第24話 メイガス・ナイト
原作 上海アリス幻樂団
改変、独自設定その他諸々 小湊拓也
ありったけの炎を、藤原妹紅は投げつけた。
全て、弾かれた。
燃え盛る炎の荒波を押しのけて、異形のものが現れる。
小太りの、不格好な甲冑。焦げ目ひとつも付いていない。
月の、兵士。
その太く短い腕が、光を発した。光弾だった。
妹紅は、かわせなかった。左手で、防御をした。
左手が、砕け散った。
「ぐっ……!」
妹紅は激痛を噛み殺し、右手をかざした。鋭利な五指が、炎を発した。
その炎が、轟音を立てて燃え上がり、月の兵士を飲み込んで荒れ狂い、消滅した。炎の飛沫が、飛び散って消えた。
ずんぐりとした全身甲冑の、無傷の姿が現れる。その不恰好な腕の先端から、光弾が発射される。
直撃。妹紅の細い脇腹が破裂し、臓物が噴出した。
噴出したものを引きずりながら、妹紅は駆けた。雄叫びを張り上げようとしたが、吐血のせいで失敗した。
口から、脇腹から、大量の鮮血が溢れ出す。
そして、燃え上がった。
血が炎に変わり、妹紅の肉体を内外から焼き尽くす。
炎の塊と化しながら妹紅は、月の兵士にぶつかって行った。
太く不格好な全身甲冑が、焦げ砕けた。黒焦げの破片が飛び散った。
妹紅もまた、焼け焦げた屍と化していた。倒れ込みながら、大量の灰を飛び散らせる。
復活まで、どれほどかかるか。
月の兵士たちは、まだ大量に群れている。彼女を、連れ去ろうとしている。
させない。
そんな声を発する事も出来ぬまま、妹紅は這った。月の兵士たちに向かって、死にかけた蛞蝓のように。
今の妹紅は、黒焦げの蛞蝓であった。
「……無理をしないで」
声をかけられた。
静かな気配が、傍らを通過する。這いずる妹紅を、ゆらりと追い抜いて行く。
「大人しく再生を待ちなさい。後は私に任せて……大丈夫。あの子を、連れて行かせはしないわ」
藤原妹紅が『再生する者』である事を、知っている。
あの子、というのが何者であるのか。
確認するまでもなく、妹紅の心は燃え上がった。
「……あいつを、知ってるのか……お前、誰だ。あいつの何だ……!」
妹紅の、身体も燃え上がった。
黒焦げの肉体が、炎の中で崩壊し、灰と化す。
自身の遺灰をふんわりと漂わせながら、妹紅は身を起こした。細く白い裸身。白銀色の髪が、熱風に舞う。
「その再生力……! 素晴らしいわ。あの子や私より、上かも知れない」
兵士を1体、焼き殺しただけでは全く減ったように見えない、月の軍勢。
単身それと対峙したまま、彼女は言った。視線だけで、ちらりと妹紅の方を振り返る。
「蓬莱の薬が、上手く貴女の手に渡ってくれれば僥倖……そう思っていたわ」
「お前……!」
「岩笠殿を殺したのは、つまるところ私よ。貴女が気に病む事ではない」
月の軍勢に向かって、彼女は優雅に歩を進めた。
自分と同じ、白銀色の長い髪が揺らめく様を、妹紅は呆然と見つめていた。
彼女は振り向かず、声だけを投げてくる。
「藤原妹紅……本当に、ありがとう。あの子を守るために、戦ってくれて」
「……誰が守るかよ、あんな奴」
藤原妹紅が苦笑している。夢の中で、一瞬の夢を見ていたようだ。獏の仕業、ではあるまいが。
月人の兵士たちが、後退して行く。
その代わりのように、何かが押し寄せて来たところである。
博麗霊夢の陰陽玉に似た、不吉な球体。
無数のそれらが螺旋状の軌跡を描き、取り巻くように襲いかかって来る。
