15話 帰郷
==15話 帰郷==
Sランク冒険者のガクヤと戦ってから数日後、生まれ故郷というか転生故郷? に戻ってきた。
まぁここが今じゃ自分の実家になるのだから深く考えなくてもいいか。
「さてと、楽しみだ。皆が驚く顔が!」
隣でわくわくしている人がいる。性格悪いな……
「――――!」
「ん? 何か聞こえたか?」
「あれ? 父さんも聞こえた?」
「――――!」
あれ? この声って……
「ヒローーーーーー!」
ばっと目の前に現れた誰かに……いやまぁ分かっている、誰なのかは
ただ、転生の理由となったトラックにひかれたのを少し思い出したな……
「ヒロ! どこに行ってたの!」
俺に馬乗りの体勢で上に乗っている顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。
「すごい顔だよ? リン」
「う、うるさいよ!」
そう言いながらも退いてくれずその体勢のまま数分泣かれた。
なんか……ごめんね……
◇◇◇◇◇
リンが俺の上に乗っている状態の時に父さんは乗ってきた馬車を預けに行ったりと色々動いていて俺達二人になるようにしてくれたけど、街の入り口でこの状態は結構な人に見られたんですけど……
最後には「先に行ってるな」と置いて行かれたし
ドッキリは?
「うぐ、ごめん。どくね」
「あ、ありがと」
「で、どこに行っていたの? 王都に一回来たよね?」
「……よく知ってるね」
「ヒロの魔力を見間違うわけ無いじゃん」
「……そうか」
「フランもいるのに気がついていたけどマイン殿下に止められて……マイン殿下が連れてきてくれると思っていたけど連れてきてくれなかったし……」
「ごめん、レポラルっていう街に行ってた、マインから冒険者になって身分証明を作ってこいって」
「へー、……あの人何も教えてくれなかったな……」
なんか怖くなったな……少し見ない間に……
「じゃあ今は冒険者なの?」
「ああ」
「へー、いつか私も外の国に連れて行ってね」
「んー……でもこの後行く場所があるんだよね、この国に」
「そうなの?」
「マインから言われてる」
「……ブチしちゃえば?」
「マインにキレてない?」
「そんなこと無いもん」
なんか久しぶりに会えたからかなめっちゃ可愛く見える……膨れた顔も可愛い……
懐かしの街を二人で歩いて行くと俺の家に着いた
「さぁ! 驚けよ、実はな――」
「ヒロトが生きていること以外の驚きなら今聞くよ」
「ヒロにぃのこと以外で」
「興味ないよ父さん」
あ、なんか辛辣な声が聞こえた……
「……もしかして秘密にしてた? 私ヒロが生きているかもって言っちゃった、結構な確率でって」
そうだよね……リンがいればそうなるよね、リンはアルにぃのブラシスコン知っているし
「あ、リンよく王都から帰ってきたね」
「ん……アルトさんの元気のなさをお姉ちゃんから聞いてたから、ヒロが私達の前に現れないから存在的に秘密にしないといけないことかも知れないけどお姉ちゃんが心配しているのが分かったから教えに来たの」
「ああ、そういうこと」
それがメインで帰郷していたんだ……じゃあしょうが無いってことだな
家の前で話していると中の声が聞こえてくる
「え……なんでお前ら知ってるの?」
「リンから聞いた」
「「「リン姉ちゃんから聞いた」」」
あー父さんドンマイ
「うぐ……驚いた顔見たかった」
「父さん、教えてよ、驚いた顔とか関係なく知っていたならもっと速くさ?」
「あれ? アルト……さん? 怒ってる?」
「あ? 怒ってないけど」
いや声刺々しいわ
「入ってあげたら?」
「これくらいで良いか」
「あ、トドロさんが怒られるの待ってたんだ」
「ただいま」
数年ぶりにこの家に帰って来れたな……
「「「「……」」」」
「ヒロ生きていたのか!」
「いやアンタは知ってるだろ!」
なぜか父さんがボケた
「ヒロ……」
そう言ってアルにぃが近づいてくるとガッと抱きつかれた
「よく生きていた」
「……うん、ごめん。いままで何も言いに来なくて」
「うん」
抱きつかれていると見たことない少年が歩いてきた
「……はぁ、この人がお兄ちゃんか」
「ませガキだろ? 可愛いんだよ」
抱きついたまま喋っている
「んー会っていない時間が多いから俺には何も感じれないな」
「まぁそうだよね」
「……外で戦おう」
「え、コイツ戦い好き?」
「「「いや、戦闘狂いに近い」」」
「しょ、ショート、お兄ちゃんは今帰ってきたからダメだよ」
