第77話 フラワー・マスター
原作 上海アリス幻樂団
改変、独自設定その他諸々 小湊拓也
掘っ建て小屋も同然の木造ロケットが、今の今まで保ったのが、まず奇跡であった。
あんなもので地上を出立し、月の防衛宙域にまで到達した者たちがいる。
「地上の弾幕使いども……敵ながら、天晴れである」
星幽剣士コンガラは、光の剣を眼前に立てた。
ロケットは、粉微塵に粉砕されて跡形も残っていない。
だがロケット内部で行われていた祈祷の儀式は、宙域全体に神の加護をもたらしているようであった。
この加護の中であれば、地上の弾幕使いも大気圏内と同様に行動する事が出来る。
その状況が出来上がったのも、幻想郷から来た者たちが、現時点までロケットを守り抜いたからだ。
祈祷の儀式を長時間、守り続けたからである。
「貴様たちを地獄へ連れて行けば、あの御方もお喜びになろう……だが今は、それよりも」
博麗の巫女。
宇宙最大の厄災が、解き放たれてしまった。
跡形もなく消し飛んだロケットの中から、厄災そのものの力が、宇宙の彼方へと向かって放り出され、ひらひらと吹っ飛んで行くのをコンガラは確かに見た。
吹っ飛んだ先から、あれはやがて戻って来る。
そして、全てを制圧する。
魔界も地獄も、今度こそ完全に制圧される。
「……させぬぞ、博麗靈夢!」
コンガラは、宇宙空間を蹴って駆け出した。
飛翔も同然の、疾駆。遥か彼方を漂う博麗靈夢に向かって、踏み込んで行く。
いや。コンガラは、即座に立ち止まった。
襲撃の気配が、全方向で発生したからだ。
コンガラの周囲で、空間が何ヶ所も裂けた。
いくつもの白い光が、出現していた。
斬撃の閃光。
それらが一斉に、コンガラを襲う。
宇宙空間を切り裂いて現れた、何本もの刃であった。
「何者……!」
全てを、コンガラは光の剣で防ぎ、受け流し、弾き返した。
無数の火花が、星幽剣士の凛とした美貌を凄惨に照らし出す。
「見事……」
静かな、賞賛の声。
かなり間合いを開いたところで、その女剣士は宇宙空間に佇んでいる。
抜き身の長物を一閃させ、宇宙空間を切り裂いたところであった。
「さすがは星幽剣士……地獄界きっての剛の者よ。私も心して戦わねばなるまい」
「心して、何のために戦おうと言うのだ。月の姫巫女よ」
コンガラは問いかけた。
「私は、博麗靈夢を討滅せねばならぬ。あれを放置しておけば……地獄、魔界、だけでは済まぬ。月も制圧されてしまうぞ」
「……今の、月の都に……制圧する意味など、霊夢は果たして見出してくれるかな」
綿月依姫が、優美に苦笑した。
「仮にそうなれば、そうなった時の事。ともかく私は霊夢を守る。貴様を、行かせるわけにはゆかぬ」
「……そうか。守らねばならぬと、思い定めてしまったのだな。貴様の戦い、なのだな」
コンガラは、光の剣を構えた。
「ならば。私が何を言ったところで時間の無駄……」
「……星幽剣士コンガラよ。私は貴殿に、我らと共に霊夢を守って欲しいと思っている」
「世迷い言として一応、耳には入れておく!」
コンガラは、踏み込んだ。
突然、視界が炎に満ちた。
「火雷神……」
依姫の言葉に合わせ、宇宙空間に存在し得ないはずの火炎が、轟々と渦を巻いて燃え盛る。
炎の、大蛇あるいは龍。
その出現とほぼ同時に、コンガラは右手で素早く印を切っていた。
その手印から、無数の真珠が溢れ出した。
真珠にも似た、白色の光弾の嵐。
