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19話 双雷の過去


==19話 双雷の過去==


「ぶげ!」


 森に入ると投げ飛ばされた


「はぁー、お前大会にいたよな?」

「大会……はい……」

「なりたてか……少し話を聞かせてやる、どうせなんで育てようとするんですかとか思って来そうだからな」

「今ですら思ってますけど?」

「くく、まぁ良いや先に纏をやっておけよ」

「ん?なんで?」

「ここの魔素の濃度が高過ぎて毒になるからだ」


 そう言われよく分からないな……とは思いながら従って纏を使うと双雷は話し始めた


 ◇◇◇◇◇


 俺が冒険者を始めた頃の話だ


 俺が持っていたスキルは結構持っている人が多いものだった


 雷使い


 って言うスキルで神の加護として雷神の加護というのを持っていた


 雷神の加護と雷使いっていう組み合わせはそんなに珍しくなく平凡だった


 当時俺を誘ってくれたパーティがあってそこに入っていた


 そのパーティは元々地元の友達で作ったパーティらしく俺はよそ者ってことになるが皆が俺を仲間はずれになんかしないいい人たちだった


 数年間パーティを組んで元々俺は仲間じゃなかったなんで言うと嘘だろ!って周りから見られるくらいの仲の良さになりパーティランクもBランクまで行った


 ある時リーダーの奴がちょっと上のクエストに行こうって言い出しパーティの皆は最初は慎重な考えでやめとこうと言っていたがリーダーの言葉の熱に負ける形でそのクエストに向かった


 長年登頂されていないダンジョンの十八層に咲いているとされる花と木の実を取りに行くというクエストだ


 このダンジョンはAAランクのパーティが最前線を張っていてそのパーティは他にもいくつかのダンジョンを攻略していて実力も実績もあるパーティでそんなパーティが今いるのは二十五層。俺たちの目的地と七層しか離れておらず正直に言えばかなりの危険度があった


 リーダーもそこはわかっておりしっかりと慎重にダンジョンの情報を集めマップも購入した


 準備万端で臨んだおかげか順調に進めた


 十層で危ない場面もあったが緊張感を持ち進むことで目的の十八層に着いた


 そこは一面に砂が広がっていた


 砂漠というのを初めて見た俺たちはこの広さに感動さえした


 目的の木の実を獲得し次は花だ!ってなった時に悪夢は起きた


「中々怖いとこだが水魔法の浄水魔法陣を買っていたから暑さも気にならんな」

「アム、お前調子に乗んなよ、俺たちはまだ危ねぇ橋の上だぜ?なぁ?ミゲル」

「まぁそうだよね、何があるか分からない。それがダンジョンだし」

「ミデルは心配しすぎだって」

「出たよアムのお気楽発言」


 俺に話を振ってくれたのはナナミチ、リーダーはアムだが頭脳的なことが苦手なアムを支えることが多いからサブリーダーとしての役割をすることが多い


「でもアム、ナナとミケの言うこともあってるよ」

「む、テナに言われるとな~」


 このパーティで唯一の女子で俺たちが拠点にしている街では女性冒険者一位を誇っていてアムもテナの言うことは聞く


 俺たち男勢の話も聞いて欲しいとこだ


「ははは、アムはいつも通りだねテナにアムが怒られて終わる」

「うっせ!ジシェ」


 ジシェはいつも一歩下がって俺たちを見ているけどからかう隙を見つけると必ずからかってくる


「おい静かにしろ、もうすぐあるはずだからな」

「「はーい!ナナミチ先生!」」

「誰が先生じゃい!」


 いつもの感じだ


 こんな明るさを持って進むこのパーティが俺は普通に好きだった


 この時俺はスキルが進化して雷術士というものになっていた


 火・水・土・風・雷系統のスキルはエレメントスキルと言われ最も多いスキル


 正統な進化をすると雷術士というものになる、まだ上はあるが中々条件をクリアできない


 声を、気配を、消し目的のものを採取することができ皆でこの感動を共有したいがここでは危険すぎるためそれを堪えて下の階に移動した


 安全とも言える八層まで降りてから俺たちはこの感動を共有するようにはしゃいだ


 それが大きな間違いだったのかもしれない……


「マジで行けるとは思ってなかったわ!」

「アムお前それはヤバいわ!」

「ふふ、ここまで神経すり減らすのはもう暫くいいわ〜」

「珍しいねテナがそこまで言うの」

「実際にそうじゃないジシェは違うの?」

「まぁ僕も暫くは良いや」

「でしょ!」

「アムさっさと帰るぞ」

「おう!いや~中々心に来るクエスト文だったから選んだけどここまで怖いとはな」

「どういう文だったの?」

「ああ、これな万能毒消しの材料なんだってさ、クエストを出した人の父親が毒になっていて普通の毒消しが効かないらしくて唯一の希望でそれを作りたいけど費用が足りなくて材料と作るって過程を分ければできるかもってな」

