表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

159/162

閑話B 5話


==閑話B 5話==


 甲高い音が耳に残る中


 ()()()()()()()()()


「おい、さっさと行け!」


 そう言っていつものように蹴られた


 蹴られた勢いで目を瞑ると


 目の前にボロボロの服を着た男の人がいた


 特徴はそれだけでなく頭からフサフサな耳が出ている


 獣人だ


 この街に獣人は入れない規則、つまり不正入国者


 私も獣人だけど私は連れてこられて繋げられているから不正じゃない


「ひっ!」


 私を見た時は安心したような顔、その後私の首を見て驚きと怯えが混ざった顔になった


「不正入国者は連行……です」

「まっ、待ってくれ! 俺には妻と子が2人いる、君もわかるだろ? この周辺じゃ金が、食べ物が少ないんだよ! 頼む、逃がしてくれ!」


 焦るように言葉を繋げて言ってくる


 何度目だろう……


 私が会う獣人は会う度に同じことを言ってくる


 この首を見て察して欲しい


 私に自由はない(見逃すことができない)、と


 腕に力を入れる


 あげる腕が変形する


 変形した自分の手を見て


 ああ、これは私の手じゃない


 そう思いながら


 そう願いながら


 目の前のお兄さんを殴る


 動けなくなるまで



 これをしているとよく反抗してくる人がいる


 それでも私も攻撃をくらう、でも目の前から逃がせば私がボロボロされる


 わかってる


 私は私が可愛くて大切と教えられた同族を狩っている


 それでも初めてここに来た日のことを思い出すだけで汗が止まらない


 血が冷たく感じる


 私は…………………



 そんなことを思っているとまた場面(景色)が変わった


 今回は少しの時差もない


 すぐに分かる


 私が同じ奴隷になったカノンと会ったところだ


 カノンとは私の捕獲対象として対峙した


 でも戦闘とかにはなっていない


 会ってすぐにカノンは私を抱きしめて


「落ち着け」


 と言ってくれた


 特に良いことを言っているわけじゃないと思うかもしれない


 でも違った。私にその言葉をかけてくれるというのが違うんだ


 嬉しくて嬉しく……


 あれ……


「テメェなんかに構ったせいで妻と別れた。妻だけじゃねぇ、俺の子どもも俺を待っていた」

「お前みたいなのに構ったせいで」


 後ろからレノガが歩いてきた


「獣人の仲間を人などの命令で捕まえる、痛めつける……我らに馴れ馴れしく話しかけるとは、そんな資格貴様になどないのだ」


 あ……あ、あ、あぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


 や、やめろ


 私の記憶を変えるな!


「私たちを捕まえておいて何幸せを掴もうとしてるの?」

「俺たちの幸せの、生活の上に生きながらえているだけのゴミの分際で」


 い、嫌だ


 み、みんなはそんな事言わない!


「だから言っていたんだ俺は、クズが幸せになることなんて誰も求めてなんか居ないんだよ」

「お前はお前が奪った幸せの分、不幸になっていればいい」

「さあ、簡単なことだ俺の下に来い」


 前からゆっくりと私を奴隷にした男が歩いてくる


「一生使い古してやるよ」


 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ







 諦めて目を逸らしていた


 自分の罪に


 あぁ、わかってる


 獣人(なかま)をアイツの命令で何人も捕まえた


 カノンとレノガが私を認めてくれて見てくれて


 過去がないことにも目を背けて自分の幸せと安全を欲した


 普通じゃなくても今の幸せで満足して目をそらす


 物理的に逃げなくても心が逃げていればそれで良いと


 違うんだ


 今は


 薄暗くて諦めるしかなくて、過去がなくてもそれで良いと思うことしかできない地下で


 直接アイツに攻撃されても曲がらなかった強くて優しい光の様に生きていたお兄ちゃんに


 あの人にもう一度会いたい





 会って横にいたい


 過去が私を殺すなら


 殺せばいい


 所詮殺されるのは私の過去




 私は今が幸せならそれで生きていたい






ニニナ編は一旦ここまで(の予定)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