「ふん。どうせ当たると爆発とか、そんなんだろが!」
伊吹萃香は、鎖を振るった。小さく愛らしい豪腕で、3本の鎖を振るい操った。
角錐、球体、立方体。3種の分銅が、陰陽玉に似たものたちを片っ端から粉砕する。
思った通り、爆発が起こった。
爆炎が、無数の光弾と化して全方向から萃香を襲う。
光弾と光弾の隙間を、萃香は泳いで抜けた。
陰陽玉のような球体の群れが、しかし萃香の遊泳を執拗に追尾して来る。あるいは、前方左右に回り込む。
「おう、何だい。酒の匂いにでも釣られてんのか? じゃ食らわしてやんよお」
萃香は瓢箪の中身を呷り、ぶはぁーっと息をついた。吐き出された酒臭さが、発火した。
炎の吐息が、球体の群れを焼き砕いてゆく。無数の爆発が、萃香を取り囲んだ。
押し寄せる爆炎が、光弾の嵐と化した。
全ての光弾が、萃香の小さな掌に集まってゆく。凝縮してゆく。
「ものを集めんのは、得意でなあ……」
萃香の右手に、巨大な光球が出現していた。無数の光弾の凝縮・融合体。
それを萃香は、ぶんぶんと振り回し、投擲した。
投擲された大型光弾が、遥か彼方、広大に布陣する月の艦隊へと吸い込まれて行く。戦艦のどれかに、命中くらいはしたのだろうか。
ともかく。陰陽玉のような球体の群れは、この第四槐安通路という名称であるらしい謎めいた空間のあちこちに、まだ大量に浮かんでる。浮遊しているだけでなく、渦巻くような動きで萃香を襲う。妹紅を襲う。
すらりと長く鋭利な脚を、様々な形に振り回して、妹紅はそれらを蹴り砕いていった。飛び蹴り、前蹴り、回し蹴り、踵落とし。
蹴り砕かれた陰陽玉もどきが、破裂・爆発し、光弾の嵐と化して妹紅を襲う。
かわしもせずに、妹紅はただ羽ばたいた。白銀色の長い髪を舞い上げて広がりはためいた炎の翼が、全ての光弾を焼き払い消滅させていた。
萃香は、手を叩いた。
「さっすがぁ! 私の炎なんかとぁ比べ物にならねえ……おおっと」
酔っ払い、よろめく動きで、萃香はかわした。
艦隊の方角から飛来した、凄まじい光の塊を。
霧雨魔理沙の放つ魔力レーザーを、数十あるいは数百、束ねたような、巨大なる破壊の線条。
線条と言うよりも、それはもはや光の柱であった。
無数のそれらが、超高速で第四槐安通路の空間を切り裂いて襲い来る。
「艦砲射撃です……気を付けて! いくら貴女たちでも」
獏が叫ぶ。
「まともに……直撃を、受けたら……」
「……ああ、蒸発しかねん。霧になってる暇もねえな」
ぐにゃりと空中を泳いで、萃香は光の柱を回避した。
「私でも、すぐには再生出来ない」
妹紅が炎の翼で羽ばたき、光の柱をかわしてゆく。
萃香は泳ぎ、妹紅は飛翔し、月の艦砲射撃をことごとく回避した。
「おいおい……こんなもんブチ込まれたら、幻想郷が6万回くらい滅びるぞ」
にやりと萃香は笑った。
「それでもまあ、生き残る奴はいそうだがな。おめえとかな」
「お前もだよ、大江山の」
妹紅が応え、猛禽のように翔び、光の柱をかわす。
「お前とか私みたいな連中しか生き残ってない! 地獄かよ!」
「……ああ、まったくだな。幻想郷を、そんなんにしちゃいけねえ」
幻想郷を数万回滅ぼすであろう艦砲射撃の発生源を、萃香は見据えた。
広大なる月の艦隊。1隻1隻、潰してゆくしかない。
そう思った瞬間。萃香の小さな身体が、硬直した。
数百年の酔いが、醒めた。萃香は、そう感じた。
無数、走っていた光の柱は、全て消滅していた。艦砲射撃が、止まっていた。