「要するに冒険者にとってはハイリスクでローリターンか……」

「そ!でも俺たち元々こういう人を助けたくて冒険者になったし良いかと思ってね」

「アム……久しぶりに男前ね!」

「久しぶりかよ!」


 この言葉のあと皆で笑い


 ひと休憩の後に降りるかと話した瞬間俺たちは殺気を感じた


「ッ!」

「や……ばい……」


 まだ遠く、それはわかるがそれ以上にヤバいのはその距離からも下手に動けば死ぬかもって思わされたことだ


「……このままでは死ぬ、一斉に別れる被るなよ」


 アムが声を最大限に落とし顔は今までとは比にならないほど緊張が現れていた


「「「「……了解」」」」


 一呼吸おき


 アムが散開の合図を出そうとした瞬間俺たちに向けて来ていたさっきが弱まったというか無くなった


 驚き全員で後ろを見ると獣を狩り落とす存在が見えた


 俺たちは倒された魔物に目がいき倒してくれた存在を注視しなかった


 ()()()()()()()()()ことに安心してしまっていた


 ゆっくりと緊張を解き倒してくれた人にお礼をしようとしていた時何かが飛んできた


 ふと横を見るとアムが半身だけになっていた


「ッ!?な!魔族ッ!」

「やは――!キャーーーーー」


 すぐにテナが捕まった


「て、テナを――わっがっ!」


 無表情でジシェもつかみ両手を使っている


「ねぇ?」

「な、なんだ」

「今から質問する、答えろ」


 なんだ……こいつ


 応答はナナミチがしているが目はこっちを見ているが実際にはこっちを見ていない気がする……


「両手のこいつらとそこの人間。どっちかを生かして逃がしてやる。もちろん君も、ただ逃がした後に僕を攻撃したら殺す」


 な……なにを


「ふ、ふざけ――」

「安心しなよ、ふざけてないよ。さあ


 どっちを殺す?どっちを生かす?」


 あぁぁぁぁ


 無理だ……俺はあとから来た人間だ


 元々の友達を裏切るとは思えない……


「…………………ごめん、ミデル」

「ッ!ま、魔族!俺に選択肢はないのかよ!」

「ん?あるよ~今ここでそいつ殺せば助けてやるよ」


 こいつ……ナナミチを……


「ッ! すまん! ミゲル! 土縛!」

「なっ! ナナミチ!?」

「魔族! これでいいはずだ二人を離せ!」

「ナナミチ!? ナナ……おい!」

「あは! これぞ人間ッ! うん、約束だもんね離すよ。ホイ」


 二人は意識を失っているっぽいが二人を抱え離れていく


 あぁぁぁぁ……こんなものなんだな……


 まぁ多くの命が助かるを選ぶよね………………


「あは! ギャハハハハ! あー最高の顔ッ!」


 キモイ……ウザイ……


 そう思い絶望を見た気がする


 そんな時、そんなことを考えた瞬間か見える景色が変わった


 無機質なタイルが張られていた回廊の空間から土がある空間いや景色そのものが変わった


 紅い大地


 深い渓谷 

 黒雲に隠れる黄色い空


 今もなり落ちる雷


 そして目の前には果てしない高さの白塔がある


 入口となる扉は開け放たれているが俺は動けない……


 目だけが自由に動く


 塔を見あげるために上を見ると身体中に冷や汗が吹き出した


 目だ


 大きな目がこっちを見ている


 あの目に俺は反射していないのが見えるつまり俺を見ることはできていないだがそんなものは関係ない


 あれはあってはいけない


 あれはこの世界に入ってきてはいけないもの


 それを本能が伝えてくる


『そう、あれの侵入を防がねばならない』


 だ、誰だ?


『私は雷神、雷を持つ者よ、君の力が必要だ……絶望の先に雷神の加護を』


 その言葉を最後に景色が戻った


 いや、全く戻った訳じゃない魔族が俺に向かって手刀を繰り出そうとしている


「ぎゃは!」

「あぁぁぁぁぁあああ!」

「なっ!?」


 ただ思いっきり最後の力のつもりで放電をすると今までとは比にならない威力の雷が出た


 放電が収まると目の前の魔族は消し炭になり回廊全体が帯電していた


「はぁはぁあぁぁぁぁぁあああ!」


 仲間を失った


 仲間と思っていたのに……


 またあって元通りなんて無理


「なんだよ……あの目は……」


 ただただ怖かった


 今の力を出せたのは雷神が力を与えてくれたから


 それは逃げずにあれと戦えということ


 出せた力では圧倒的に足りない、それはわかる


 まだこの力の先があるのはわかるが……


 ひたすらに怖い……


 そうだ仲間を作って……いや、無理だ今その仲間に裏切られた仲間というものは信用に足りない


 圧倒的な力の前で信用のない奴と組んだところで邪魔なだけ……


 ならばどうする?


 いや


 分かっている


「強い奴と戦って俺を鍛えればいい」


 そのために今を捨てる


 そして高みに至る時に使える奴を自分で鍛えればいい!


 そいつなら信じられるかもしれない



この物語の続きが気になる、この物語が面白いと思って頂ければ是非ブックマークと評価、感想をくださいよろしくお願いします。


ではでは。

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