「えー、戦いたい!」
「……いいよ、でも街の中じゃダメだから山でな」
「ヒロ、落ちるなよ」
「懐かしいこと言うね……」
「柵あるのに落ちるの?」
「「ぐっ!」」
俺の近くからも俺と同じような音が出ていたが……
心に……刺さる……まぁ俺のこの身体の元の持ち主のことなんだけど……
◇◇◇◇◇
アルにぃが離してくれショートと二人でスイル山の中腹の広場に来た。
ここは父さんとアルにぃが二人で修行するときに来る場所で人はそうそう来ないらしい
「ん、父さんとやるとき見たいにやって良いか……」
「ん?」
「重々と連なり規律を出せ 機連重鎧装!」
「んげ!?」
「ん? 良い?」
「ッ! 月夜に舞いとらん衣よ顕現願う 月羽衣」
腕に機械のコードみたいなのが浮かんでいるが詠唱があった、これは法術、この国では禁止のハズ
「あ、これは父さんから人に見せるなって言われてる」
「そなの」
「うん、じゃあ行くね」
そう言って走る動作をすると地面に重い物が急に動いたかの様に少し揺れた
「ぬ、おっっいしょ!」
引きつけるようにしてから振り下ろされる腕を避けた
「あぶな!」
「ヒロ兄ちゃん強いんだね。じゃあいいか」
そう言って近くの木を触ると木にショートの腕にあるような機械のコードが走った
「なんだそれ?」
「機蝕重装」
木だったものがショートの周りに飛んでいる、竜眼で細かく見ると全てに魔力が書かれているコードに沿って流れている
「……」
「僕のスキルは機械将っていうスキルで触った物を機械に変えれるの、そして命令を出せば動く」
一斉に木の破片が飛んできた
スキルでもう将? すごすぎじゃないか?
「銀月流 肆之型・繊月凶鳴」
「ん!?」
「すごいけど来る方向が全部なら全方向を防げば良いか」
「むー」
「あれ? なんで膨れてるの?」
「お兄ちゃんはもっと驚くと思った」
「……なんかごめん」
「動け」
「不意打ちかよ!?」
しょぼんとした雰囲気から急に手を前に出して叩きつけた木の破片をもう一度飛ばしてきたがまた全部叩き落した
「……ダメだ……勝てなさそう。でも遊んで欲しいからもっとやろ」
「……良いぞ来い」
日が傾くまでショートと戦い続けた
◇◇◇◇◇
「いや~本当に生きているとはな」
「俺の息子はそうそう死なんってことだ!」
「はは、珍しいなお前がこんなに飲むなんて」
「ジルク、お前ももっと飲め飲め!」
「ウップぐが」
父さん酔うと危ないな……
ショートと戦った後家に戻るとジルクさん達が来ていて俺の存在をおおっぴらには出せないから外には食べに行けないなら家で騒ごうと提案してくれ宴会みたいになった。
このときに母さんに会えたけどアルにぃみたいに喜ばれてやっぱり早めにここに戻ってくるべきだったなと改めて反省した
「あ、アル君、はい、あーん」
「いや、自分で食べるよシル」
「えー大丈夫だよ、はい、あーん」
……ああ、この二人変わってないんだな……はやくくっつけばいいのに……あれ? シル? アルにぃあだ名で呼んでいたっけ?
「……ヒロ兄ちゃん、あーん?」
「え……なんで俺?」
「こ、こういう流れかなって」
まっすぐこっちを見ないで妹のルイシャが手を突出して顔を真っ赤にしている、なんか……かわいいな……これが妹か……
「む、ヒロ、こっち」
なんか対抗して(?) リンも突き出してきた。
なんかモテ期来た
「ふむ、すまぬ、小さき人間っ子達ね、その者に用があるのだね、先を貰うね」
ん? 聞き覚えのない声?
目の前に机の上にしゃがみ膝に腕を乗せながら体重をかけている。その体勢で首を横に軽く倒してこっちを見ている
「だれだ?」
「うわ! え、急に?」
宴会で盛り上がっているとはいえこんなに近くというか目の前に現れるまで気づかなかった
「ッ! 聖弓!?」
「へ?」
「む、ここでもこの身体の持ち主を知っている人間がいるとは」
「この身体?」
「む、時間切れか」
父さんが驚きそれに反応した目の前の男の後ろに扉みたいなものが浮かんでいる
「なにが……」
「ふむ、この者は持って行くぞ、安心しろ連れて行くのはライラックという冒険者のみしか今は入れない街に行くだけだ、では、連れて行く」
ガシッ! と頭を掴まれると男の後ろの扉が開き中に吸い込まれた
いや……あーんをさせて! させてください! 俺のモテ期が……
なんてタイミングの悪さだ!
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ではでは。