静寂が、第四槐安通路を支配している。
「………………何だ…………?」
静寂の中、妹紅が呟く。その声が震えている。
「……何が、起こった……お前、何かしたのか? おい獏……」
青ざめていた。単身、大江山の四天王に戦いを挑み、臓物を引きずり出されても怯える事すらなかった、藤原妹紅がだ。
「私は……何も……」
言いつつ獏が、呆然と見つめている。
ふわりと空中に佇む、綿月依姫の姿を。
「依姫様……」
呼びかけに、依姫は応えない。
ぼんやり発光する双眸を月の艦隊に向けたまま、軽く、両腕を広げている。掌を上に向けてだ。
『……随分な事、やってくれたわねえ』
依姫の端麗な唇から、依姫の美しい声が発せられるが、それは依姫の言葉ではなかった。
『一夜限りの休戦協定を、引き伸ばすために……夜そのものを引き伸ばす。ねえ、屁理屈?』
上を向いた掌から、ぼおっと光が浮かび上がる。
光弾、とは違うように見える光の塊を2つ、依姫は左右それぞれの手で掲げている。
惑星、に見えた。
『ご存じかしら。屁理屈ってね、力で潰せるのよん♪』
にこりと歪む美貌。それは、やはり依姫の顔面でありながら、依姫の笑顔ではなかった。
その頭上にも、光の惑星が浮かんでいる。
『もちろんねえ、私はそんな事しないけど……あいつは、やるかもね』
何を言っているのか、わからない。
問い質そう、という考えが萃香にはなかった。何も、萃香は考えられなかった。
「…………何だ…………こいつは…………」
何かを考える前に、そんな言葉が漏れてしまう。
わかる事が、1つある。
今の自分は、妹紅と同じくらい……あるいはそれ以上に、怯え青ざめている、という事だ。
惑星を3つ、両手と頭で掲げたまま、依姫は微笑む。
『……あいつ、怒り狂ってるわよん?』
その胸の辺りに、何かが生じた。綺麗な胸の膨らみを包む衣服に、文字が浮かび上がった。
光で書かれた文字。萃香には、読めない。
人妖ことごとく……鬼すらも滅ぼす、死と破滅の呪文であるに違いなかった。
「……何だ……なんだ……おまえ、何なんだよぉ……」
萃香は、涙を流さずに泣いた。涙腺が、恐怖で凍りついている。
妹紅は、声帯すら凍りついているようだった。無言で青ざめ、萃香を抱き締める。鬼の少女の小さな身体に、しがみついて来る。
妹紅と抱き合ったまま、萃香は泣き叫んでいた。
「……なん……なんだ……よぉおおぉ……うぁああ……あああああああ、ひいぃいいいい! ひぎゃああああああああああああ!」
静寂の第四槐安通路に、悲鳴と慟哭が寒々と響き渡った。
艦橋の窓が、砕け散った。
光球が、飛び込んで来た。遥か遠方で投擲された、大型光弾。
流星の如く飛来したそれを、稀神サグメは、左手の人差し指で受け止めた。
たおやかな指先で、大型光弾が燃えくすぶり、消滅してゆく。
「……さすが、月を砕く鬼。穢身探知型機雷で仕留められる相手ではない、か」
艦砲射撃も、ことごとく回避される。
1発も命中する事ないまま、砲撃は止まっていた。
止められた。サグメには、それがわかった。
「何者……」
強大な力が、第四槐安通路に満ちている。
「……依姫様、ですか? 玉兎たちを見殺しになさるのですか……いや、これは」
綿月依姫が、またしても神を拾った。それは間違いない。
「ふむ……なるほど、なかなか強力な神ではある。が、月の都の艦隊に単身で戦いを挑むなど」
全ての艦砲に、封印が施された。