それが、襲い来る紅蓮の龍を直撃する。
龍が、砕け散った。
炎の破片を蹴散らすように、依姫の斬撃が来た。
長物の一閃。
それをコンガラは、光の剣で弾き返した。
長大な刃が、弾き返された直後には、もう別方向から襲いかかって来る。
高速の斬撃は、高速の防御で迎え撃つしかない。
光の剣を、コンガラは縦横無尽に振るい構えた。
そこへ依姫の斬撃が、容赦なく叩きつけられる。
「さすが、手強い……だがっ!」
間断ない衝撃を弾き返しながら、コンガラは攻撃に転じた。
立て続けに襲い来る白刃に、光の剣をぶつけて行く。
その斬撃は、しかし思いきり空を切った。
依姫が、後方へとかわしていた。
間合いが、開いた。
コンガラは、即座に詰めた。斬りかかった。
依姫の両腕が、燃え上がった。左右の細腕が一瞬、火炎の塊と化した。
その炎が、抜き身の長物へと流れ込んでゆく。
長大な、炎の剣が、そこに出現していた。
まだ僅かに炎をまとう両腕で、依姫はそれを振るう。一閃させる。
光の剣と炎の剣が、ぶつかり合った。
衝撃が、2人の女剣士を弾き飛ばす。またしても間合いが開き、だが即座に詰められた。
光の斬撃と炎の斬撃が、幾度も激突した。
黄金色の火の玉が、宇宙空間を飛び回っている。
そう見えた。
炎の如く揺らめく、獣毛の塊。
金色の九尾が、何体もの向日葵妖精を立て続けに殴打する。
殴打と同時に八雲藍は、至近距離から光弾を撃ち込んでいた。
回転体当たりと、零距離射撃。
宇宙空間のあちこちで、向日葵妖精たちが鮮血を散らせ、よろめいている。
並みの妖怪であれば、跡形も残さず砕け散っているところだ。
向日葵を持つ妖精たちは、しかし血飛沫を咲かせながらも怯む事なく編隊を組み直し、光弾やレーザーを放射する。
その弾幕が、藍を直撃していた。
九尾の妖獣が、鮮血の筋を引きずりながら吹っ飛び、辛うじて宇宙空間に踏みとどまり、体勢を立て直す。
そこへ、向日葵妖精たちの弾幕が容赦なく降り注いだ。
「藍様!」
叫び、飛んで行こうとする橙の首根っこを、八雲紫は左手で掴んだ。
そうしながら、右手で日傘をかざす。盾の形にだ。
無数の光弾とレーザーが、激しく降り注いで日傘を直撃した。
一見か弱い繊手で日傘を握り、着弾の衝撃を掴み止めながら、紫は端正な歯を食いしばった。
「……妖精という生き物は……周囲の自然環境次第で、際限なく強くなってしまう……」
それを警戒している者が、幻想郷の賢者に1人いる。
「……貴女は、妖精を……恐れている。わからなくは、ないわ……」
この場にいない賢者に語りかけながら、紫は防御に徹した。
光弾とレーザーの豪雨を、日傘で防ぎ続ける。
「ゆ、紫さまぁ……」
「大丈夫よ、橙。貴女も、藍も、私が守る」
日傘の下で紫は、橙の小さな身体を抱き寄せた。
「貴女たちの命……使い捨てる場所は、ここではないわ」
「無理する事、ないのに」
声がした。
それに合わせ、無数の小鳥が羽ばたき飛翔した。
小鳥の形をした、光弾の群れ。羽ばたく弾幕であった。
それが向日葵妖精たちを直撃し、よろめかせる。
「鳥籠の中でしか、生きられない……」
カナ・アナベラルが、宙に横たわる道路標識に腰掛けたまま、藍を背後に庇っている。
「……この子たちは、その典型例よ? ねえ」
「貴様……!」
負傷した藍が、牙を剥く。
カナは微笑む。
