33話 森の闘争 終着
==33話 ==
鬼が溶けるとフッと炎が消えた
「驚きだ、君がもう動けるのと……こんなに助けになるとは」
「……やればできるのですよ」
「お疲れ!」
ズダン!
と地面を割る音と共に人が飛んできた
ここに来たときにもあった男だったが感じるものが全然違う、人そのものが違うと感じるほどに別人だ
「虎は出て行ったのか」
「ああ、助かったよここで死んだら恨まれるとこだったからね」
背に人の背ほどの大きさの弓を背負っていたが周りを軽く見た後に手に取って前に構えると上から消えて行った
「このまま終わると思うか?」
「終わって欲しいね、剣聖のとこにそろそろ戻らないとな~」
「……さっきは助かった、あの距離から良く射抜けるな」
「それが取り柄だからね、君こそ良い動きだよね助かった、ここを救ってくれてありがとう。あ、君がヒロト君だね、アイナをここまで運んでくれたみたいだねありがとう、冒険者は自分の命は自分で守るなか助けてくれて嬉しいものだね、一応弟子の命は気に掛けるものだよね。あ、ここに裏切り者がいたよね、口割らせないとな、じゃ、行くね」
めっちゃ喋るな……
「めっちゃしゃべるやん」
あ、同じ事思ってる
「なぁ、虚龍って――」
「人間共! まだ、まだ終わってないぞ!」
ここにいる人達には確実に伝わるであろう声の大きさで話す猿がいた
人の背の半分ほどの大きさだが異様に存在感を感じた
「まだ出てくるか」
「ッ! ここで森八王ッ!?」
森八王?
「ヒロ、まだ動けるか? いや、動け、奥に二体、先頭はここにいる人達に、奥の二体は俺らで」
「分かった」
動こうすると猿は後ろを向き流れるように謳うように
「我が魂、友なる魂、我も友も上の供物なり、存在感慨極まれる――」
突然気持ち悪さが場を制した
目の前の猿からでは無い
目の前の猿も気持ち悪さを感じているのか口を開けた状態で止まっている
周りは猿の声で多くの人が声を潜めたが苦しみうめく声は残っていたが今ではその声が出ていない
猿の詠唱で猿自身と俺の視覚で捉えていた後ろの魔物に赤黒い痣が浮かんでいたが痣が引き始めている
問題の気持ち悪さ――自分が集中しているときに自分の周りで喋り続けている人を見るときのような、黒板を爪で引っ掻いた音のようなコーヒーカップで高速回転をし過ぎたときのような――
それは周りの反応通り自分のものだけでないみたいだ
ただ感じるのは気持ち悪さだけで無い
ひたすらの恐怖も感じる
持っているものを――手の中にある、届くものが指の間から抜けていくか感覚
「なにが……」
気づかないうちに玉のような汗が顔についていた
どうも。ロキュです。
森の闘争はこれでおしまい
残念なことに前振りからの空振りフルスイングでいかしました
ついでにこの章も本編の方は一区切り予定です、次は視点が違う閑話を投下予定です。
ラバンはα、次はBですね
そろそろ設定が出尽くしてきたはず話がまとまるようにしていくつもりです。
出てないのは土地関係くらいかな……?
この物語の続きが気になる、この物語が面白いと思って頂ければ是非ブックマークと評価、感想をくださいよろしくお願いします。
ではでは。