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18話 逃げる者


 ==18話 逃げる者==


 はぁはぁはぁ


 ずっと追って来やがる……


「――回り込んで」

「――分かったわ……よ!」


 くっ……これだ、クソほど追ってくるだけならいいのだが何分かに一回このクソがとんできやがる


「――ットパンチ!」


 ギリギリで躱す、いやむしろギリギリで避けられる程度の速度で殴ってきてるのか?


 俺としてはもっと簡単な任務のハズだった


◇◇◇◇◇


 この世界は常に不公平だ! そんな事を思いながらも自分で変えれる力が無くただただ平凡な街で腐っていた


 あるとき街に立派な鎧に包まれた軍人が来た


 平凡な街だが情報の伝わる速度は速い


 軍人が来たことはすぐに俺も知った


 まぁこの街を軍団が通るからその為の許可を取りに来ただけだと思った


 確かにそれはあっていたがまぁ通るだけ、その考えが違った


 その軍団は最初に来た者は綺麗な格好をしていたが後から来た軍団はボロボロ、所々に血が付いている者、腕がない者もいた


 敗戦軍か? と思っていたがそうではなく敗国軍だった、つまり俺が住んでいる国とは違う国の軍だった、それを知ったのはこの軍団が来てから二日後、そして軍団が来て五日後に俺の街は平らになった


 俺が住んでいた国の軍が来て「異国人を治療するとは何事だ」だの「この国に恩義はないのか」、「この裏切り町人共め」


 などと言い街の人達が斬られ街は壊された


 俺だけは運良く生き残った


 だが生き残りはまだいた。街を治める貴族と街長の家族だった


 必死に隠れる中で聞こえた言葉に絶望した


「いや~絶景ですね~」

「ふん、それでいいのか? 貴様が治めていた領土だ」

「ええ、問題なく、このまま私は王都に逃げますしまずまずこんな価値のない街が金になった、それだけで十分ですよ」

「かか、貴様の悪知恵も怖いものだ」


 最初に来た男の声だった、さらにあとからこの街を蹂躙し尽くす指示をした男の声もある


 ああ、俺が、俺たちが生きている意味なんてなんだったんだろ……


 それから俺は隠れその場を離れ二つも三つも離れた街に孤児として逃げ込んだ


 それから数ヶ月、一応の幸せがそこにあったが夜になって街の灯りが消え始めると心がスっとなって消えていく


『この幸せは、全て誰かが作ったものだと』


 一年経つ頃、最悪の出会いをした……いや、今考えれば幸せの橋になった出来事だ最高の出会いだったかもしれない


 俺の故郷の街長と俺の故郷を領土としていた貴族が秘密裏に会っていたのを見た


 最初は関わるつもりもなかったけども聞こえた聞こえてしまった言葉に俺は動いた


「あの時から一年くらいですな」

「ふふ、あれのおかげで俺の懐も暖かい」

「人の命の温もりって奴ですかね」

「ふ、民が無意味に金を使うより効率が良いな」

「ははは、元領主のお言葉ですか」

「お前こそあれのおかげでいい暮らしだろ?」

「ええ、無意味に鬱陶しい奴らが死んで俺たち家族の生活は豊かですよ」


 意味があるのか? という俺の悩みに問に簡単なことのような答えを言うような会話だった


 不公平なんじゃないかではなかった!