自分・稀神サグメの力をもってすれば、こんなものは即座に解除出来る。
封印の解析に取りかかろうとした、その時。
「…………嫦娥様?」
サグメにしか聞こえない声が、聞こえた。
「はっ……退却、でございますか? その神と、事を構えてはならない……と。承りました。全軍、月の都に即時帰還いたします。いえ、嫦娥様の御下命とあらば」
この場にはいない相手に対して、サグメはしとやかに跪き、頭を垂れた。
「……命拾いをしたな、月を砕く鬼。地上の蓬莱人。それに、得体の知れぬ流れ神よ」
ゆらりと立ち上がり、艦橋の大穴を見据える。
「だが心しておくが良い。お前たちは、嫦娥様の貴き御治世を脅かす者・蓬莱山輝夜に与したのだ。この宇宙に、お前たちの生きる場所はもはや無いと知れ……全軍、撤退」
焚き火の跡がある。小動物の骨が、散らばっている。
伊吹萃香と綿月依姫が、酒盛りをしていた場所。空では相変わらず、綺麗すぎる満月が寒々しく輝いている。
幻想郷に、戻って来ていた。
藤原妹紅は、見回した。獏の姿は見えない。
萃香も依姫も、今や酒盛りどころではなかった。
妹紅にしがみついたまま、萃香は青ざめ震えている。
そして、依姫は。
『月の艦隊はね、退却しました。逃げちゃいました』
にっこりと、微笑んでいる。
『貴女たちが撃退したのよん? なかなか、やるじゃない』
「……………………違う…………」
妹紅は、どうにか声を発した。
声を出して良いのか、と思う。今、目の前にいるのは、自分などが会話の出来る相手なのか。
「…………私たちは何もしていない……お前が……」
『私はただ、居ただけよん』
依姫が、おどけた仕草で両腕を広げた。上を向いた掌から、ぼんやりと光が浮かび上がる。惑星、のようにも見える。
美しい胸元に、不吉で謎めいた文字が浮かぶ。
『うふふ。私ねえ、あいつらが大っ嫌いなの。だから、ちょっと出て来ちゃった。余計な事をして、ごめんね?』
一見、優しい笑顔が、萃香の青ざめた顔を覗き込む。
『泣かせるつもりは、なかったのよん。ね? 仲良くしましょう。おチビちゃん』
「ひっ…………ひゃうぅぅぅうッ、ひっぐぅ!」
悲鳴に合わせて、大量の涙が噴出・飛散した。
萃香の、凍り付いていた涙腺が、今になって解凍された。
「うぁああああああッ、ひぎゃあああああああああ! あっあ、うわぁああああああん!」
涙ではない液体も、大量に飛び散っていた。
萃香は、失禁していた。
「…………泣くな……」
酒臭い小便にまみれながら、妹紅は萃香を抱き締めた。
「……泣くなっ……泣くなよ馬鹿野郎、おい! しっかりしろ大江山の外道丸! お前が、お前ほどの大妖怪が! そんな様でどうするんだぁああっ!」
怒声が嗚咽に変わってゆくのを、妹紅は止められなかった。
「…………私だって……私だってなぁ、恐いんだぞ……恐い……恐いよ…………こわいよぅ……」
『……わかるのねえ、貴女たち』
得体の知れぬ神が、依姫の声で語る。
『そう、それでいいのよ。まずは恐怖に打ちのめされるところから全ては始まる……その恐怖と、戦い続けてご覧なさいな。貴女たちなら、宇宙規模の弾幕使いになれるわ』
両手と頭上に光の惑星を掲げたまま、依姫は足取り優雅に歩み去って行く。
妹紅でも萃香でもない誰かに、語りかけながらだ。
『この子たちに負けていては駄目よ、さあ戦い続けなさい……私の、娘たち』
霧雨魔理沙は、息を呑んだ。
夜空を見上げた。月を、睨んだ。当然、そんな所にいるはずがない。
