20話 扉の先の景色
==20話 扉の先の景色==
「と、まぁこんな感じ」
「……その景色って」
「あの後調べたよ、その場のことを『真理』と言うらしいそして見た塔を『バベル』と言うらしい」
「……俺は使えると?」
「調べたと言ったろ?あの目は外典と言うらしいがそれと対抗しようと思うと勇者の力になる卵持ちが良い俺は探した、だが俺が鍛えれば良いという奴がいなかった。だがお前は吸収し、進化するらしいな。それは俺にとって好都合、さらにお前にはまだ使えてない力があるしな」
え? それってどういう……
「まぁ始めよう……俺は雷之王というスキルを持っている、それは凡庸性にたけていてかなりの人数がこれの下位互換となるスキルを持つ」
さっき話していたことだよな?
「このスキルでは下のスキルと違って便利なんだよ例えば結界を張ることができるとかな」
ん? なんの話だ?
「今は結界を張っているお前は纏を使っているこの状態は普通だ、結界がなくてもここでは常に纏を使えなければ魔力中毒になる下手すると魔力障害にまでいくが……とりあえず纏を解除しろ」
「は!? いや話の流れおかしくない?」
「死の間際に行ってこい、時間の無さを恨むんだな」
そう言ってミゲルが指を鳴らすと俺の纏を剥がされた
そうそう纏を剥がすことはできない
それをいとも容易く行い………
「うっ! がぁぁぁ……おえーー!」
「死の底にて会ってこいもうひとつの自分に」
◇◇◇◇◇
気持ち悪い……
乗り物に酔った状態に水を飲みすぎプラス口に食べ物入れすぎた状態から体に針をブスブス刺したり抜いたりしている感じだ
今何時間経ったんだ?
あー気持ち悪い……
でもこれ死の間際ってやつか?
王都の地下の方がキツかったような……
「そろそろだな」
そろそろ?
「ッ!う!」
急に体の中心が熱く焼けるような感じになった
逆に手足は冷水につけた時みたいな冷たさ
目はグリグリと内側から押されているような感じ
体がだるくなっていた時からの温度差も相まって俺は地面に伏したまま吐いた
吐いても吐いて変わらない気持ち悪さ
逆に吐いたものが顔に当たっている感覚がウザイ
「あ…が…」
「ふむ魔力中毒が始まったなちなみに今は順調にこの状態になるために結界が張ってあったが……」
指をならならすと体の不快感がこれまで以上になった
「う……だ」
「まぁ頑張れ……あと五分もすれば魔力障害だ」
王都で学んでいた時に知ったことだが魔力障害になると体を動かすことが困難になる
レベルで分かれており
レベル一では手先に痺れ
レベル二では半身が動かなくなる
レベル三では体に黒っぽい模様が現れそこのみ動かなくなる
レベル四ではまともな思考を持つことができず動くこともできずただただゆっくりと確かに死んでいく
と書かれていた
魔力中毒の場合は体に倦怠感や吐き気とあったが
ここまでとは……
「はい、五分!」
身体中にあった不快感が無くなった
ただ動けない
手先が何かに食われたようにゆっくりと水に浸かるように感覚が消えていく
「あ……あぁぁぁぁ」
「……………………」
ヤバい……マジで……
「おい、精霊……良いのか?」
何を……言っているんだ?
『はぁはぁぁぁぁぁああああ』
目の前に小さな子供?
「だ……れ?」
『呼ばれて出るとかダサいからやだったのに……てかあの悪魔何してんの?折角俺がかんだいな心で契約してやったのに』
……いや、マジで誰……ってあれこの声……
『まぁ良いか、そろそろだったわけだしあの悪魔との契約は無理矢理消すとして……』
「あの悪魔ってカイのことか?」
『ん? しゃべれるか? そうだよ、人間で悪魔とも精霊とも契約なんて出来るわけないし』
「い、いらない」
『は?』
「カイとの契約は切らない」
『いや……はぁ? 何言ってんの? このままだと君死ぬよ? 僕これでも大精霊、あの悪魔も高位存在だけど俺の方が優秀だよ?』
「知る……か…カイとの契約は切らない」
『強情? ただのバカ? このままだと君死ぬって言ってんだよ!』
「やるならカイと契約したまま君と契約する」
『上手くいくわけねぇだろ。悪魔と僕達精霊は対局! 混ざれねぇんだよそんなことすれば君が消えるんだよ』
「じゃあそれで」
『はぁ? ふざけんな! 君の死は俺の死なんだよ! 僕がまたこの世に来るのに何年もかかるんだよ! 楽しみ奪うんじゃねぇよ!』
「ここでカイとの契約切ったらカイが消えるだろ? 今あいつはニニナ達を守ってる襲われてるとこで消えれば大問題だ」
『……自分の命を考えてら良いのに……ちっ!』
舌打ちをすると俺に一歩近づいて来た
『僕は君、君は僕。表裏存在、心源存在絶対に戻れよ!』
そういうと魔素が無理矢理入ってきていた時と変わり温かいものが流れ込んで来た
「精霊が来たか……お前も見れると良いな真理を」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
温かいものに包まれた状態が収まると景色が一変した
周りに木が生い茂っていた……いや茂るのを木が木同士で競っているように生えていたのにここには何も生えていない
紅い大地
深い渓谷
黒雲に隠れる黄色い空に緑の雷が轟いている
「これは……これが……真理?」
俺の呟きを拾う存在はいなかったが目の前には天を突くほどの高さの塔があった
入口が開いている……
「バベル……じゃあ……上に……」
ミゲルが言った通りだった巨大な目が覗き込んでいた
身体中に汗が吹き出してきた
「あれが……外典……あれを……呼ぶ?バカなの……か?」
自然と声が上擦った
圧倒的な存在感
ただ見られているだけなのに自分の命が吹き飛ばすことなど簡単だと言っているようだ……
あ……う、後も見ないと……
イドネスの話にあったバベルの反対にある門扉は……
あれ? 閉まって……
そう理解した瞬間景色が森に戻った
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ではでは。