 常に不公平で真っ当に、必死に生きた人がこの豚どもの食い物に……豚に失礼か、まぁなんでもいいこのクズどもがのうのう生きていることが憎い


 それからの行動はもう覚えてない


 ただ真っ直ぐにこのクズどもを殺そうと動いただけど簡単に跳ね返された、当然のように護衛がいてただの凡人には風のように吹き飛ばされた


 身体中が軋む、もう動けない、もうこのまま死ぬんだと思った。ただ運良く生き残り今復讐の相手に挑んでもこのザマ


 一瞬でも復讐するために皆が俺を生かしてくれたとか考えた自分が恥ずかしい……


「あ~らら? どしたのね?」


 派手な花柄の服を着た性別の判断のつけにくい人が立っていた


「だ……れた?」

「あら~俺っち楽しみの中にいたのにこんなの見ちゃうと萎えちゃうよ~」


 なんだ? あれは……紙の筒? 指で何かをくるくると回している


「はぁ……こんなに狂うくらいの憎しみがあるのに、怒りがあるのに神は君を助けない助けようとしない……君はこの世界はクソだと思わないかい?」


 ああ……死の間際に俺と同じことを考えている人に会えるなんて……


「お……もう……」

「息も絶え絶えね」

「俺と……おなし……考え…を持ったびとに会えて……よがった……」

「うは! 良いね良いよ君! 君はいい素質があるかもしれない!」


 何を言っているんだ?


「助けてあげるよ」

「あ……う?」

「もう言葉を喋れないか? なら君の中で思え! 生きて復讐することを! 誰が君をこうした? 誰に自分は生かされた!」


 俺は……あのクズどもに……俺は街の人に生かされて……


「覚悟が決まっていて良かったよ」


 そういうと持っていた紙の筒のような棒を咥えた後、口から外し咥えた部分に火をつけ俺に煙を嗅がせて来た


 煙たいだろ? と思っていたが煙たいどころか身体がゆっくりと楽になり……気づいた時には俺が街を壊していた


 隣で俺を救ってくれた人が高笑いをしていたがそれは嫌に感じなかった


 心の奥からスカッとした


 今まで何かに囚われていてそれから開放されたような気分だ!


 目の前によく分からない塊があったがもう興味ない


 俺は雄叫びのような歓喜の声をあげていた


 ◇◇◇◇◇


 俺はそこから連れられ俺と同じような考えを持つ人、俺と同じような境遇な人が多くいる場所に連れられ本当の神を知った


 この集まりの目的を知った


 ああ、これが救いになるんだ


 ああ、俺でも人を救える


 そう思って動いた組織の歯車の一つとして


 辛い時は仲間が声をかけてくれた


 街では一人でもここでは仲間がいてくれる


 楽しかった! そんな中危険ではあるが見つからなければ楽な仕事としていくつかこなすようになった


 そして今回の仕事だ、今までの実績を認められ与えられた


 この仕事が成功すれば君はまた神につかえられると言われた


 仲間に認められ、俺を救ってくれたあの人の役に立てればなんでもいい


 それでもこの楽な仕事でそれがまた多くできると思っていたのに……


 今はこの魔物共に追われ命に直接刃を突きつけられるような恐怖がある


 クソ! くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそ!


 もう何日逃げたか分からない……


 神弾も五つあったのがもう二つ……


 このままでは何も出来ないまままで終わる


 こんなに短い期間でいくつも使うと危険と言われているが!


「神よ!」

「ッ! ーー下がれ!」

「あいよ! ったく面倒ね、あれ」

「あれを使う度にあの人の命がすり減っている……なんて危険な……」

「まぁいいんじゃない? ここの力を不正に使おうとしてるんだしただじゃあすまさせないし!」

「それについてはそうだけどね……」

「罪を償わせるために生かさないとってやつ? めんどいこと考えないで行こうよ」

「大切なことだよ」

「「ぐっっっっがぁぁぁぁぁぁああああああああああああ」」

「耳壊れそ」

「それ壊れたら大変だね」

「対策ない?」

「ない! 逃げるよ!」

「真っ向から行きたいのだけどね」

「最初にぶっ飛ばされたの忘れた?」

「あいあい!」


 ちょこまかとッ!


 潰してやる!


 森を揺らし木を枯らし動く


 追われる側と追う側が変わりまた走り出す


 この世界に真なる神がご降臨なされるために!



どうも。ロキュです。


悩みますね、主人公以外の視点の時に毎回Side~~と付けていましたが今回の所を付けるとまだ名前はっきりしてない人多過ぎでやっても良いのかどうかと悩んだ結果まぁ良いかの精神で付けませんでした

見直して合った方が良いなと思えば付けるつもりですけど……


この物語の続きが気になる、この物語が面白いと思って頂ければ是非ブックマークと評価、感想をくださいよろしくお願いします。


ではでは。


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