「どうしたの? 敵の気配でも感じたのかしら」
西行寺幽々子を伴い、迷いの竹林のどこかに降り立ったところである。
そこで魔理沙は、確かに聞いた。
自分に語りかける、何者かの声を。
「私、何も感じなかったわ。いつも敵襲に備えてくれるのは妖夢の役目だったから……ああもう。私って、あの子がいないと何か駄目ね」
「……私もな、お前をさっさとあいつに返品したいぜ」
会話をしつつも、魔理沙は竹林の夜景を見回した。
語りかけてきた何者かは、やはりいない。
「あんた、なのか……?」
自分が思い出さなければならない、とある誰かの事が、まず魔理沙の頭に浮かんだ。
「……いや、違うな。誰だよ、お前は一体……」
「魔理沙の事は、心配していないわ」
アリス・マーガトロイドが、人形と会話をしている。
「あの子の方が私を? さあ、どうかしら。心配してくれていなくても私は平気よ? 嘘。本当は少し悲しいけれど、魔理沙が私を信用してくれている、という事にしておきましょう」
アリスの人形は、自分にとっての半霊のようなものか、と魂魄妖夢は思った。もっとも自分は、半霊を相手に会話はしない。
「…………誰!?」
アリスが、人形ではない相手とも会話を始めた。
「どこ? どこから私に語りかけているの!? ま、まさか……し……んき……さま……? では、ないわね……一体何者! 姿を見せなさい!」
「……貴様、なかなか面白い奴だな」
竹にもたれたまま、妖夢はそんな言葉をかけた。
矢田寺成美は、跳ね起きた。
「あら、おはよう。まだ無理をしない方がいいわよ」
外道破廉恥妖怪・風見幽香が、寝台の傍にいた。おかしな植物が植えられた鉢を、成美の枕元に飾っている。
その植物が、声を発した。
「何だ、目が覚めてしまったのかー。食べようと思ってたのに残念残念」
「しばらくは水と肥料で我慢なさい」
「あの……こんなの枕元に置かないで欲しいんだけど」
成美は言った。
全身に包帯が巻かれている、己の有様にも気付いた。
「……助けてくれたのね、風見幽香。ありがとう。貴女に借りを作るのは恐いけど……それはそれとして今、私に何か話しかけた? 貴女の声で目が覚めたような気がするんだけど」
「夢でも見ていたのね」
幽香が微笑んだ。
「借りだと思うなら、いずれ畑仕事でもしてもらうわ。今はゆっくり、お休みなさい」
「健康な身体に生まれ変わった、わけではないから無理はしないように」
八意永琳は、厳命した。
「貴女の肉体は依然、病弱なままなのよ。健康を取り戻してあげられなくて、本当に申し訳ないと思うけれど」
「充分過ぎるわ」
パチュリー・ノーレッジが、布団の中からよろりと立ち上がる。
「私の命は……貴女のものよ、八意先生。どう使ってくれても構わない。それはそれとして」
寝ていなさい、と永琳が命ずる暇もなくパチュリーは、縁側に向かって跪いていた。
「私には、貴女以外にも……忠誠を尽くさなければならない相手がいる……幻想郷に、いらしたのですね」
たおやか過ぎる魔女の細身が、庭園に、夜景に、月に対して、恭しく拝跪している。そう見えて違う、と永琳は思った。
この場にはいない、軽々しく姿を見せる事のない何者かに、パチュリーは祈りを捧げているのだ。
「私の命は、八意先生のもの……私の魂は、貴女様のもの……この愚かしきパチュリー・ノーレッジを、黒魔術のさらなる深淵へとお導き下さいませ……全宇宙の魔法を司る御方よ、どうか……」