29話 森の闘争 逃亡
==29話 森の闘争 逃亡==
「「「きゃーーーーーーーーーーーー!」」」
先の方から悲鳴が聞こえた
「クソが! 街に入りやがったのか!」
「もっと速度は!」
「出せるが……お前もう力入ってないだろ」
「……確かに」
識と精霊の力を使って使用時間いっぱいまで使った後指に力が入らない
「このままじゃその女を助けてくれる医者がいなくなるな」
「んぐ……」
「このまま行くしかない……振り落とされないことだけを考えてろ」
そう言うがさっきよりほんの少し速くなった
◇◇◇◇◇
「止めろーーー!」
「クソが、スキルが発動しない!」
「攻撃が効かないぞ何なんだあいつ!」
「クフ、さすがにここに住む人間です。良い生け贄になりそうですね!」
周りを囲む冒険者達が法術を唱え攻撃をしようとしていたのが暴発し冒険者が冒険者を巻き込み連鎖して吹き飛んでいく
「クソ! 法術も魔法も無駄だ! 物理で叩け!」
「諦めるな! 俺達がこの街を守るんだ!」
「クフフ、クフフフフフ! アヒャヒャ!」
斬りに来る者殴りに来る者そのどれも逃げない避けないただ狂ったように笑い立つ
「クソがぁぁぁあああ!」
「あたしにだけ攻撃なんて……不公平ね!」
特に殴られたわけでもないのに攻撃をしていた冒険者達がぶん殴られたようにボロボロになる
まるで自分の攻撃をそのまま返されたように
「……もう少しね、フフ、最初にここに来てから回収に行けば良かったかしら、まぁその場合あの子あいつらに殺されてたわね」
動き出そうとした男が急にまた止まった
「ちっ! 速いな……」
「人間が人間を襲うか」
「別にあたしの自由じゃない」
「……でもま、もう無理ね……ここまでだわ」
「なに?」
「あたし、自分の命をここで終わらせるわけにはいかないのよ」
そういうと小さな指輪を前に突き出した
石座の部分に浮かんだ状態のリングがある
「なんだそれ」
「out-of-place artifacts」
「……」
「オーパーツを持っているのか」
レポラルにもあったが、ここにも持っている人間が
「ヒロト、降りてくれ」
「あ、ああ」
俺は転がり落ちるように降りた
「聞き覚えがあるような気がするがそんなもの意味があるとでも――」
「開け」
そう言うと指輪についていたリングが周りながら広がり俺達と男の間に浮かんでいる
「ッ! 逃がすか! 虚龍之炎砲!」
街の中から森側に向かって放つ形に鉄紺色の炎が広がり放たれた
炎が通った後は焦げくっきりとどこを通ったかが分かる
だが男の姿も姿と思える形すらも残っていなかった
「逃がしたか……」
「……先にアイナさんを治さないと……」
「医者を呼んでこよう」
「あ……たの、む」
「ん、おい? ……いやまぁ、大丈夫か」
俺は体がなくなりそのまま意識を手放した
「これは……負けだな、これからどうなることやら……さっきの言葉をどこかで聞いた気がするんだけど……思い出せないな……ん?」
自分が焼いた後を見ると道の中心の宙にもごもごと肉が動いている
ぐっと小さくなると魔力の高まりを感じた
「祖核ッ! 不味い!」
膨張するとそこから魔物が一体出てきた
「あれは! お前ら立て! まだ終わってないぞ!」
「あ、あれは鬼ッ!」
額の中心に一本の角だらりと下ろす手に握られているのは刀口を閉じても出てしまう牙
ふらりと腕を振り上げる
「虚龍之炎盾!」
腕を振り半円に地面からでる魔素を燃やす炎の壁を作るが……
「疾ッ!」
鋭く吐く呼吸音で降られた斬擊は易々と破り街を両断した
「ぎゃあぁあああああ!」「貴方!」「あ、あ、あ……」
悲鳴、血が吹き出る音、後ろを見れば地獄絵図が広がっていることだろう
俺自身も腕を斬られたが俺はすぐに再生できる
く……祖核はどこに……これ以上、または同等のが来るとマジで死ぬ
「ん?」
鬼が突然口を開けた状態で止まった?
咆吼? いや……ッ!
口の中にさっきの肉の塊がいた
「バカじゃねぇの! そこはキツい!」
今度は一体でなく一帯だ
赤く点滅する腹をもつ蜻蛉
「あ……脅威度Aの……爆破蜻蛉!?」
「おい、待てよ! 今回の祖核はこんな強い個体は出せない奴なんじゃ!」
「撃て! 遠距離出せる奴出せぇえ! この距離で一匹でも撃て!」
連鎖したらここら一帯が消えるだろ! って強い個体が出ない……だと?
「そういうことか……あのキモ男の置き土産ってことね!」
さっきの声の人間は今回の敵の一味だ、目的はここの人間の命!
攻撃の命令をしている奴の下に行きぶん殴り自分の腕をスライムに変え口を塞ぎ脚と手をつなげた状態で固める
「おい! コイツも魔物ッ! 敵――」
「なわけねぇだろ! まともな思考をしろ! ここであの蜻蛉一匹でも吹き飛ばせば俺らも吹き飛ぶに決まってんだろ自分で攻撃を考えろ!」
「あ……」
「おい! 後ろ!」
「知ってるわ!」
回し蹴りで鬼の顔を狙い蹴り飛ばす
重ッ!
「蜻蛉の味はどんなだろうな」
両腕をスライム状態にし、一気に全体を喰らうと同時に爆発した
「ぐ……」
「なんだあいつ……」
「どんな魔物だよ……」
やべー思ったより美味い
「疾ッ!」
「人が後味楽しんでのに邪魔すんな!」
喰った蜻蛉の特性をすぐに使う
腕をスライム化して斬らせ刀にスライムを付着、もともとスライムに爆破蜻蛉の爆破特性を付与し自分は下がり
爆破!
「ぐがぁあ!?」
「結構威力あんな……」
刀と脚を爆破することができたが……
爆発させた部分がもごもごと動くと次の瞬間脚と刀が生えてきた
「ぐるぅぅぅぅう゛う゛う゛う゛う゛う゛」
「ロックオンか……人間共ヒロトと女を連れて医者の下に女は毒にかかってる、あとコイツも」
腕から自分の中に取り入れていた兎を出した
「うわ!」「どんな仕組みで……」「う、兎……の魔物?」
「コイツにニンジンと魔力水ぶっかけて起こしてきて。コイツの力が必要になるかも」
そう言ったあとは後ろを見ないで鬼にのみ意識を集中した
ラニの好物はうどんです。(きつねうどん(ラバンお手製))
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ではでは。