「八雲紫……貴女はね、この狐さん猫ちゃんにとって、ただひとつしか無い鳥籠なの。後付けの理由なんて要らない。この子たちを、ただ守ってあげたらいいじゃない」
「……………………」
紫は応えず、ただ防御に徹した。
日傘で守っているのは、橙だけではない。
今や巨大な植物園と化した可能性空間移動船の甲板上に、紫はいる。
降り注ぐ弾幕を防ぎ続ける日傘の下で、1人の少女が叫んでいた。
「ちょっと! 2人とも、いい加減に起きなさい!」
幼い少女である。
小さく可憐な裸身を、赤色のマントで包み隠している。岡崎夢美が着用しているものと同じだ。北白河ちゆりが着せかけたもの、であろう。
そんな少女が、ぴしぴしと平手打ちを叩き込んでいる最中であった。
植物に拘束されたまま意識を失っている、藤原妹紅と綿月豊姫の顔面にだ。
目覚めぬ2人に、蓬莱山輝夜は懸命な平手打ちと叫びを浴びせ続ける。
「大馬鹿の妹紅! この宇宙で最もおぞましい生き物の腰巾着でしかない綿月豊姫! 別にねえ、貴女たちがどうなろうと私の永遠に雅やかなる生き方には何も影響を及ぼさない! ねえ、悔しいでしょう? 無念でしょう!? 何とか言ってみなさいよ、あの男たちよりも愚かな馬鹿女どもがぁああああああああっ!」
「お、落ち着いて輝夜ちゃん。脱げる脱げる、見えちゃうから」
ちゆりが慌てる。輝夜の絶叫が、宇宙空間に轟き渡る。
紫は見上げた。
飛び交う弾幕の真っただ中、睨み合っている者たちがいる。
「お帰りなさい、魅魔」
片方は、風見幽香である。
「まだまだ引退なんて、させないわよ」
「はっきり言うぞ幽香。お前、すごく迷惑だ」
宇宙空間を舞う、長い髪。禍々しい皮膜の翼。
豊かな胸、くびれた胴。いささか育ち過ぎの白桃を思わせる尻。
露出のない青色の衣服の上から充分に見て取れる、その魅惑的な曲線を引き継ぎながらも両脚は形を無くしており、スカートからは尻尾状の霊体が現れている。
幽香を見据える美貌には、太古の邪悪さの名残があった。
かつて確かに、大いに、災厄をもたらしていたのであろうと、見ただけでわかる。
「迷惑なんてのは、お前にとっちゃ誉め言葉にしかならないだろうな。だからもう誉めてやらない……力尽くで、引退させる」
たおやかに見える両手で、悪霊・魅魔は大型の得物をブンッ! と振るい構えた。
三日月型の刃を備えた、杖。
「魔理沙を……随分、虐めてくれたようだな」
「待った! ちょっと待ってくれよ魅魔様」
霧雨魔理沙が、魔法の箒で飛んで来た。
「そいつと戦ってたのは私だぜ! 確かにまあ酷い目には遭わされたけど、あんたに仇討ちをしてもらおうとは思わない。私の力で、やり返す……」
そこへ、横合いから弾幕が襲いかかる。
向日葵妖精の軍勢が放つ、光弾とレーザーの嵐。魔理沙を、一瞬にして呑み込んでしまう。
荒れ狂う弾幕の中で、魔理沙は高速回避に忙殺されていた。
紫が思わず見入ってしまうほど見事な、魔法の箒の操縦技能である。
「腕を上げたな、魔理沙!」
月牙杖を振りかざし、魅魔は飛翔した。幽香に向かってだ。
「お前はもう私の弟子じゃあない、一人前の弾幕使いだ。好きにやれ! 私も好きにやらせてもらう!」
霊体とは思えぬほど肉感的なボディラインが激しく捻転し、三日月型の巨大な刃が一閃する。
一閃で、複数の斬撃が繰り出されていた。全て幽香を直撃した。
花びらが、切り刻まれて飛び散った。
