閑話B 6話
==閑話B 6話==
「レノガ、ニニナと別になっちまったけど大丈夫かな?」
「心配しすぎだ、カノン」
「そうよ、ニニナちゃんもここから進めるわよ」
俺たちはある人のおかげで暗く辛い地下から出てくることが出来た
元々としては獣人の入国が禁止されている国に不正入国したことが原因だ
ここにもいるがニニナによって捕まり地下に来たやつもいるに入る
当然捕まえずに逃がせば
なんて言っていた奴もいる
まぁ初日が過ぎればそれを言う奴はいなくなる
ニニナが誰よりも辛い目に会っているから
基本的にニニナに課せられている労働は初日入りたての奴の三倍、それプラス途中で不正入国者が見つかればニニナは連れていかれ終わると戻ってくる
ボロボロで戻ってくることもあれば無傷の時もあるが決まって戻ってきてから休むことも止まることもせずに労働を再開させる
無傷の時でも偶にその日に課せられている労働が終わらない時がある
ボロボロだとほぼ確実に間に合わない
間に合わないとどうなるか
俺たちの前でボコボコに殴られ言葉で責められる
最後に力を奪って回復できないようにしてから独牢に入れられる
僅かに息をしているのが見えるだけでボロ雑巾のようにされる
そういう日にはニニナは寝ていないと思う
初めて見た時から暗く冷たい目をしていて
最初は自分は幽霊でも見てるんじゃないかと思った
でも違った
言葉を発し始めると死んだような目の中にこちらに謝るような怖がるような目を向けてきた
自分を捕まえに来たのはわかっていた
それでもその目を見たら自分の身より自分より小さな少女の絶望を軽くしてあげたかった
分かっているには分かっている
自分にそんな力なんてないし何も出来ない
それでも、と彼女に抱きしめた
否定されて変態呼ばわりでもなんて馬鹿なことも考えたが
彼女の行動はやはりな感じだった
泣いていた
静かな涙で俺の背中を引っ張るように抱き締め返してくれた
他人の温度を初めて知ったような反応で傍になんて考えていたが
地下に行きこの現状を見ても何も出来ない
俺自身が毎日毎日限界に近い量の仕事をしている
せめて傍に
それしか出来なかった
地下に行き先輩としてレノガに会った
かなり前から生き抜いているという変な人だが俺と同じくニニナのことは気にしていた
が、ニニナに変に関わりニニナに罰が行くことを恐れ何も出来ないと言っていた
俺とレノガで協力し監視が緩くなったりするように誘導したり
脱獄も起きないようにすることで俺たちを『見る価値もない』そんなんな存在にした
俺たちの価値も下げることになるしクズの理想のような状況かもしれない
せめてもとして
奴らに殴られる口実も作らない生活を努力した
そんな日々で新しい変化だった
獣人しか来ないこの地下に人間が来た
監視でもない
見れば分かる苦しむように声を出しているから
演技では無いだろう
見たことがある
クズのスキルにやられた後なんだろう
まぁニニナの安全の為に変に脱獄なんてさせない
そんなことを思っていたが結果は全く違うものになった
アイツの真っ向から楯突くし突然魔力を放出して自分がより苦しむ道に行っている
変に運が無いような部分もある気がするが……
何より変に目に付いた
地下にいてボロボロなのに何故か気になる
独牢にボロボロの状態で入れられ何もさせない扱いを受けている
その日の労働の最中はその男のことが気になりながら動いた
ゴタゴタがあったあとその男の仲間と変な少女が来て協力したあと俺たちは全員で青の下にいた
ニニナの笑顔、みんなの笑顔、青い空の凄さ
暗く岩と土しかない無機質な空間から俺は負の感情エネルギーばかりを受け取っていたのかもしれない
変化ではなく安定を求めた変化しかしてこなかった
俺が間違ってるとか合ってるとかじゃなくてどちらも必要なのかもしれないが
あの娘の笑顔を見れた
彼には感謝しかない
昔から人は敵
そんな風に教えられてきたしそう思ってきた
それが全てじゃない
閉じた閉ざした道の先があることを知った
恩を
獣人――いや、俺は忘れない
必ず受けた恩は返す
閑話Bとりあえず一旦終わりです。
次回はもう一話閑話(番外編)を挟んで新章、本編に戻ります(予定)
忙しい日々が続き更新頻度はかなり悪くなっておりますがなるだけ更新できるよう努力します