32話 森の闘争
==32話 森の闘争==
「起きたか」
意識が戻ると待っていたかのようにすぐに声をかけられた
「ッ! ロード……様」
「様は別にいらない」
「……驚きだ、貴方は最前線に行っていると思ってた」
そう言うと少し苦そうな顔をして笑っていた
「そうしたいのは山々なんだがな……ここに……いないといけない理由が、あるんでな」
そう言うと窓の外に視線をずらして表情が読みづらくなってしまった
「アイナさんは?」
「生きてる、まだ解毒が終わらないが死んだりはしないよ」
「そうですか。戦いは終わりましたか?」
「まだ、魔物が今魔物を足止めしてくれている……もう溢れそうなんだよ」
ピリピリした雰囲気……
「出る」
「……いいのか? まだ痛むだろ」
「……ここにいても死ぬなら動いて死ぬ」
そう言って部屋を後にした
◇◇◇◇◇
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあああああああ!!!!」
クソがッ!
狂気状態になってから動きが、攻撃の威力が上がっている
「炎砲ッ!」
「ぅぅはっ!!」
鋭い息で炎をかき消される
もっと威力を練る時間があれば超えれるが弓の攻撃で時間を作ることなどできない
もう一人ッ! ラニ!
早く来い!
「がぁぁあああ!!!」
刀を振り上げる
前は避ければそれで良かった、むしろ隙ができ攻撃の絶好のタイミングだったが
今は刀を振ることで斬擊が飛ぶ、地面に辺り石礫が飛んでくる、攻撃のあとの停止時間がほぼ無い
攻撃がなめらかに繋がり厄介極まりない
この一帯消し飛ばして良いならば簡単なのに
そう思いながら避けようとすると自分の横を走り抜ける影が見えた
「ん!?」
「銀月流 壱之型・三日月!」
◇◇◇◇◇
「雷樹原」
「ワレロッ」
辺りの木に火がつく、思わずむせるような魔素が周りに散る
慣れない状態でこれを吸えばそこに倒れたかも知れない
だがもうこれは何度も行ったこと、起きたこと
吸ってしまうのはしょうが無い事だ、吸っても体に害が出ないように体の中の魔素を使って消費、もしくは吐き出して倒れない対策をする
クソ……集中力が落ちてきた……
「フむ、オワろう」
禍々しい魔力を出していた幽霊が急に空で止まり魔力を霧散させた
「どういうつもりだ?」
「どうも、こうも無い。貴殿も分かっているはずだろ? 己がイドラを解しているのだ何もできなくなる、と」
「……理由は?」
「主を担う者が己の友を、部下を、仲間を、家族に刃を向けていたが今それを己の友と部下が刃を弾いた」
「つまり戦う意味理由が無くなったと?」
「そうだ」
そう言うと周りに散乱した木の枝を自分の周りに集め始めた
「これは……何をしている」
「ん? 自然保護と後片付けだ、この地は木が無限が如く生えうるが折れた木はそのままなり片付けるのは当然であろう?」
こいつ……本当に魔物ですか?
「貴殿も手伝え己も帰りたいからな、エネルギーが必要だ」
「お前……すげーな、さっきまで殺し合いしてたのにそれ頼む?」
「……うん」
「……」
……え? マジ顔……頼めばやってくれると?
「だめか?」
「……魔王種、王を名乗る魔物に俺が手を貸すとでも?」
「……」
「王を名乗る、名乗れるだけの魔物を一体倒せば何十人もの人を救える。分かるだろ」
「人も、魔物もそれは変わらぬな……己には分かる、貴殿は手伝ってくれると」
「……誰が手伝うか、最後にお前に一撃を入れてやるだけだ」
「はは、貸しは返す」
そう言うと奴の少ない頬肉が上に動いた
「知らん! 磊磊紫轟」
赤い雷と蒼い雷を無理矢理混ぜた雷
雷とは思えないほどの速度、通常ならば当たることの無いほど遅い攻撃だが威力と込めた魔力は落雷蒼火の二倍程になる
幽霊……じゃなくて幽魔か、は雷を当然の様に曲げ雷としての性質を変化させエネルギー単体にしていき幽魔の前に歪な形の穴が開いた
穴の中にスッと入っていき数秒後に穴が消え元の静まった世界に戻った
「次だな」
雷を纏い強い魔力を感じる場所に走り向かおうとした瞬間天と地が逆さになった
◇◇◇◇◇
「銀月流 壱之型・三日月!」
角の生えた魔物が刀を持って振り下ろそうとしていたところを割り込んだ
合ってるのか知らないけど結局一体一体倒していくしか無いんだし良いよね
「お前……」
「何人もまだいるみたいだな敵」
「……動けるのか?」
「動く」
「がぁ?」
口が少し上がった?
一歩下がって刀を回転させる、二之型
「うお!?」
口を大きく開けたと思ったらなんか飛んできたら爆発した
月障転蓋使っていなかったら危なかった~
なんか口の中に肌色……なんかの肉?
普通にキモいな!
「……時間稼げ」
「おっと? 突然の上から?」
「……」
はい無視かい!
まぁ良いけど
「うぅぅううううがぁぁああああ!」
角が光って
空が泣くような音がすると角に攻撃が当たっていた
「うお?」
「あ、後ろに弓師がいる、精度すごいぞ」
「早く言ってそれ」
角が上に向き光が上に放射された
「ぐぅぅぅううう……」
「足止めはちゃんと……しないとねッ。銀月流 肆之型・繊月凶鳴」
体を切りつけダメージを溜めていくが関係ないように刀を振り上げてきた
後ろに跳び下がりながら捌之型
斬擊同士がぶつかり地面が軽く割れた
すぐに接近し壱之型と振り下ろそうとする刀がぶつかりあった
頭先を手で持ち両手でガードをするがピキピキと刀から高い音が鳴り始めた
「まだか!?」
「避けろ」
その言葉ですぐに横に転がり避けると
猛烈なまでの熱を感じた
「虚赫龍動砲」
見ると軽い感じで無く粘質物がドロッと飛んで行く感じだった
「ぐぎゃぁあぁああああああぁぁぁぁぁぁぁ……」
段々と叫び声が消えていった
――――――――――――――――――――――――――――――――
我が僕を――――
なぜだ――――
人め……
管理主は関わるべからずと唱える
なぜこちらが奪われたままで終わらねばならぬ
終わらぬ、貴様ら人間を許すことはできぬ
終わらぬ
終わらぬ
我が身も他王の身も関係ない
終わらぬ、終わらぬ
我が身に余るが致し方なし
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ではでは。