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31話 土虎


 ==31話 土虎==


 目が覚めた……いや意識だけが起きたと言えるのか


 体の感覚が無い、目が開いているという感覚も無い


 どことも知れぬ開けた岩場にいた


「やぁ……」


 後ろから不意に声をかけられかなりビックリした


「……僕の名前を言っていなかったのね。改めて、僕の名はアルウィル・オーナ・ドュート」


 声がする方に意識を向けると姿を見ることができた


 見れば目を釘付けにしてしまう程の存在感を持つ白い虎がいた


 見続けていると感じるものがイドネスと似ている事に気がつく


 ああ、ここに来たときにいた男の中にいた奴か


「君との話は落ち着いて話したかったのね。というか驚いたのね不運の主上が護を託すとはね、おかげで今大惨事ね」


 そう言うと苦笑いをしていた


「まぁこれでもかと過保護にしてるとは面白いけどね」


 石が浮かびクルクルと回り出した


「話をしないとね、君には起きて貰わないといけないんだしね」


 そう言うと一声として耳朶を軽く鳴らす咆吼を上げた


 キチキチキチと甲高い音が響きながら地面がせり上がり形作られていく


「今の戦況を見せるよ、この外周部にはこの森の上位者八対頭首と呼ばれる八王の内、三王が魔物達が外に出ないように見守ってくれている、二王は静観、三王は暴れるつもりだろうね」


 不味い状態……さっき大惨事と言っていたと言うことはこのことが……俺の不運の加護のせいか?


「まぁ十中八九加護のせいだよ、まぁだから君には起きて貰ってこの事態を止めて貰うけどもね」


 ……心読まれてる?


「心読んでるのね、と言ってもここは僕の創った空間だからね」


 そういうものか


「この状況からの成功……回避できたと言えるのは三王を殺す、または退け戦意をなくさせること」


 ん? 俺の記憶がなくなってなければこの戦いってキモ男との敵対じゃ……


「あ、そうか、そこから記憶が無いのか、順を追わないといけないのね」


 そう言うと形作られた森の模型がグルっと周り一箇所を指した


「君たちが戦っていたのはここ、ここにて侵入者と対峙し先の侵入者を排除、君の手柄ねおめでと」


 また少し回転して


「ここは雷の申し子と幽魔が戦っている場所、ここはもう終わる、互いに決着はつかないままね」


 つかないのに終わるの?


「終わるよ、幽魔にとって戦う意味は仲間の為、でも元凶の男は君がライラックの街に来る際に乗っていた魔物が追い返した、これであの人間が幽魔に関わるのに最初から手順を踏まねばならないようになった、つまり仲間の解放、直に終わる」


 また回転し


「ここにて老守が戦っている、ここにはまだ魔物が押し寄せているね」


 次に回転すると見覚えのある建物があるライラックの街を縮した場所が見せられた


「ここはライラック、君が倒れた後男は古人(ふるびと)の遺産を使って違う土地に移動した。厄介ねあの遺産」


 古人の遺産? もしかしてオーパーツか?


「ああ、そう言っていたよ」


 あの敵は何なんだ?


「主上……人の言い方では神、神はこの世を作った、その後安定させるために管理してくださった。君は世界が幾枚にも連なっていると思ったことは無いか?」


 連なっている?


「主上がこの世を作った、ならば主上の力を持つ者がこの世の外に違う主上にて世が作られているのでは無いかということね」


 神が何人もいると言うことか


「その認識で合っているのね。なぜこのように思うかと言うと主上を生むのもまた主上という事からだね」


 神って神から生まれる……まぁぽんと生まれるのは怖いか


「そしてこの世を攻めうる主上もいるということになるのね」


 ……攻める? 理由が無いだろ?


「理由など分からないねでも攻める、危機は来る……ああ、おしゃべりの時間は終わりみたいね」


 ん?


「君がどんな選択肢をとろうがとらまいがもう世界は動いている止められない我々も駆り出されるのか分からないもうこの先は誰にも分からない。分からないことが続く先如何なる者でも他を責め自己を埋めようとする、責任なんて誰もが持つべき物なのに他の一人にのみ任せ自己を守る。前に出れば責められ傷つけられる。君が止まること無く進み続ける強さを持っていると信じるね。次は現実で」


 そう言いたいことだけ言うように言うとスッと景色が滲み透明になっていき暗い世界に落ちて行った



 ◇◇◇◇◇



 人間(ヒロト)を見送った虎は自分の作り出した模型(もり)を見て思考を巡らしていた


 不意に視界の中に映るはずの無いものが映った


 ここは自分で作り上げた一つの精神空間、完璧に作り上げたわけでも無く一時的に人間と対話をするべく作った物特に外からの侵入が成されないよう作り上げた空間でもある


 驚きをしたがすぐに驚くのを止めた


 なぜならばそれができて当然の相手だったから


 ひらひらと空気が流れる事は無いのにかかわらず風に流されるのを楽しむように舞う蝶が視界に捉えている


 数秒ほど自分の視界の中で動いた後、突然自分で作り上げた模型(もり)の形が代わり一本の枯れた木に変わった


「やぁ。元気かい?」


 蝶はゆったりと羽を動かしている


 もちろんこの声は自分のものでなく相手――目の前の蝶が自分に話しかけてきた言葉だ


「今自分で作った物を完璧に違う物に変えられてショックなこと以外では元気です」

「ハハ、皮肉~」


 フワッという感覚に陥ると目の前の蝶の大きさが人間の拳大から人の背と同じ位へ変化した


 フワッと、変化、この場所で、この場所だからこそ行える技


 目の前の蝶は自分よりも高位となる同職


 世界樹の守人。


 精神の番人


 目の前の蝶にその意思があれば自分でも内側から壊される


 実体が無いモノを操る


「ビビるなよ。今日は報告しに来ただけさ」

「何の……報告ですか?」

「君の考えてることは分かるよ僕が消えればこの世界に大きな影響が出るが人間共にはそんなこと理解できずに魔物として敵対してしまう可能性がある、少しでもそんなリスクを負うなんて。だろ?」

「……」

「簡単な話だよ、この状況に僕が出張ってでも話しておくべき事だから」

「……」

「実はね――――」



どうも。ロキュです。


色々と次の部分で悩んで更新が遅れてしまいました。

まぁ、なるようになると割り切って頑張ります


この物語の続きが気になる、この物語が面白いと思って頂ければ是非ブックマークと評価、感想をくださいよろしくお願いします。


ではでは。

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