんなさいね」
「潰れてしまうような艦隊であった、という事です」
依姫が、恭しく一礼する。
「本当に……お見事でございました、八意様。月の賢者とは、いかなるものか。久しく忘れていたそれを、私ども月人は学んだのです」
「そんなものより、もっと大きな学びが、貴女にはあったはずよ綿月依姫。随分と、大変な目に遭ったのでしょう?」
永琳の言葉に、依姫は頭を掻いた。
「ええ……いやまあ、本当に。神降ろしの何たるかを、私は幻想郷へ来て、初めて学んだような気が致します」
「ふふ。勝手に入り込んで来るような神々の無法に、身を任せる……そうする事でしか、学べないものもあるわ」
「依姫さん」
犬が一匹、依姫にすがり付いた。そう見えた。
高麗野あうんだった。
「……行って、しまうんですか?」
「私など、最初から居なかったものと思って欲しいが」
「無理に決まってます! そんなの」
「……ありがとう、あうん」
依姫は愛おしげに、あうんの頭を撫でた。
その傍らでは、豊姫が姿勢を正している。
「八意様は」
昨夜の宴で、この綿月姉妹と八意永琳は話し込んでいた。
話は、それでも尽きないようである。
「私たちを……お許し、下さいますか?」
「間違えては駄目よ丞相閣下。貴女が許しを乞うべき相手、それは私ではなく」
「もういいわ。この女から、謝罪なんて要らない」
輝夜が言って、じろりと妹紅を睨む。
「ちょっと妹紅。あんたよくも私の目の前で、この女をぶちのめしてくれたわね? 私がやりたかったのに」
「お前、赤ちゃんになってただろうが」
妹紅が睨み返し、言葉を返す。
「この綿月豊姫はなあ輝夜。お前なんかより、ずっと立派な人物だぞ? 妹なら、もうちょっと敬意を持て」
挑発、であるのかも知れない。
だが輝夜は、ひときわ強く妹紅を睨んだだけで何も言い返さず、姉たちの方へ向き直った。
「依姫姉様は……幻想郷で、私たちと一緒に暮らそうとは思わないの?」
「幻想郷は、良い所だものな」
あうんの頭を撫でながら依姫は、霊夢の方を見た。
「……また会える、必ず」
「そうね……私たちには、永遠の時がある」
輝夜は、涙を拭ったようだ。
「依姫姉様にも、それに……あの方にだって、必ず会えるわ。あと綿月豊姫、あんたを弾幕でぶち斃す機会だって無限にある。次は、負けないわよ」
「輝夜……貴女を私たちのもとへ受け入れる機会も、無限にある。私は諦めない」
豊姫の眼差しが、輝夜から妹紅へと移った。
「この宇宙で最も危険な生体兵器……戦闘用・蓬莱人形。貴女にも、色々と借りを作ってしまったわね」
「いつでも返しに来い。いや、私が月の都へ行ってみてもいいかな」
「それは駄目。月の都は、貴女の絶大過ぎる穢れには耐えられない」
豊姫が、続いて依姫が言った。
「月の民が、失ってしまったもの……穢れを、この度の戦いで我々は、いくばくかでも学ぶ事が出来た。礼を言う、幻想郷の弾幕使いたち」
「……要らない、そんなの」
霊夢が、ふわりと駆け寄って行った。
涙の煌めきが、キラキラと散った。
「霊夢……」
言葉を失いながら依姫は、霊夢の細い身体を抱き止めていた。
「……私、言わなかった? ねえ依姫さん……博麗神社では……居候を勝手にやめる事は許されないって……」
「…………そうね。博麗神社には、居候が必要」
泣きじゃくる霊夢を、依姫は優しく抱き締めた。
「伊吹萃香、高麗野あうん、それに神社を訪れる妖精たち妖怪たち……全てが貴女を、貴女たらしめているのよ霊夢。だから……守りなさい、絶対に」