植物の鞭が、幽香の全身を螺旋状に取り巻きながら、いくつもの花を咲かせている。
盾の形に咲き開いた、大輪の花々。
それらが月牙杖に切り刻まれ、散りながら光弾に変わる。
そして魅魔を襲った。
全て、跳ね返った。
魅魔の眼前に、正方形の防壁が出現していた。魔力の防壁。
それが、幽香の弾幕を跳ね返しながら、自身も無数の光弾を放つ。
至近距離から押し寄せる弾幕を、幽香は後退し、かわした。かわしながら、魅魔を睨み据える。
その眼光が、細い一筋の可視光線となった。
細く細く凝縮した、妖力。
それが、正方形の魔力防壁を粉砕する。
キラキラと、魔力の破片が飛散した。
魅魔の姿は、すでにそこにはない。
幾人もの魅魔が、幽香を取り囲んでいた。
幻影。それは紫にもわかる。
だが直後、魅魔数人が放った弾幕は、幻影ではなかった。
明確な殺傷力を有する無数の光弾が、全方向から幽香を襲った。
開いた日傘を左手で振り回しながら、幽香は右手で、植物の鞭を一閃させた。
全方位からの弾幕が、日傘に跳ね返され、根と荊と蔓草の鞭に粉砕される。
「……小賢しいわよ、魅魔!」
幽香の眼光が、魅魔の幻影を薙ぎ払い、焼き払い、消滅させた。
いや。1体だけ、幻影ではなかった。
正方形の防壁を眼前に出現させ、幽香の眼光を防ぎ止めている。
凝縮した、一筋の細い妖力光線。
幽香の瞳から走り出すそれが、正方形をひび割れさせてゆく。
ひび割れゆく防壁に、魅魔は己の魔力を注ぎ込んでいた。
防壁は強化されてゆくが、幽香もまた己の眼光に妖力を注ぎ込んでいた。
細い一筋の光線が、急激に太さを増しながら、正方形を圧迫する。
防壁もろとも、魅魔は押されていた。幽香との間合いが、開いてゆく。
遠ざかる両者の間で、妖力光線が太く太く膨張した。
「くっ……!」
綺麗な歯を食いしばる魅魔の眼前で、強化された防壁が、亀裂に満たされていった。
「こ……こいつ……!」
「認めなよ、魅魔様」
魔理沙が、いつの間にか魅魔の傍らにいた。
「あんたは引退して弱くなった……わけじゃないにしても。今の風見幽香は、怪物として進化しまくった状態だぜ。1対1で勝てる奴なんて、いるのかな」
「お前……」
「……霊夢がな、吹っ飛んで行ったぜ」
「心配なら、探しに行ってやったらどうだ」
「今は霊夢より、魅魔様の方が心配だぜ。殺されそうじゃないか」
「ふん、魔理沙が私を心配だと?」
「あんたは、私たちが霊夢を助けるのを邪魔した。私とパチュリーを助けるため、だったにしても……さっきは一瞬、あんたに殺意が湧いたぜ」
魔理沙は、小型八卦炉をかざした。
「でもまあ、助ける」
「何だ、その玩具……」
「私には、これがある!」
八卦炉が、炎を噴いた。
「幻想郷いちの職人が、私のために作ってくれたんだ。私にとって、兄貴みたいな奴……魅魔様と出会っていない私にとって、な」
「……何もかも思い出す。それが幸せな事なのかどうか……私くらい生きてても、わからんものでな」
「私、幸せだと思ってるぜ」
チロチロと揺らめく炎が、爆炎の閃光に変わった。
「魅魔様に会えた、こーりんにも会えた。霧雨魔理沙が1人しかいなかったら、あり得なかった事だぜ!」
マスタースパークが、ひび割れた防壁を内側から粉砕しつつ、迸った。
そして、幽香の眼光とぶつかり合う。
「魅魔様、こーりんに会って欲しいぜ! 森近霖之助って言うんだけどな、私すごく世話になったんだ」
「魔理沙、お前は……」
魅魔の声が、魔理沙には聞こえているのか。
「……お前はもう、私と一緒に博麗と戦った時の魔理沙には戻れない。幻想郷の人里で、ただ自立を夢見ていた無力な小娘にも、戻れない。どちらでもあり、どちらでもないものに、お前はなってしまったんだよ魔理沙」
聞こえていない、のではない。魔理沙は、聞こえないふりをしている。
小型八卦炉から放たれる、爆炎の閃光。
幽香の瞳から迸る、極太の妖力光線。
両者の激突が、宇宙雨空間を揺るがした。
揺らぐ宇宙のあちこちから、向日葵妖精たちが魔理沙に狙いを定めている。
「我らの力は、幽香様のために……」
「我らの魂……幽香様と、共に」
弾幕の一斉射に入りかけた彼女たちが、しかし突然、砕け散った。
つい今まで魔理沙の傍らにいた魅魔が、流星と化していた。
高速飛翔、そして斬撃。
月牙杖が、向日葵妖精たちを粉々に切り刻んでいた。
キラキラと舞う妖精たちの破片を蹴散らして、魅魔は幽香に肉薄して行く。
その時、爆発が起こった。
魔理沙と幽香の力のぶつかり合いが、激突から爆発に変わっていた。
爆炎の閃光も、極太の妖力光線も砕け散り、衝撃が魔理沙を吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされながら箒にまたがり、敏捷に方向転換をして体勢を立て直す魔理沙に対し、幽香は微動だにしない。
ただ眼光の狙いを、魔理沙に定めている。
そこへ、魅魔は激突した。
大量の臓物が、宇宙空間にぶちまけられた。
半ば両断された、幽香の身体から溢れ出したものだ。
三日月型の刃が、幽香のスリムな脇腹を切り裂きながら脊柱を断ち切っている。
ぶちまけられた大量の臓物が、蠢きながら月牙杖に、それを握る魅魔の細腕に、絡み付いてゆく。
臓物でありながら、植物の根であった。
おぞましい植物が、魅魔の身体に根を張りつつあるのだ
「ああ、やっぱり……貴女、素敵よ。魅魔……」
間近から、幽香は微笑みかける。
溢れ出す植物の根が、魅魔の全身を絡め取っていた。
凹凸の見事な胴体を縛る拘束から、豊麗なる胸の膨らみが押し出される。
霊体の尻尾でしかなかった魅魔の下半身が、その時、躍動した。
霊体の尻尾が、凶猛な肉感漲る左右の美脚に変わったのだ。
むっちりと生命力に満ちた太股が、スカートを押しのけ跳ね上がる。
膝蹴りが、幽香に叩き込まれていた。
半ば両断されながらも、蠢く根によって繋がりつつあった胴体がズドッ! と前屈みにへし曲がる。
その太股にも、しかし植物の根が絡み付いて行く。
「みんな……私を置いて、行ってしまった……」
幽香は顔を上げ、魅魔の艶やかな髪に、形良い耳朶に、囁きかけた。
「……寂しかったのよ? とても……」
「……お前だって、来れば良かったじゃないか」
魅魔は言った。
「誰も知らない所で私ら皆、のんびり楽しくやっている。お前は何故そうしない?」
「……誰も知らない所は……嫌……」
幽香の声が、震えた。
「ねえ魅魔、貴女も私も弾幕使いなのよ? この宇宙の全てが原子の霧に変わってしまうほどの弾幕戦を、しないでどうするの。誰も知らない所でのんびり隠居なんて……私にも貴女にも、許されていないわ」
泣いている、ようでもある。
「忘れないで魅魔。貴女はね、宇宙で最も美しい……弾幕の花、なのよ」
幽香の美しい唇が、魅魔の端麗な唇に、密着していった。